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薬価算定の基準について(保発0329第1号 平成31年3月29日)
標記については、これまで「薬価算定の基準について」(平成 30 年2月7日保発 0207 第1号。以下「旧通知」という。)により取り扱ってきたところであるが、費用対効果評価の本格実施に伴い、中央社会保険医療協議会において、別添のとおり「薬価算定の基準について」が改正され、平成 31 年4月1日以降、この基準に従って薬価算定を行うこととしたので、貴管下の保険医療機関、審査支払機関等に対して周知徹底を図られたく通知する。
なお、旧通知は、平成 31 年3月 31 日をもって廃止する。
第1章 定義
1 薬価
薬価とは、保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)が薬剤の支給に要する単位(以下「薬価算定単位」という。)あたりの平均的な費用の額として銘柄毎に定める額をいう。
ただし、複数の薬剤について、次のいずれかに該当する場合には、別の銘柄として薬価算定は行わない。
(1)組成(有効成分又は有効成分の組合せ及びその配合割合をいう。以下同じ。)、剤形、規格及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第 14 条第1項又は第 19 条の2第1項の規定に基づく承認(以下単に「承認」という。)を受けた者(以下「製造販売業者」という。)の全てが同一である場合
(2)組成、剤形及び規格が同一であって、製造販売業者が異なる薬剤のうち、当該製造販売業者の関係が次のいずれかの要件を満たす場合
イ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和 36 年厚生省令第1号)第 69 条(同規則第 111 条において準用する場合を含む。)の規定における承認取得者と承認取得者の地位を承継する者の関係であったこと。
ロ 「医薬品等の製造(輸入)承認の取扱いについて」(昭和61年薬発第238号)に規定する既承認取得者と承認申請者の関係であったこと。
ハ 「医薬品等の製造承認、輸入承認及び外国製造承認の取扱いについて」(昭和 62 年薬発第 821 号)に規定する既承認取得者と承認申請者の関係であったこと。
(3)組成、剤形及び規格が同一の日本薬局方収載医薬品、生物学的製剤基準収載医薬品、生薬その他の薬剤であって、当該薬剤の保険医療機関等における使用状況、購入状況その他の状況からみて、製造販売業者の違いに応じ別に薬価を定める必要性が乏しいと認められる場合
2 一日薬価
一日薬価とは、医薬品医療機器等法第 14 条第 1 項又は第 19 条の2第1項の規定に基づき承認された用法及び用量(以下単に「用法及び用量」という。)に従い、通常最大用量を投与した場合における一日あたりの平均的な費用の額をいう。
3 一日通常最大単位数量
一日通常最大単位数量とは、用法及び用量に従い、通常最大用量を投与した場合における薬価算定単位あたりの一日平均の数量をいう。
4 投与形態
投与形態とは、内用、注射又は外用をいう。
5 剤形区分
剤形区分とは、別表1に定める投与形態及び剤形の類似性に基づく薬価算定上の剤形の区分をいう。
6 薬価収載
薬価収載とは、当該銘柄について、薬価に係る厚生労働大臣告示を定めることをいう。
7 薬価改定
薬価改定とは、厚生労働省が実施する薬価調査の結果に基づき、薬価に係る厚生労働大臣告示を全面的に見直すことをいう。
8 新規収載品
新規収載品とは、新規に薬価収載される銘柄をいう。
9 新薬
新薬とは、次の各号に掲げる新規収載品をいう。
イ 医薬品医療機器等法第 14 条の4第1項(同法第 19 条の4において準用する場合を含む。)の規定に基づき厚生労働大臣の再審査を受けなければならないとされた新規収載品
ロ 組成、投与形態及び製造販売業者が同一(共同開発されたものについては、製造販売業者が同一のものとみなす。)の既収載品(イに規定する新規収載品として薬価収載されたもの(薬価収載された後、薬価基準から削除されたものを含む。)に限る。)がある新規収載品
10 新規後発品
新規後発品とは、新薬以外の新規収載品(バイオ後続品を含む。)をいう。
11 汎用新規収載品
汎用新規収載品とは、次の新規収載品のうち、有効成分量を基に計算した年間販売量(以下単に「年間販売量」という。)が、規格別にみて最も多くなると見込まれる規格のものをいう。
イ 組成、剤形区分及び製造販売業者が同一であって、規格が異なる類似薬(15 に定義する類似薬をいう。)がない新規収載品
ロ 組成、剤形区分及び製造販売業者がイの新規収載品と同一であって、規格が異なる新規収載品(効能及び効果が類似するものに限る。)
12 非汎用新規収載品
非汎用新規収載品とは、汎用新規収載品以外の新規収載品をいう。
13 既収載品
既収載品とは、既に薬価収載されている銘柄をいう。
14 汎用規格
汎用規格とは、組成及び剤形が同一の類似薬(15 に定義する類似薬をいう。)の年間販売量を、規格別にみて、最もその合計量が多い規格をいう。ただし、新規後発品の薬価算定においては、同一剤形区分内における剤形の違いは考慮しない。
15 類似薬
類似薬とは、次の既収載品をいう。
イ 既収載品のうち、次に掲げる事項からみて類似性があると認められるもの。ただし、新規後発品の薬価算定においては、同一剤形区分内における剤形の違いは考慮しない。
(イ)効能及び効果
(ロ)薬理作用
(ハ)組成及び化学構造式
(ニ)投与形態、剤形区分、剤形及び用法
ロ 新薬の薬価算定においては、イに規定する既収載品について、新薬として薬価収載されたものに限るものとする。ただし、既収載品に類似性があると認められる新薬がない場合であって、必要と認められるときは、イに規定する既収載品のうち新規後発品として薬価収載されたもの以外の既収載品を含むものとする。
16 最類似薬
最類似薬とは、汎用規格の類似薬のうち、類似薬を定める際に勘案する事項(新規後発品の薬価算定においては、同一剤形区分内における剤形の違いは考慮しない。)からみて、類似性が最も高いものをいう。ただし、複数の類似薬を組み合わせた場合が最も類似性が高いと認められるときは、当該類似薬の組合せを最類似薬とする。
17 薬理作用類似薬
薬理作用類似薬とは、類似薬のうち、次の要件を全て満たす既収載品をいう。
イ 同一の効能及び効果を有するものであって、当該効能及び効果に係る薬理作用が類似していること。
ロ 投与形態が同一であること。
18 比較薬
比較薬とは、新規収載品の薬価算定上の基準となる既収載品(新薬の薬価算定においては、第3章第2節2(2)に規定するG1品目又はG2品目を除く。)をいう。
19 剤形間比
剤形間比とは、剤形が新規収載品と同一の汎用規格の既収載品及び剤形が比較薬と同一の汎用規格の既収載品(剤形が新規収載品と同一の当該既収載品と組成及び製造販売業者が同一であるものに限る。)との、有効成分の含有量あたりの薬価の比をいう。
20 類似薬効比較方式(Ⅰ)
類似薬効比較方式(Ⅰ)とは、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に規定する額を新規収載品の薬価とする算定方式をいう。
イ 当該新規収載品と比較薬の剤形区分が同一である場合
当該新規収載品の一日薬価と、類似する効能及び効果に係る比較薬の一日薬価とが同一となるように算定された、当該新規収載品の薬価算定単位あたりの費用の額
ロ 当該新規収載品と比較薬の剤形区分が異なる場合
当該新規収載品の一日薬価と、類似する効能及び効果に係る比較薬の一日薬価とが同一となるように算定された、当該新規収載品の薬価算定単位あたりの費用の額に、類似薬の剤形間比(剤形間比が複数ある場合には最も類似性が高い類似薬の剤形間比とし、類似薬に剤形間比がない場合には1(必要があると認められる場合は、剤形区分間比(19 中「剤形」とあるのを「剤形区分」と読み替えたものをいう。))とする。)を乗じて得た額
21 類似薬効比較方式(Ⅱ)
類似薬効比較方式(Ⅱ)とは、新規性に乏しい新薬の主たる効能及び効果に係る薬理作用類似薬(汎用規格のものに限る。この号において同じ。)を比較薬とし、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に規定する額(新規収載品が新薬創出等加算(第3章第7節1(1)に規定する新薬創出等加算をいう。以下同じ。)の対象外である場合であって、当該額の算出の対象となった医薬品が新薬創出等加算を受けている場合は、新薬創出等加算の累積額に相当する額を控除した額により求めた額)を新薬の薬価とする算定方式をいう。な
お、次の各号に規定する期間については、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して計算する。
(1)過去 10 年間に薬価収載された薬理作用類似薬がある場合
イ 当該新薬の一日薬価と次のいずれか低い額とが同一となるように算定された、当該新薬の薬価算定単位あたりの費用の額
(イ)過去 10 年間に薬価収載された薬理作用類似薬について、当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価を相加平均した額
(ロ)過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価のうち、最も低い一日薬価
ロ イにより算定される額が、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定される額を超える場合には、イに関わらず、当該新薬の一日薬価と類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定される額及び次のいずれかのうち最も低い額とが同一になるように算定された、当該新薬の薬価算定単位あたりの費用の額
(イ)過去 15 年間に薬価収載された薬理作用類似薬について、当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価を相加平均した額
(ロ)過去 10 年間に薬価収載された薬理作用類似薬の当該新薬と類似する効
能及び効果に係る一日薬価のうち、最も低い一日薬価
(2) 過去 10 年間に薬価収載された薬理作用類似薬がない場合
イ 当該新薬の一日薬価と、直近に薬価収載された薬理作用類似薬の当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価とが、同一となるように算定された、当該新薬の薬価算定単位あたりの費用の額
