エビデンス全般

リアルワールドデータの活用事例

2021年1月14日

リアルワールドデータが承認申請の場面で活用された実際の例について見てみましょう。

イブランス(パルボシクリブ)

男性のエストロゲン受容体(ER)陽性、 HER2陰性の局所進行または転移性乳癌に対する治療薬

  • 3つのデータベースを目的に応じて利用
    1. IQVIA claims data:男性乳癌におけるイブランス併用有無の患者数比較、治療ラインおよび治療継続期間の評価
    2. Flatiron Health EHR:患者背景情報、奏功割合、治療継続期間、有害事象評価
    3. Pfizer global safety database:イブランスが投与された男性乳癌患者の全般的な安全性評価

インヴェガ・サステナ(パリペリドン)

統合失調症に対する治療薬

  • インヴェガ・サステナと経口抗精神病薬の無増悪期間を比較する固定用量 の pragmatic clinical trial(PRIDE試験)
    • 15か月、前向き、無作為化、実薬対照、非盲検
    • 「収監経歴ありの者」「試験への組み入れ前に薬物あるいはアルコール依存を自己申告した者」「現在薬物乱用障害の診断を受けている者」の参加も可能
  • 日常診療の状況下での有効性評価

バベンチオ(アベルマブ)

12歳以上の転移性メルケル細胞癌に対する治療薬

  • 第II相試験(88例の転移性メルケル細胞癌患者を対象とした単群非盲検試験)を外部対照と比較
  • 外部対照のデータソース:EHR "iKnowMed EHR" (McKesson社)
  • iKnowMed EHRに記録されているメルケル細胞癌患者(686名)の中から、第II相試験の選択基準に合致した67名を抽出
  • アウトカム:生存率、奏効率、奏功持続時間

バルベルサ(エルダフィチニブ)

局所進行性または転移性尿路上皮癌に対する治療薬

  • 単群非盲検の第II相試験BLC2001試験)で組み入れ対象外になっていたFGFR遺伝子変異に対する有効性の懸念に対処
  • RWD利用目的:FGFR遺伝子変異の有無や遺伝子変異別の尿路上皮癌治療の予後を評価
  • データソース:Flatiron FMI DB、Bladder Cancer Reserch Initiative for Drug Targeting in Germany (BRIDGE)
  • アウトカム:尿路上皮癌の予後、全生存期間
  • FDAは十分な根拠とはならないと判断
    • 効果判定基準の不統一、患者背景の特定が不十分、FGFR遺伝子異常を有する患者数が不十分

ブリネウラ(セリポナーゼアルファ)

神経セロイドリポフスチン症2型に対する治療薬

  • レジストリを用いたヒストリカルコントロール試験(190-901試験)
  • 外部対照のデータソース:独立コンソーシアム "DEM-CHILDDB"
  • DEM-CHILDDBから未治療神経セロイドリポフスチン症2型患者42例を抽出
  • アウトカム:CLN2 raing scale、運動機能・言語機能

マイオザイム(アルグルコシダーゼアルファ)

ポンペ病に対する酵素補助療法の医薬品

  • 外部対象を用いた試験(AGLU01602試験)
  • ヒストリカルコントロール群:幼児期にポンペ病を発症した168例(医療記録、自然歴)
  • アウトカム:侵襲的な人工呼吸器なしの生存率

XPOVIO(セリネクソール)

再発または難治性多発性骨髄腫の治療薬

  • 外部対照のデータソース:EHRデータ
  • 再発または難治性多発性骨髄腫の実臨床の全生存期間を分析した研究試験(KS-50039試験)
  • 単群非盲検試験(STORM試験)で得られた生存期間と、KS-50039試験の結果を比較しようと主張したが、FDAに認められなかった
    • 計画書事前提出なし、選択バイアス・誤分類・交絡の懸念、生存期間の推定バイアスの懸念、同等性への疑問(ベースラインの違い)

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