ロ イにより算定される額が、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定される額を超える場合には、イに関わらず、当該新薬の一日薬価と類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定される額及び次のいずれかのうち最も低い額とが同一になるように算定された、当該新薬の薬価算定単位あたりの費用の額
(イ)過去 20 年間に薬価収載された薬理作用類似薬について、当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価を相加平均した額
(ロ)過去 15 年間に薬価収載された薬理作用類似薬の当該新薬と類似する効能及び効果に係る一日薬価のうち、最も低い一日薬価
22 原価計算方式
原価計算方式とは、薬価算定単位あたりの製造販売に要する原価に、販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費並びに消費税及び地方消費税相当額を加えた額を薬価とする算定方式(当該算定について、日本以外の国への輸出価格の状況等の資料の提出があった場合であって、必要があると認められるときは、当該資料を勘案し計算された額を薬価とするもの)をいう。
この場合において、営業利益率は、既存治療と比較した場合の革新性の程度に応じて、平均的な営業利益率の-50%~0%の範囲内の値を用いることとする。
なお、平均的な営業利益率等の係数については、前年度末時点で得られる直近3か年の平均値を用いることとする。ただし、販売費及び一般管理費の係数については、希少疾病用医薬品(医薬品医療機器等法第 77 条の2の規定に基づき指定されたものをいう。以下同じ。)等について、平均的な係数を超えて計算することが妥当とされる場合を除き、次のいずれにも該当する新薬については、販売費及び一般管理費の上限を 70%とする。
イ 原価計算において、製品総原価に対する薬価算定組織での開示が可能な額の割合(開示度) が 80%以上であり、その妥当性が確認できること
ロ バイオ医薬品でないこと
23 補正加算
補正加算とは、次に掲げる画期性加算、有用性加算(Ⅰ)、有用性加算(Ⅱ)、市場性加算(Ⅰ)、市場性加算(Ⅱ)、小児加算及び先駆け審査指定制度加算をいう。
24 画期性加算
画期性加算とは、次の要件を全て満たす新規収載品に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 臨床上有用な新規の作用機序を有すること。
ロ 類似薬又は既存治療に比して、高い有効性又は安全性を有することが、客観的に示されていること。
ハ 当該新規収載品により、当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること。
25 有用性加算(Ⅰ)
有用性加算(Ⅰ)とは、画期性加算の3つの要件のうち2つの要件を満たす新規収載品(画期性加算の対象となるものを除く。)に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
26 有用性加算(Ⅱ)
有用性加算(Ⅱ)とは、次のいずれかの要件を満たす新規収載品(画期性加算又は有用性加算(Ⅰ)の対象となるものを除く。)に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 臨床上有用な新規の作用機序を有すること。
ロ 類似薬又は既存治療に比して、高い有効性又は安全性を有することが、客観的に示されていること。
ハ 当該新規収載品により、当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること。
ニ 製剤における工夫により、類似薬又は既存治療に比して、高い医療上の有用性を有することが、客観的に示されていること。
27 市場性加算(Ⅰ)
市場性加算(Ⅰ)とは、次の要件を全て満たす新規収載品に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 希少疾病用医薬品であって、対象となる疾病又は負傷に係る効能及び効果が当該新規収載品の主たる効能及び効果であること。
ロ 当該新規収載品の比較薬が市場性加算(Ⅰ)の適用を受けていないこと。
28 市場性加算(Ⅱ)
市場性加算(Ⅱ)とは、次の要件を全て満たす新規収載品(市場性加算(Ⅰ)又は小児加算の対象となるものを除く。)に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 当該新規収載品の主たる効能及び効果が、日本標準商品分類に定められている薬効分類のうち、市場規模が小さいものとして別に定める薬効に該当すること。
ロ 当該新規収載品の比較薬が市場性加算(Ⅰ)又は市場性加算(Ⅱ)の適用を受けていないこと。
29 小児加算
小児加算とは、次の要件を全て満たす新規収載品(市場性加算(Ⅰ)の対象となるもの及び国内で小児効能に係る臨床試験を実施しておらず、かつ、小児用製剤など、小児に対して臨床使用上適切な製剤が供給されないものを除く。)に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 当該新規収載品の主たる効能及び効果又は当該効能及び効果に係る用法及び用量に小児(幼児、乳児、新生児及び低出生体重児を含む。以下同じ。)に係るものが明示的に含まれていること。
ロ 当該新規収載品の比較薬が小児加算の適用を受けていないこと。
30 先駆け審査指定制度加算
先駆け審査指定制度加算とは、先駆け審査指定制度の対象品目として厚生労働省から指定された新規収載品に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。なお、本加算の適用を受け算定された既収載品を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)又は類似薬効比較方式(Ⅱ)によって算定される場合には、本加算額を控除した額を比較薬の薬価とみなす。
31-1 外国平均価格
組成及び剤形区分が新規収載品と同一であって、規格及び使用実態が当該新規収載品と類似している外国(アメリカ合衆国、連合王国、ドイツ及びフランスに限る。以下同じ。)の薬剤の国別の価格(当該国の薬剤に係る価格表に収載されている価格(アメリカ合衆国についてはメディケア又はメディケイドにおける価格表に収載されている価格。いずれにも収載されている場合は、それらの平均価格。)をいう。)を相加平均した額をいう。ただし、外国平均価格調整にあたっては、外国の薬剤の国別の価格が2ヶ国以上あり、そのうち最高の価格が最低の価格の2分の5倍を上回る場合は、外国の薬剤の国別の価格のうち最高の価格を除いた外国の薬剤の価格を相加平均した額(外国の薬剤の国別の価格が2ヶ国のみある場合は、外国の薬剤の国別の価格のうち最高の価格を除いた外国の薬剤の価格)を、また、外国の薬剤の国別の価格が3ヶ国以上あり、そのうち最高の価格がそれ以外の価格を相加平均した額の2倍を上回る場合は、外国の薬剤の国別の価格のうち最高の価格をそれ以外の価格を相加平均した額の2倍に相当する額とみなして各国の外国の薬剤の価格を相加平均した額を、外国平均価格とみなす。
31-2 外国平均価格調整
外国平均価格調整とは、外国平均価格がある場合(31-1 のただし書により、外国平均価格調整に当たって外国平均価格とみなすこととした場合は、当該外国平均価格)において、次の各号に掲げる区分に従い、別表3に定めるところにより調整する方式をいう。
(1)類似薬効比較方式(Ⅰ)(薬理作用類似薬がない場合に限る。)又は原価計算方式によって算定される場合であって、算定値(補正加算を含む。以下同じ。)が、外国平均価格の4分の5に相当する額を上回る場合(組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の複数の新規収載品が同時に薬価収載される場合であって、当該新規収載品のうち一以上が当該要件を満たす場合を含む。)
ただし、次の全ての要件に該当するものを除く。
イ 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下「未承認薬等検討会議」という。)における検討結果を踏まえ、厚生労働省が開発を要請又は公募した新規収載品であること。
ロ 外国(外国の薬剤の国別の価格が2ヶ国以上ある場合は、承認日が直近のもの)での承認後 10 年を経過したものであること。
ハ 算定値が外国平均価格の3倍を上回ること(組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の複数の新規収載品が同時に薬価収載される場合であって、当該新規収載品のうち一以上が当該要件を満たす場合を含む。)。
(2) 類似薬効比較方式(Ⅰ)(薬理作用類似薬がない場合に限る。)又は原価計算方式によって算定される場合であって、算定値(補正加算を含む。以下同じ。)が、外国平均価格の4分の3に相当する額を下回る場合(組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の複数の新規収載品が同時に薬価収載される場合であって、当該新規収載品のうち一以上が当該要件を満たす場合を含む。)
ただし、次のいずれかに該当する場合を除く。
イ 組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合であって、次のいずれかに該当する場合
(イ)汎用新規収載品の算定値が当該汎用新規収載品の外国平均価格を上回り、かつ、非汎用新規収載品の算定値が当該非汎用新規収載品の外国平均価格を下回る場合
(ロ)汎用新規収載品の算定値が当該汎用新規収載品の外国平均価格を下回り、かつ、非汎用新規収載品の算定値が当該非汎用新規収載品の外国平均価格を上回る場合
(ハ)一の非汎用新規収載品(以下「特定非汎用新規収載品」という。)の算定値が特定非汎用新規収載品の外国平均価格を上回り、かつ、特定非汎用新規収載品以外の非汎用新規収載品の算定値が当該非汎用新規収載品の外国平均価格を下回る場合
(ニ)非汎用新規収載品の算定値が当該非汎用新規収載品の外国平均価格の4分の3に相当する額を下回り、かつ、汎用新規収載品の算定値が当該汎用新規収載品の外国平均価格の4分の3に相当する額以上である場合
ロ 外国平均価格が1ヶ国のみの価格に基づき算出されることとなる場合
32 規格間調整
規格間調整とは、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に規定する薬価及び有効成分の含有量の関係と、非汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量の関係とが、別表4に定める当該非汎用新規収載品の類似薬の規格間比と同じとなるように非汎用新規収載品の薬価を算定する調整方式をいう。
イ 組成、剤形区分及び製造販売業者が当該非汎用新規収載品と同一の最類似薬がない場合 汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量の関係
ロ 組成、剤形区分及び製造販売業者が当該非汎用新規収載品と同一の最類似薬がある場合 最類似薬の薬価及び有効成分の含有量の関係
33 市場実勢価格加重平均値調整幅方式
市場実勢価格加重平均値調整幅方式とは、薬剤の市場実勢価格、消費税率及び薬剤流通の安定性を考慮した別表5に定める算式により行う原則的な薬価の改定方式をいう。
第2章 新規収載品の薬価算定
第1部 新薬の薬価算定
第1節 類似薬がある新薬の場合
1 新薬が補正加算の対象となる場合
イ 薬価算定の原則
当該新薬の最類似薬(以下「新薬算定最類似薬」という。)を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(共同開発その他の理由により、組成及び剤形が同一の新薬算定最類似薬が複数となる場合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新薬算定最類似薬の年間販売量で加重平均した額)に、補正加算を行った額を当該新薬の薬価とする。
新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去10 年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないものとするが、必要と認められるときは、それ以外の新薬算定最類似薬を用い、それ以外の場合は、第2節の規定により算定される額を当該新薬の薬価とする。
ロ 外国平均価格調整
当該新薬について、外国平均価格調整を行う要件に該当する場合には、これにより調整される額を薬価とする。
ただし、新薬算定最類似薬が、当該新薬と組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の場合を除く。
ハ 規格間調整
イ及びロに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)イ及びロにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
2 新薬が補正加算の対象にならない場合
(1)組成が当該新薬と同一の薬理作用類似薬(当該新薬の主たる効能及び効果に係るものに限る。)がない場合
イ 薬価算定の原則
新薬算定最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(共同開発その他の理由により、組成及び剤形が同一の新薬算定最類似薬が複数となる場合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を、当該新薬算定最類似薬の年間販売量で加重平均した額)を当該新薬の薬価とする。
新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去 10 年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないものとするが、必要と認められるときは、それ以外の新薬算定最類似薬を用い、それ以外の場合は、第2節の規定により算定される額を当該新薬の薬価とする。
ロ 薬価算定の特例
イに関わらず、新薬(既収載品と組成が同一であって、医療上の必要性から、当該既収載品の用法及び用量を変更した新規収載品を除く。)の薬理作用類似薬(当該新薬の主たる効能及び効果に係るものに限る。)の組成の種類が3以上である場合には、類似薬効比較方式(Ⅱ)によって算定される額を当該新薬の薬価とする。
ハ 外国平均価格調整
当該新薬について、外国平均価格調整を行う要件に該当する場合には、これにより調整される額を薬価とする。
ニ 規格間調整
イ又はロ及びハに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)イ又はロ及びハにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
(2)組成が当該新薬と同一の薬理作用類似薬(当該新薬の主たる効能及び効果に係るものに限る。)がある場合
① 組成、剤形区分及び製造販売業者が新薬と同一の新薬算定最類似薬がない場合
イ 薬価算定の原則
新薬算定最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新薬の薬価とする。
ただし、共同開発その他の理由により、組成及び剤形が同一の新薬算定最類似薬が複数となる場合には、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に規定する額を当該新薬の薬価とする。
(イ)組成、投与形態及び製造販売業者が当該新薬と同一の新薬算定最類似薬がある場合
当該新薬算定最類似薬を比較薬として類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額
(ロ)組成、投与形態及び製造販売業者が当該新薬と同一の新薬算定最類似薬がない場合
複数の新薬算定最類似薬それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新薬算定最類似薬の年間販売量で加重平均した額
新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去 10 年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないものとするが、必要と認められるときは、それ以外の新薬算定最類似薬を用い、それ以外の場合は、第2節の規定により算定される額を当該新薬の薬価とする。
ロ 規格間調整
イに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)イにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
② 組成、剤形区分及び製造販売業者が新薬と同一の新薬算定最類似薬がある場合
イ 薬価算定の原則
当該新薬の薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)当該新薬算定最類似薬の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
ロ 薬価算定の特例
イに関わらず、新薬算定最類似薬と組成及び投与形態が同一であって、医療上の必要性から、当該新薬算定最類似薬の用法及び用量を変更した新薬(イの規格間調整による薬価算定が不適切と認められる場合に限る。)については、当該新薬算定最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(共同開発その他の理由により、組成及び剤形が同一の新薬算定最類似薬が複数となる場合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を、当該新薬算定最類似薬の年間販売量で加重平均した額)を当該新薬の薬価とする。
新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去 10 年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないものとするが、必要と認められるときは、それ以外の新薬算定最類似薬を用い、それ以外の場合は、第2節の規定により算定される額を当該新薬の薬価とする。
第2節 類似薬がない新薬の場合
イ 薬価算定の原則
原価計算方式によって算定される額(補正加算の対象となる場合は、当該補正加算を行った額)を新薬の薬価とする。
ロ 外国平均価格調整
当該新薬について、外国平均価格調整を行う要件に該当する場合には、これにより調整される額を薬価とする。
第2部 新規後発品の薬価算定
1 新規後発品として薬価収載された既収載品の中に、新規後発品の最類似薬がない場合
イ 薬価算定の原則
新薬として薬価収載された既収載品中の当該新規後発品の最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(共同開発その他の理由により、組成及び剤形区分が同一の最類似薬が複数となる場合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該最類似薬の年間販売量で加重平均した額)に 100 分の 50 を乗じて得た額を当該新規後発品の薬価とする。ただし、内用薬については、当該新規後発品及び同時期の薬価収載が予定される組成、剤形区分及び規格が当該新規後発品と同一の後発品(効能及び効果が当該新規後発品と類似しているものに限る。)の銘柄数が 10 を超える場合は、100 分の 40 を乗じて得た額を当該新規後発品の薬価とする。
ロ バイオ後続品に係る特例
当該新規収載品がバイオ後続品である場合には、イの規定のうち「100 分の50 を乗じて得た額」及び「100 分の 40 を乗じて得た額」をそれぞれ、「100 分の 70 を乗じて得た額」及び「100 分の 60 を乗じて得た額」に読み替えて算定される額に、当該バイオ後続品の製造販売業者が承認を申請するに当たって患者を対象に実施した臨床試験の充実度に応じて、100 分の 10 を上限とする割合を当該額に乗じて得た額を加えた額を当該新規後発品の薬価とする。
ハ 有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合
当該新規収載品が有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合には、イ又はロの規定により算定される額に、有用性加算(Ⅱ)を加えた額を当該新規後発品の薬価とする。
ニ 規格間調整
イからハまでに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該新規後発品の有効成分の含有量
(ロ)イからハまでにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
ホ 薬価算定の特例
当該新規後発品に、新薬として収載された既収載品中の最類似薬と有効成分の含有量が同一の規格がない場合は、当該最類似薬と有効成分の含有量が同一の規格があるものとして、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額に 100 分の 50(イのただし書に該当する場合は、100 分の 40)を乗じて得た額(当該新規後発品がバイオ後続品に係る特例又は有用性加算(Ⅱ)の適用を受ける場合には、適用後の額)を算定値とし、当該算定値から規格間調整により算定される額を当該新規後発品の薬価とする。
へ
最類似薬が新薬創出等加算を受けたことがあり、新薬創出等加算の累積額の控除を受けていない場合は、最類似薬の薬価から、新薬創出等加算の累積額を控除した額を当該最類似薬の薬価とみなして、イからホまでの規定を適用する。
2 新規後発品として薬価収載された既収載品の中に、新規後発品の最類似薬がある場合
(1)新規後発品として薬価収載された既収載品中に、組成、剤形区分及び規格が新規後発品と同一の類似薬がある場合
イ 薬価算定の原則
組成、剤形区分及び規格が当該新規後発品と同一の類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新規後発品の薬価とする。
なお、当該類似薬が複数となる場合には、薬価が最も低い額のもの(製造販売業者が同一の類似薬がある場合には、当該類似薬のうち薬価が最も低い額のもの)を比較薬とする。
ロ 薬価算定の特例
次の(イ)から(ハ)に掲げる内用薬について合計した銘柄数が初めて10 を超える場合には、次の(ロ)に該当する後発品が薬価改定を受けるまでの間は、1のイのただし書に該当するものとして算定した額を当該新規後発品の薬価とする。
(イ)当該新規後発品
(ロ)組成、剤形区分及び規格が当該新規後発品と同一の後発品
(ハ)当該新規後発品と同時期の薬価収載が予定される組成、剤形区分及び規格が当該新規後発品と同一の薬剤(効能及び効果が当該新規後発品と類似しているものに限る。)
ハ 有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合
当該新規後発品が有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合には、イ又はロの規定により算定される額に、有用性加算(Ⅱ)を加えた額を当該新規後発品の薬価とする。
(2)新規後発品として薬価収載された既収載品中に、組成、剤形区分及び規格が新規後発品と同一の類似薬がない場合
イ 薬価算定の原則
当該新規後発品の最類似薬と有効成分の含有量が同一の規格があるものとして、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を算定値とし、当該算定値から規格間調整により算定される額を当該新規後発品の薬価とする。
なお、当該最類似薬が複数となる場合には一日薬価が最も低い額のもの(製造販売業者が同一の類似薬がある場合には、当該類似薬のうち薬価が最も低い額のもの)を比較薬とする。
ロ 有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合
当該新規後発品が有用性加算(Ⅱ)の対象となる場合には、イの規定により算定される額に、有用性加算(Ⅱ)を加えた額を当該新規後発品の薬価とする。
第3部 新規収載品の薬価算定の特例
1 キット製品である新規収載品の薬価算定
イ キット製品に係る特例
第1部及び前部の規定に関わらず、キット製品(「注射剤に溶解液等を組み合わせたキット製品等の取扱いについて」(昭和 61 年薬審2第 98 号)に規定するキット製品をいう。以下同じ。) である新規収載品の薬価は、当該キット製品に含まれる薬剤について第1部又は前部の規定により算定される額に、薬剤以外の部分のうちキット製品としての特徴をもたらしている部分の製造販売に要する原材料費を加えた額とする。
ロ 有用性の高いキット製品の薬価算定の特例
当該キット製品が次のいずれかの要件を満たす場合(既収載品のキット製
品と比較して、キットの構造、機能に新規性が認められる場合に限る。)に
は、イにより算定される額に、別表2に定める市場性加算(Ⅱ)の算式を準
用して算定される額を加えた額を当該キット製品の薬価とする。
(イ)既収載品(キット製品である既収載品を除く。以下この号において同
じ。)を患者に投与する場合に比して、感染の危険を軽減すること
(ロ)既収載品を患者に投与する場合に比して、調剤時の過誤の危険を軽減す
ること
(ハ)既収載品を患者に投与する場合に比して、救急時の迅速な対応が可能と
なること
(ニ)既収載品を患者に投与する場合に比して、治療の質を高めること
2 類似処方医療用配合剤の薬価算定
イ 類似処方医療用配合剤の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、類似処方医療用配合剤(製造販売業者
が同一のものに限る。)である新規収載品の薬価は、新薬又は類似処方医療
用配合剤として薬価収載された最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式
(Ⅰ)によって算定される額(処方の類似性が同様である最類似薬が複数と
なる場合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定され
る額を当該最類似薬の年間販売量で加重平均した額)を当該類似処方医療用
配合剤の薬価とする。
ロ 規格間調整
イに関わらず、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載品と非汎
用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収載品に該当
するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整により算定する。
(イ)当該類似処方医療用配合剤の有効成分の含有量
(ロ)イにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
ハ 最類似薬がイに規定する類似処方医療用配合剤(製造販売業者が同一のも
のを除く。)に該当する医療用配合剤については、第1部及び前部の規定に
関わらず、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定される額に 100 分の 70 を乗じ
て得た額を当該医療用配合剤の薬価とする。
3 規格間調整のみによる新薬の薬価算定
イ 算定の特例
第1部第1節2(2)②の規定の適用を受けたもののうち、当該新薬が次
の(イ)の要件を満たす場合には、当該規定により算出される額に、別表2
に定める市場性加算(Ⅱ)の算式を準用して算定される額を加えた額を、当
該新薬が次の(ロ)の要件を満たす場合には、当該規定により算出される額
に、別表2に定める小児加算の算式を準用して算定される額を加えた額を当
該新薬の薬価とする。
(イ)類似薬に比して、投与回数の減少等高い医療上の有用性を有することが、
客観的に示されていること。
(ロ)第1章 29 の小児加算の要件。
4 不採算品再算定の要件に該当する既収載品について安全対策上の必要性によ
り製造方法の変更等を行い、新規に収載する医薬品の薬価算定
イ 算定の特例
第3章第6節2の不採算品再算定の要件に該当する既収載品(製造販売業
者が同一のものに限る。)について安全対策上の必要性により製造方法の変
更等を行い、新規に収載する医薬品であって、当該既収載品の薬価に基づく
類似薬効比較方式(Ⅰ)又は類似薬効比較方式(Ⅱ)により算定したのでは
不採算となり、緊急性がある場合には、原価計算方式によって算定される額
を当該新規収載品の薬価とする。
5 新医療用配合剤の薬価算定
(1)特例の対象となる新医療用配合剤
本号の対象となる新医療用配合剤は、次の全ての要件に該当するものとす
る。ただし、抗 HIV 薬並びに臨床試験の充実度又は臨床上のメリットが明らか
な注射用配合剤及び外用配合剤を除く。
イ 当該新医療用配合剤の全ての有効成分について、当該有効成分のみを有
効成分として含有する既収載品(以下「単剤」という。)があること(ただし、薬価基準に収載されていない有効成分のうち、一般用医薬品の有効
成分等新規性がないと判断される有効成分が配合されている場合には、当
該有効成分についてはこの限りではない)。
ロ 効能及び効果が、当該新医療用配合剤に係る単剤の効能及び効果の組合
せと同様であると認められること(薬価基準に収載されていない有効成分
に係る効能及び効果を除く。)。
ハ 当該新医療用配合剤の投与形態及び当該新医療用配合剤に係る全ての単
剤の投与形態が同一であること。
(2) 新医療用配合剤の特例
① 新医療用配合剤に係る全ての単剤について、製造販売業者が当該新医療
用配合剤と同一のものがある場合(④の場合を除く。)
イ 算定の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、新医療用配合剤に係る全ての単剤
(製造販売業者が当該新医療用配合剤と同一のものを用いるものとす
る。)の組合せを比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定
される額に 100 分の 80 を乗じて得た額(補正加算の対象となる場合には
当該額に補正加算を行った額)を当該新医療用配合剤の薬価とする。
ロ 単剤の一日薬価との調整
イに関わらず、イの規定により算定される薬価に基づき計算した一日
薬価が、比較薬とした単剤の一日薬価のうち最も高い額を下回る場合に
は、当該単剤の一日薬価と当該新医療用配合剤の一日薬価とが同一とな
るように、当該新医療用配合剤の薬価を算定する。
ハ 規格間調整
イ及びロに関わらず、有効成分の組合せ、剤形区分及び製造販売業者
が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される
場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、有効成
分ごとに次の数値を用いた規格間調整による算定額を求め、その合計に
より算定する。
(イ)当該新医療用配合剤の有効成分の含有量
(ロ)イ及びロにより算定される当該汎用新規収載品の薬価のうち、当該
有効成分の価格に相当する部分及び当該汎用新規収載品における当該
有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
② 新医療用配合剤に係る単剤の一部について、製造販売業者が当該新医療
用配合剤と同一のものがある場合(④の場合を除く。)
イ 算定の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、次のいずれか低い額を当該新医療用配合剤の薬価とする。
(イ)新医療用配合剤に係る全ての単剤(製造販売業者が当該新医療用配
合剤と同一のものがある場合には当該単剤を、また、同一のものがな
い場合には薬価が最も高い額の単剤を用いるものとする。)の組合せ
を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額に 100
分の 80 を乗じて得た額(補正加算の対象となる場合には当該額に補正
加算を行った額)
(ロ)次の各号に掲げる額の合計額(補正加算の対象となる場合には当該
額に補正加算を行った額)
(い)製造販売業者が当該新医療用配合剤と同一の単剤がある有効成分
について、当該単剤を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によ
って算定される額に 100 分の 80 を乗じて得た額
(ろ)製造販売業者が当該新医療用配合剤と同一の単剤がない有効成分
について、薬価が最も低い額の単剤を比較薬として、類似薬効比較
方式(Ⅰ)によって算定される額
ロ 単剤の一日薬価との調整
イに関わらず、イの規定により算定される薬価に基づき計算した一日
薬価が、比較薬とした単剤の一日薬価のうち最も高い額を下回る場合に
は、当該単剤の一日薬価と当該新医療用配合剤の一日薬価とが同一とな
るように、当該新医療用配合剤の薬価を算定する。
ハ 規格間調整
イ及びロに関わらず、有効成分の組合せ、剤形区分及び製造販売業者
が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される
場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、有効成
分ごとに次の数値を用いた規格間調整による算定額を求め、その合計に
より算定する。
(イ)当該新医療用配合剤の有効成分の含有量
(ロ)イ及びロにより算定される当該汎用新規収載品の薬価のうち、当該
有効成分の価格に相当する部分及び当該汎用新規収載品における当該
有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
③ 新医療用配合剤に係る単剤について、製造販売業者が当該新医療用配合
剤と同一のものがない場合(④の場合を除く。)
イ 算定の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、新医療用配合剤に係る全ての単剤
(薬価が最も低い額のものを用いるものとする。)の組合せを比較薬と
して、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(補正加算の対象
となる場合には当該額に補正加算を行った額)を当該新医療用配合剤の薬価とする。
ロ 単剤の一日薬価との調整
イに関わらず、イの規定により算定される薬価に基づき計算した一日
薬価が、比較薬とした単剤の一日薬価のうち最も高い額を下回る場合に
は、当該単剤の一日薬価と当該新医療用配合剤の一日薬価とが同一とな
るように、当該新医療用配合剤の薬価を算定する。
ハ 規格間調整
イ及びロに関わらず、有効成分の組合せ、剤形区分及び製造販売業者
が同一の汎用新規収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される
場合には、非汎用新規収載品に該当するものの薬価については、有効成
分ごとに次の数値を用いた規格間調整による算定額を求め、その合計に
より算定する。
(イ)当該新医療用配合剤の有効成分の含有量
(ロ)イ及びロにより算定される当該汎用新規収載品の薬価のうち、当該
有効成分の価格に相当する部分及び当該汎用新規収載品における当該
有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
④ 有効成分の組合せ、剤形区分及び製造販売業者が新医療用配合剤と同一
の最類似薬がある場合
イ 算定の特例
当該新医療用配合剤の薬価については、有効成分ごとに次の数値を用
いた規格間調整による算定額を求め、その合計により算定する。
(イ)当該新医療用配合剤の有効成分の含有量
(ロ)当該最類似薬の薬価のうち、当該有効成分の価格に相当する部分及
び当該最類似薬における当該有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
⑤ 薬価基準に収載されていない有効成分が配合された新医療用配合剤であ
って、当該有効成分に新規性が認められない場合
イ 算定の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、薬価基準に収載されていない有効
成分が配合されていない新医療用配合剤とみなして、①~④のいずれか
により算定する。
6 臨床上併用されない単剤の組合せを比較薬とする新医療用配合剤の薬価算定
第1部及び前部の規定に関わらず、臨床上併用されない単剤の組合せを比較
薬とする新医療用配合剤(抗 HIV 薬を除く。)については、第1部第1節の規定
により算定される額が当該比較薬の単剤ごとの一日薬価の合計額を超える場合
には、当該合計額を当該新医療用配合剤の薬価とする。
7 組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価
算定
イ 算定の特例
第1部及び前部の規定に関わらず、組成及び投与形態が同一で効能及び効
果が異なる既収載品がある新薬(主たる効能及び効果又は当該効能及び効果
に係る用法及び用量に小児に係るものが明示的に含まれているものを除く。)
については、類似薬がある場合であっても、原価計算方式によって算定され
る額を当該新薬の薬価とする。
ただし、当該原価計算方式によって算定される額が、新薬算定最類似薬を
比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額(共同開発そ
の他の理由により、組成及び剤形が同一の新薬算定最類似薬が複数となる場
合には、それぞれについて類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を
当該新薬算定最類似薬の年間販売量で加重平均した額。また、補正加算の対
象となる場合には当該額に補正加算を行った額)又は類似薬効比較方式(Ⅱ)
によって算定される額を超える場合には、当該類似薬効比較方式(Ⅰ)又は
類似薬効比較方式(Ⅱ)によって算定される額を当該新薬の薬価とする。
ロ 外国平均価格調整
当該新薬について、外国平均価格調整を行う要件に該当する場合には、こ
れにより調整される額を薬価とする。
ハ 規格間調整
イ及びロに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規
収載品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規
収載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整によ
り算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)イ及びロにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含
有量
(ハ)類似薬の規格間比
8 ラセミ体又は先行品が存在する新薬の薬価算定
(1)特例の対象となる新薬
本号の対象となる新薬は、次のいずれかの要件に該当するものとする。
イ 光学分割した成分を新有効成分とする新薬であって当該成分を含むラセ
ミ体の既収載品と投与経路、効能・効果等に大きな違いがないもの。
ただし、光学分割を行ったことにより当該ラセミ体に比し高い有効性又
は安全性を有することが客観的に示されている場合を除く。
ロ 製造販売業者、主たる効能及び効果、薬理作用、投与形態並びに臨床上の位置付けが同一、又は同一とみなせる既収載品(以下「先行品」とい
う。)があり、当該先行品の薬価収載の日から5年を経過した後に薬価収
載されるもの。
ただし、補正加算に該当する場合又は開発の経緯や臨床試験等から臨床
的意義が認められる場合を除く。
(2)ラセミ体又は先行品が存在する新薬の特例
イ 算定の特例
第1部の規定に関わらず、当該ラセミ体の既収載品又は当該先行品を比
較薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額に 100 分の 80 を
乗じて得た額(補正加算の対象となる場合には当該額に補正加算を行った
額)を当該新薬の薬価とする。ただし、類似薬効比較方式(Ⅱ)の要件に
も該当し、当該算定額がより低い場合は、類似薬効比較方式(Ⅱ)によっ
て算定される額を当該新薬の薬価とする。
ロ 規格間調整
イに関わらず、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の汎用新規収載
品と非汎用新規収載品とが同時に薬価収載される場合には、非汎用新規収
載品に該当するものの薬価については、次の数値を用いた規格間調整によ
り算定する。
(イ)当該新薬の有効成分の含有量
(ロ)イにより算定される当該汎用新規収載品の薬価及び有効成分の含有量
(ハ)類似薬の規格間比
9 最低薬価を下回る新規収載品の薬価算定の特例
第1部、第2部又は前号の規定によって算定される額が、別表9の左欄に掲
げる薬剤の区分に従い、同表の右欄に掲げる額(以下「最低薬価」という。)
を下回る場合には、同部の規定に関わらず、原則として、最低薬価を当該新規
収載品の薬価とする。
第3章 既収載品の薬価の改定
薬価改定においては、改定前の薬価に対して、次の第1節から第9節までの規定を順に適用して算定される額に改定する。
第1節 市場実勢価格加重平均値調整幅方式
当該既収載品の薬価を市場実勢価格加重平均値調整幅方式により算定される額(販売量が少ないことその他の理由により、薬価調査により市場実勢価格が把握できない既収載品については、当該既収載品の最類似薬の薬価改定前後の薬価の比率の指数その他の方法により算定される額)に改定する。ただし、当該既収載品の薬価改定前の薬価を超えることはできない。
第2節 長期収載品の薬価の改定
1 後発品への置換えが進まない既収載品の薬価の改定
(1)対象品目
本規定の対象品目は、薬事法等の一部を改正する法律(平成 25 年法律第 84号)第1条の規定による改正前の薬事法(以下「旧薬事法」という。)第 14条第9項(旧薬事法第 19 条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により昭和 42 年 10 月1日以降に承認された先発品であって、当該先発品に係る最初の後発品(当該先発品と組成及び剤形区分が同一のもので最も早く薬価収載された類似薬をいう。以下同じ。)の新規収載後5年を経過し、10 年を経過しないもののうち、後発品置換え率(組成及び剤形区分が同一である類似薬のうち後発品であるものへの数量ベースでの置換え率をいう。以下同じ。)が 80%未満であって、次のいずれにも該当しないものとする。
イ 日本薬局方収載医薬品(銘柄毎に薬価収載されているものを除く。)
ロ 生物学的製剤(血液製剤を含む。)
ハ 漢方製剤及び生薬
ニ 希少疾病用医薬品であって、希少疾病以外の疾病に対する効能を有しない医薬品
ホ 第6節の低薬価品の特例のいずれかに該当する医薬品
へ 後発品価格(組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬のうち後発品であるものの価格をいう。以下同じ。)のうち最も低いものを下回る医薬品
(2)薬価の改定方式
(1)に該当する品目については、本規定の適用前の価格に対して、次の
各号に掲げる区分に従い当該各号に掲げる割合を乗じて得た額を引き下げる。
ただし、改定後の後発品価格のうち最も高いものを引下げの下限とする。
イ 後発品置換え率が 40%未満 100 分の2
ロ 後発品置換え率が 40%以上 60%未満 100 分の 1.75
ハ 後発品置換え率が 60%以上 80%未満 100 分の 1.5
2 後発品収載後 10 年を経過した長期収載品の後発品価格への引下げ
(1)対象品目
本規定の対象品目は、先発品であって、当該先発品に係る最初の後発品の新規収載後 10 年を経過したもののうち、次のいずれにも該当しないものとする。
イ 日本薬局方収載医薬品(銘柄毎に薬価収載されているものを除く。)
ロ 生物学的製剤(血液製剤を含む。)
ハ 漢方製剤及び生薬
ニ 希少疾病用医薬品であって、希少疾病以外の疾病に対する効能を有しない医薬品
ホ 第6節の低薬価品の特例のいずれかに該当する医薬品
へ 後発品価格のうち最も低いものを下回る医薬品
(2)薬価の改定方式
① 後発品への置換えが進んでいるもの(G1)
(1)に該当する品目のうち、最初の後発品の収載後 10 年が経過した以降に後発品置換え率が 80%以上になったもの(先発品と後発品の効能又は効果が同一でないものを除く。以下「G1品目」という。)については、次に掲げる各号の区分に従い当該各号に掲げる額に引き下げる。
ただし、本規定の適用前の価格を超えないこととし、改定後の後発品価格のうち最も高いものを引下げの下限とする。また、下記②に規定するG2品目に該当したことのある品目については、次に掲げる各倍率については、②イからヘまでの適用されたことのある倍率のうち最も低い倍率を上限とする。
イ G1品目に該当してから初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 2.5 倍
ロ G1品目に該当してから2年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の2倍
ハ G1品目に該当してから4年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 1.5 倍
ニ G1品目に該当してから6年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値
② 後発品への置換えが困難なもの(G2)
(1)に該当する品目のうち、G1品目以外のもの(以下「G2品目」という。)については、次に掲げる各号の区分に従い当該各号に掲げる額に改定する。ただし、本規定の適用前の価格を超えないこととし、改定後の後発品価格のうち最も高いものを引下げの下限とする。
イ G2品目に該当してから初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 2.5 倍
ロ G2品目に該当してから2年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 2.3 倍
ハ G2品目に該当してから4年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 2.1 倍
ニ G2品目に該当してから6年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 1.9 倍
ホ G2品目に該当してから8年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 1.7 倍
へ G2品目に該当してから 10 年を経過した後に初めて薬価改定を受けるもの 後発品価格の加重平均値の 1.5 倍
(3)補完的な引下げ(C)
(2)の規定により算定される額が、次に掲げる各号の区分に従い当該各号に掲げる額を上回る品目については、(2)の規定に関わらず、当該各号に掲げる額に改定する。ただし、改定後の後発品価格のうち最も高いものを引下げの下限とする。また、バイオ医薬品については、(2)の規定は適用せず、本規定を適用することとする。
イ 後発品置換え率が40%未満 本規定の適用前の価格から、当該額に100分の2を乗じて得た額を控除した額
ロ 後発品置換え率が 40%以上 60%未満 本規定の適用前の価格から、当該額に 100 分の 1.75 を乗じて得た額を控除した額
ハ 後発品置換え率が 60%以上 80%未満 本規定の適用前の価格から、当該額に 100 分の 1.5 を乗じて得た額を控除した額
3 既収載の内用配合剤の薬価の改定の特例
(1)対象品目
本規定の対象品目は、第2章第3部5の規定により薬価算定されることとなる内用配合剤(補正加算の対象とならないものに限る。)に相当すると認められる既収載品であって、当該内用配合剤の有効成分の単剤(当該既収載配合剤の比較薬に限る。)が第2節1又は2に該当するものとする。
(2)薬価の改定方式
(1)に該当する品目については、次により算定される額のうち、いずれか低い額に改定する。
イ 当該内用配合剤の収載時の算定方式に基づき、当該内用配合剤の有効成分のそれぞれの単剤について薬価改定後の額を反映し、算定した額
ロ 本規定を適用しなかった場合の薬価改定後の額
第3節 既収載品の薬価改定時の加算
(1)対象品目
本規定の対象品目は、次のいずれかに該当する品目とする。
① 小児に係る効能及び効果等が追加された既収載品
医薬品医療機器等法第 14 条第9項(同法第 19 条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に基づき小児に係る効能又は効果又は用法及び用量が追加されたもの。ただし、当該効能又は効果等の追加の承認の申請に当たって、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であることその他の合理的な理由により、臨床試験その他の試験の全部又は一部を新たに実施することなく、文献等を添付することにより申請が可能であった場合など、当該既収載品の製造販売業者の負担が相当程度低いと認められるものを除く。
② 希少疾病等に係る効能及び効果等が追加された既収載品
医薬品医療機器等法第 14 条第9項の規定に基づき希少疾病に係る効能又は効果若しくは用法及び用量が追加されたもの(希少疾病用医薬品又はそれに相当すると認められるものに限る。)又は先駆け審査指定制度に指定された効能又は効果若しくは用法及び用量が追加されたものとする。ただし、当該効能又は効果等の追加の承認の申請に当たって、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であることその他の合理的な理由により、臨床試験その他の試験の全部又は一部を新たに実施することなく、文献等を添付す
ることにより申請が可能であった場合など、当該既収載品の製造販売業者の負担が相当程度低いと認められるものを除く。
③ 市販後に真の臨床的有用性が検証された既収載品
市販後に集積された調査成績により、真の臨床的有用性が直接的に検証されていることが、国際的に信頼できる学術雑誌への論文の掲載等を通じて公表されたものとする。ただし、その根拠となる調査成績が大学等の研究機関により得られたものである場合など、当該既収載品の製造販売業者の負担が相当程度低いと認められるものを除く。
(2) 薬価の改定方式
(1)に該当する品目については、本規定の適用前の価格に、別表2に定める有用性加算(Ⅱ)の計算方法を準用して算定される補正加算率を乗じて得た額を加えた額に改定する。ただし、(1)の①から③までのいずれか複数に該当する場合は、補正加算率が最も大きなものを用いる。
第4節 再算定
次に掲げる再算定のいずれか複数に該当する品目については、最も価格の低いものを適用する。
1 市場拡大再算定
(1)市場拡大再算定対象品
次の要件の全てに該当する品目(以下「市場拡大再算定対象品」という。)については、別表6に定める算式により算定される額に改定する。ただし、本規定の適用前の価格の方が低い額となる場合は、当該額に改定する。
イ 次のいずれかに該当する既収載品
(イ)薬価収載される際、原価計算方式により薬価算定された既収載品
(ロ)薬価収載される際、原価計算方式以外の方式により薬価算定されたものであって、薬価収載後に当該既収載品の使用方法の変化、適用対象患者の変化その他の変化により、当該既収載品の使用実態が著しく変化した既収載品
ロ 薬価収載の日(医薬品医療機器等法第 14 条第9項の規定に基づき効能又は効果の変更(以下「効能変更等」という。)が承認された既収載品については、当該効能変更等の承認を受けた日)から 10 年を経過した後の最初の薬価改定を受けていない既収載品
ハ 次のいずれかに該当する既収載品
(イ)年間販売額(組成及び投与形態が当該既収載品と同一の全ての類似薬(以下「同一組成既収載品群」という。)の薬価改定前の薬価を基に計算した年間販売額の合計額をいう。以下同じ。)が 150 億円を超え、基準年間販売額の2倍以上となるもの
(ロ)年間販売額が 100 億円を超え、基準年間販売額の 10 倍以上となるもの((イ)を除き、原価計算方式により算定された既収載品に限る。)なお、基準年間販売額は、次のとおりとする。
① 薬価収載の日から 10 年を経過した後の最初の薬価改定以前の場合
基準年間販売額は、同一組成既収載品群が薬価収載された時点における予想年間販売額の合計額
ただし、当該同一組成既収載品群が、前回の薬価改定以前に、市場拡大再算定((3)①に規定する市場拡大再算定類似品の価格調整を含む。)の対象となっている場合には、直近に当該再算定を行った時点における同一組成既収載品群の年間販売額の合計額とする。
② 効能変更等の承認があった場合であって、薬価収載の日から 10 年を経過した後の最初の薬価改定後の場合
基準年間販売額は、効能変更等の承認を受けた日の直前の薬価改定の時点における同一組成既収載品群の年間販売額の合計額
ただし、当該同一組成既収載品群が、前回の薬価改定以前(効能変更等の承認後に限る。)に市場拡大再算定((3)①に規定する市場拡大再算定類似品の価格調整を含む。)の対象となっている場合には、直近に当該再算定を行った時点における同一組成既収載品群の年間販売額の合計額とする。
(2)市場拡大再算定の特例
次の全ての要件に該当する既収載品(以下「特例拡大再算定対象品」という。)については、別表6に定める算式により算定される額に改定する。ただし、本規定の適用前の価格の方が低い額に改定される場合は、当該額に改定する。また、(1)に該当する既収載品については、(1)又は(2)のいずれか低い額とする。
イ 薬価収載の日(効能変更等が承認された既収載品については、当該効能変更等の承認を受けた日)から 10 年を経過した後の最初の薬価改定を受けていない既収載品
ロ 次のいずれかに該当する既収載品
(イ)年間販売額が 1,500 億円を超え、基準年間販売額の 1.3 倍以上となるもの
(ロ)年間販売額が 1,000 億円を超え、基準年間販売額の 1.5 倍以上となるもの((イ)を除く。)
(3)類似品の価格調整
次のいずれかに該当する既収載品については、別表6に定める算式により算定される額に改定する。ただし、本規定の適用前の価格の方が低い額に改定される場合は、当該額に改定することとし、(1)又は(2)に該当する既収載品については、(1)又は(2)により算定される額とする。
① 市場拡大再算定の場合
次のいずれかに該当する既収載品(以下「市場拡大再算定類似品」という。)
イ 当該市場拡大再算定対象品の薬理作用類似薬である既収載品
ロ 市場拡大再算定対象品又は市場拡大再算定類似品と組成が同一の既収載品
ただし、市場規模、薬価基準への収載時期、適応の範囲等を考慮し、市場拡大再算定対象品と市場における競合性が乏しいと認められるものを除く。
② 市場拡大再算定の特例の場合
特例拡大再算定対象品の薬理作用類似薬であって、次のいずれかに該当する既収載品(以下「特例拡大再算定類似品」という。)
イ 薬価収載の際の比較薬が当該特例拡大再算定対象品である既収載品
ロ 薬価収載の際の比較薬が特例拡大再算定類似品である既収載品
ハ 特例拡大再算定対象品又は特例拡大再算定類似品と組成が同一の既収載品
ただし、市場規模、薬価基準への収載時期、適応の範囲等を考慮し、特例拡大再算定対象品と市場における競合性が乏しいと認められるものを除く。
2 効能変化再算定
(1)主たる効能変化品
次の全ての要件に該当する汎用規格の既収載品については、別表7に定めるところにより算定される額に改定する。ただし、別表7(1)に該当する場合は本規定を適用しない。
イ 効能変更等がなされた既収載品であって、当該効能変更等が、薬価算定上、主たる効能及び効果の変更と認められる既収載品
ロ 当該変更後の主たる効能及び効果に係る類似薬(新薬として薬価収載されたものに限り、当該既収載品と組成及び投与形態が同一のものを除く。)がある既収載品
(2)主たる効能変化品の類似薬の価格調整
次のいずれかに該当する既収載品については、別表7に定める算式より算定される額に改定する。
イ 主たる効能変化品と、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の非汎用規格の既収載品(主たる効能変化品と同様の効能変更等があったものに限る。)
ロ (1)の効能変化再算定を行った後に、当該主たる効能変化品と組成及び投与形態が同一である類似薬について、同様の効能変更等があった既収載品
3 用法用量変化再算定
(1)用法用量変化再算定の原則
医薬品医療機器等法第 14 条第9項の規定に基づき、主たる効能又は効果に係る用法及び用量に変更があった既収載品(主たる効能変化品及び主たる効能変化品の類似薬の価格調整の対象となる既収載品並びに副作用の発生の防止等安全対策上の必要性により主たる効能及び効果に係る通常最大用量が減少した既収載品を除く。)については、別表8に定める算式により算定される額に改定する。
主たる効能又は効果に係る効能変更等に伴い用法及び用量に大幅な変更があった既収載品については、市場規模が 100 億円を超え、かつ、市場規模が効能変更等の承認を受けた日の直前の薬価改定の時点における年間販売額(同一組成既収載品群の年間販売額をいう。)から 10 倍以上となった場合に、別表8に定める算式により算定される額に改定する。
これらの規定は、当該規定の対象となった医薬品(類似品を含む。)が薬価収載の際の比較薬である医薬品(用法及び用量の変更後に比較薬とした場合に限る。)についても、類似品として適用する。
(2)用法用量変化再算定の特例
薬価収載時又は効能又は効果の追加の際に定めた保険適用上の投与期間及び適用対象となる患者の範囲が変更された既収載品については、別表8に定める算式により算定される額に改定する。ただし、(1)に該当する既収載品については、(1)により算定される額に改定する。
4 薬価改定の際以外の再算定
効能変更等が承認された既収載品及び薬価収載時に2年度目の予想販売額が、原価計算方式により算定された品目にあっては 100 億円以上、それ以外の品目にあっては 150 億円以上であるもののうち、本節1又は3に定める要件に該当する既収載品について、薬価改定の際に限らず、年4回、薬価を改定する。ただし、1に該当する品目については、1(1)ハの 150 億円及び 100 億円とあるのは、いずれも 350 億円と読み替えて適用する。
薬価改定の際の再算定(市場拡大再算定、効能変化再算定又は用法用量変化再算定をいう。以下同じ。)又は薬価改定の際以外の再算定を連続して行う場合は、これらの改定が施行される前の年間販売額に基づく再算定は、行わないこととする。ただし、次のとおりとする。
イ 薬価改定の際以外の再算定が施行される前に実施された薬価調査に基づき薬価改定を行う場合は、当該再算定が施行される前の薬価を改定前薬価とする薬価改定後の額が当該再算定後の額より低い場合は、当該薬価改定後の額に改定する。
ロ 薬価改定(再算定が行われたものを除く。)が施行される前の年間販売額に基づき薬価改定の際以外の再算定を行う場合は、当該薬価改定が施行される前の薬価を再算定前薬価とする再算定後の額が当該薬価改定後の額より低い場合は、当該再算定後の額に改定する。
第5節 後発品等の価格帯
1 組成、剤形区分及び規格が同一である既収載品群の価格帯
次の(1)から(3)までに定めるいずれかの要件に該当する既収載品については、各号に掲げる品目ごとに、本規定の適用前の価格を加重平均する。
(1)組成、剤形区分及び規格が同一である全ての類似薬のうち、本規定の適用前の価格が最も高いものに 100 分の 30 を乗じて得た額を下回る算定額となる既収載品
(2)組成、剤形区分及び規格が同一である全ての類似薬のうち、本規定の適用前の価格が最も高いものに 100 分の 30 を乗じて得た額以上かつ 100 分の50 を乗じて得た額を下回る算定額となる既収載の後発品
(3)組成、剤形区分及び規格が同一である全ての類似薬のうち、本規定の適用前の価格が最も高いものに 100 分の 50 を乗じて得た額以上の算定額となる既収載の後発品
ただし、第2章第2部1イの規定により比較薬の薬価に 100 分の 50 を乗じて算定された後発品の額が、同部2(1)ロの規定により比較薬の薬価に 100 分の40 を乗じて算定された後発品(薬価調査により市場実勢価格が把握できないものに限る。)のみからなる価格帯に入る場合、前者の額は、後者の本規定の適用前の価格に集約する。
2 G1品目又はG2品目に係る後発品の価格帯
(1)G1品目に係る後発品の価格帯
1の規定に関わらず、G1品目のうち、市場から撤退する予定の先発品に係る後発品については、当該G1品目が撤退を決めた後の最初の薬価改定の際、次に掲げる各号の区分に該当する企業が製造販売する後発品ごとに加重平均により価格を集約する。ただし、ロの企業が製造販売する後発品の価格はイの企業が製造販売する後発品の価格を超えないこととする。
イ 当該G1品目に係る後発品について増産対応する企業であって、合算して後発品生産量が全後発品の 50%を超える単一又は複数の企業
ロ イ以外の企業
(2)G2品目に係る後発品等の価格帯
1の規定に関わらず、G1品目のうち、市場から撤退しない予定の先発品に係る後発品及びG2品目に係る後発品については、G1品目又はG2品目に該当してから2年を経過した後の薬価改定において、加重平均により1価格帯に集約する。
第6節 低薬価品の特例
1 基礎的医薬品
(1)薬価改定の際、次の全ての要件に該当する既収載品(十分な収益性が見込まれるものを除く。以下「基礎的医薬品」という。)については、薬価改定前の薬価(本規定適用前の額が薬価改定前の薬価を上回る場合には、当該額)(当該既収載品と組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬がある場合には、薬価改定前の薬価を基に計算した年間販売額が最も大きい銘柄の薬価改定前の薬価(本規定適用前の額が薬価改定前の薬価を上回る場合には、当該額))とする。
イ 医療上の位置付けが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかであること
ロ 当該既収載品並びに組成及び剤形区分が同一である全ての類似薬のうち、薬価収載の日から 25 年を経過しているものがあること
ハ 当該既収載品と組成及び剤形区分が同一である類似薬がある場合には、当該既収載品を含む類似薬の平均乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと
ニ 当該既収載品の市場実勢価格の薬価に対する乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと
(2)基礎的医薬品と組成、剤形区分及び規格が同一の類似薬であって、基礎的医薬品に該当しないものについては、全ての当該類似薬の本規定の適用前の価格の加重平均値に改定する。
2 不採算品再算定
1(1)の要件に該当しない既収載品又は1(1)の要件に該当する既収載品のうち、製造販売に要する原価等が著しく上昇したと認められるもの等について、次のいずれかの要件に該当する場合は、原価計算方式によって算定される額(当該既収載品と組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬がある場合には、それぞれについて原価計算方式によって算定される額のうち、最も低い額)を当該既収載品の薬価とする。
ただし、営業利益率は、製造販売業者の経営効率を精査した上で、100 分の5を上限とする。
イ 保険医療上の必要性が高いものであると認められる既収載品であって、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難であるもの(当該既収載品と組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬がある場合には、全ての類似薬について該当する場合に限る。)
ロ 新規後発品として薬価収載された既収載品のうち、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難であるもの(当該既収載品と組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬(新規後発品として薬価収載されたものに限る。)がある場合には、当該全ての類似薬について該当する場合に限る。)
なお、安全対策上の必要性により製造方法の変更等を行ったものであって、当該既収載品の薬価をそのまま適用しては不採算となり、緊急性があるものについては、薬価改定の際に限らず、当該薬価を改定することができる。
3 最低薬価
薬価改定の際、1又は2の要件に該当しない既収載品について、本規定の適用前の価格が、別表9の左欄に掲げる薬剤の区分に従い、同表の右欄に掲げる額(以下「最低薬価」という。)を下回る場合には、最低薬価に改定する。
なお、本規定の適用前に価格帯集約を受けた医薬品であって、価格帯のうちいずれかの品目が最低薬価を下回る場合は、同一の価格帯に含まれる既収載品の中で最も高額な最低薬価を当該価格帯に含まれる全ての医薬品の最低薬価とする。
第7節 新薬創出・適応外薬解消等促進加算
1 加算
(1)対象品目
新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下「新薬創出等加算」という。)の対象品目は、次に掲げる全ての要件に該当する既収載品とする。
イ 新薬として薬価収載され、当該品目に係る後発品が薬価収載されていないこと(薬価収載の日から 15 年を経過していないものに限る。)
ロ 次のいずれかの要件に該当すること
① 希少疾病用医薬品として指定された効能又は効果について承認を受けている医薬品
② 未承認薬等検討会議における検討結果を踏まえ、厚生労働省が開発を公募した医薬品
③ 薬価収載の際、画期性加算、有用性加算(Ⅰ)、有用性加算(Ⅱ)若しくは営業利益率のプラスの補正の対象となった医薬品又は薬価改定の際、市販後に真の臨床的有用性が検証された既収載品の薬価の改定の特例を受けた医薬品(以下「加算適用品」という。)
④ 新規作用機序医薬品(薬価収載時に薬理作用類似薬がなしとされた医薬品をいう。)であって、別表 10 の基準に該当する医薬品
⑤ 薬価収載時に薬理作用類似薬が1又は2であり、かつ最も早く収載された薬理作用類似薬の収載から3年以内に収載された医薬品であって、薬理作用類似薬のうち最も早く収載された医薬品が加算適用品又は別表10 の基準に該当するもの
ハ 第2章第3部5の規定により薬価算定されることとなる配合剤(補正加算の対象とならないものに限る。)に相当すると認められるものについては、薬価収載の日から 15 年を経過した既収載品の有効成分又は後発品が薬価収載されている既収載品の有効成分を含有するものでないこと
ニ 第4節の再算定のいずれにも該当しないこと
(2)対象企業
新薬創出等加算の対象企業は、未承認薬等検討会議における検討結果を踏まえ、厚生労働省から開発を要請された品目について、開発の拒否、合理的な理由のない開発の遅延等、適切に対応を行わなかった企業以外の企業とする。
(3)薬価の改定方式
(1)に該当する品目については、(2)に掲げる企業が製造販売するものに限り、本規定の適用前の価格に、別表 11 に定める額を加えた額に改定する。
2 控除
これまで新薬創出等加算を受けたことのある既収載品について、初めて次の要件のいずれかに該当した場合は、これまで受けた新薬創出等加算の累積額を本規定の適用前の価格から控除する。
イ 当該既収載品に係る後発品が薬価収載されていること
ロ 薬価収載の日から 15 年を経過していること
ハ 第2章第3部5の規定により薬価算定されることとなる配合剤(補正加算の対象とならないものに限る。)に相当すると認められるものについては、薬価収載の日から 15 年を経過した既収載品の有効成分又は後発品が薬価収載されている既収載品の有効成分を含有するものであること
ニ 未承認薬等検討会議における検討結果を踏まえ、厚生労働省から開発を要請された品目について、開発の拒否、合理的な理由のない開発の遅延等、適切に対応を行わなかった企業が製造販売するものであること
第8節 既収載品の外国平均価格調整
次の全ての要件に該当する品目(平成 30 年3月以前に薬価収載された品目については、再算定の対象となったものに限る。)については、本規定の適用前
の価格に外国平均価格調整(引上げ調整を除く。)を行う。
イ 原薬・製剤を輸入していること
ロ 薬価収載の際、原価計算方式により算定されたこと
ハ 薬価収載の際、参照できる外国価格がなかったこと
ニ 薬価収載の後、いずれかの外国価格が初めて掲載されたこと
第9節 費用対効果評価
1 対象品目
費用対効果評価に基づく価格調整の対象品目は、「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて」(平成 31 年3月 29日医政発 0329 第 43 号、保発 0329 第5号。以下「費用対効果評価通知」という。)に基づき費用対効果評価の対象品目に指定され、中央社会保険医療協議会総会において費用対効果評価の結果が決定された医薬品とする。
2 価格調整方法
対象品目について、費用対効果評価の結果及び別表 12 に定める算式により、薬価改定の際に限らず、年4回、価格調整を行う。なお、薬価改定と費用対効果評価に基づく価格調整を同時に行う場合には、各品目の ICER(対象品目の増分費用効果比をいう。以下同じ。)等は、当該医薬品及び比較対照技術(比較対照品目を含む。以下同じ。)の改定後の価格に基づき算出したものを用いることとする。
第4章 実施時期等
1 実施時期
(1)新規収載品に係る薬価算定基準は、平成 12 年4月に承認を受けた薬剤に係る通常の薬価収載時から適用する。
(2)効能変化再算定、用法用量変化再算定は、平成 12 年4月以降に医薬品医療機器等法の承認を受けたものその他の当該各号に定める要件を満たしたものについて適用し、当該要件を満たした時期に応じ、平成 12 年度薬価改定以降の最初の薬価改定又は当該薬価改定後の薬価改定の際に実施する。
2 改正手続き
薬価算定基準の改正は、中央社会保険医療協議会の承認を経なければならない。
3 経過措置
(1)薬価算定基準の実施にあたっては、平成 12 年3月 31 日において薬価収載されているものについては、当該既収載品が新規に薬価収載された際に新薬の定義に該当すると認められる場合には、新薬として薬価収載された既収載品とみなし、当該既収載品が新規に薬価収載された際に新規後発品の定義に該当すると認められる場合には、新規後発品として薬価収載された既収載品とみなす。
(2)平成 28 年度薬価改定において最低薬価とみなして最低薬価に係る規定を適用することとされた既収載品及び平成 30 年3月 31 日における薬価が最低薬価を下回る既収載品の薬価については、当該薬価(再算定により薬価が引き上げられた場合には、当該再算定後の薬価)を最低薬価とみなして、最低薬価に係る規定を適用する。ただし、当該薬価(再算定により薬価が引き上げられた場合には、当該再算定後の薬価)が、最低薬価以上のときはこの限りでない。
(3)平成 30 年度薬価改定においては、第3章第2節2の規定の適用について次に掲げる措置を講じる。
イ 品目ごとに、本規定の適用による引下げ率(本規定の適用前の価格からの本規定の適用後の価格への変化率をいう。)が 50%を超えるものについては、50%を上限として本規定を適用する。
ロ 企業ごとに、本規定の適用による影響率(当該企業の医療用医薬品の総売上に対する、本規定の適用により減少すると見込まれる売上の割合をいう。)が5%を超える企業については、当該企業の本規定の適用を受ける全ての品目については、本規定の適用による引下げ率が、次の円滑実施係数を乗じた率となるように本規定を適用する。
円滑実施係数 = (影響率×0.5+2.5%)÷ 影響率
(4)平成 30 年度薬価改定の際に、最初の後発品の薬価収載後 10 年を経過した長期収載品は、G1品目又はG2品目に該当してから初めて薬価改定を受けるものとみなして、第3章第2節2及び第3章第5節2(2)の規定を適用する。
(5)平成 30 年度薬価改定においては、基礎的医薬品について、過去に不採算品再算定が適用された有効成分を含有する既収載品、病原生物に対する医薬品、医療用麻薬、生薬、軟膏基剤又は歯科用局所麻酔剤に限るものとする。
(6)費用対効果評価の試行的導入
平成 30 年度薬価改定において、費用対効果評価の試行的導入の対象品目に指定され、評価結果において製造販売業者による分析と公的分析の結果が併記された品目については、別表 12 に定める算式により価格調整を行う。
別表
別表1 剤形区分
別表2 補正加算の計算方法
別表3 外国平均価格調整の計算方法
別表4 規格間調整の計算方法
別表5 市場実勢価格加重平均値調整幅方式の計算方法
別表6 市場拡大再算定対象品等の計算方法
別表7 効能変化再算定の計算方法
別表8 用法用量変化再算定の計算方法
別表9 最低薬価
別表 10 新規作用機序医薬品の革新性及び有用性に係る基準
別表 11 新薬創出・適応外薬解消等促進加算の計算方法
別表 12 費用対効果評価に基づく価格調整の計算方法
1 価格調整の対象範囲
(1)類似薬効比較方式により算定された医薬品
類似薬効比較方式により算定された医薬品については、画期性加算、有用性加算(Ⅰ)又は有用性加算(Ⅱ)(以下「有用性系加算」という。)の加算部分割合を費用対効果評価による価格調整前の価格に乗じて得た額(以下「有用性系加算部分」という。)を価格調整対象とする。
加算部分割合は、薬価収載時における算定薬価(外国平均価格調整を受けた品目については、当該価格調整前の価格をいう。)に対する有用性系加算の加算額の割合とする。
(2)原価計算方式により算定された医薬品
原価計算方式により算定された医薬品については、次のいずれかを価格調整対象とする。
① 有用性系加算の加算対象となる品目であって、開示度が 50%以上のものについては、有用性系加算部分を価格調整対象とする。
② 有用性系加算の加算対象となる品目であって、開示度が 50%未満のものについては、有用性系加算部分及び価格調整前の価格から有用性系加算部分を除いた額に薬価収載時における営業利益率を乗じて得た額を価格調整対象とする。
③ 有用性系加算の加算対象とならない品目であって、開示度が 50%未満のものについては、薬価収載時における営業利益率を価格調整前の価格に乗じて得た額を価格調整対象とする。
④ 平成 30 年 4 月1日以前に薬価収載された品目であって、営業利益率のプラスの補正の対象になったものについては、薬価収載時における営業利益率に対する補正率の割合を営業利益率に乗じて得た割合(以下「補正割合」という。)を価格調整前の価格に乗じて得た額を価格調整対象とする。
薬価収載時から価格調整までの間に行われた薬価改定時の加算の対象となった品目については、当該加算を受けた際の、当該加算額及び当該加算を除いた額に薬価収載時における補正割合を乗じて得た額の合計額を新たな加算額とし、当該加算を受けた直後の価格に対する当該新たな加算額の割合を、価格調整前の価格に乗じて得た額を価格調整対象とする。
2 価格調整の計算方法
(1)類似薬効比較方式等により算定された医薬品
① 費用対効果評価による薬価の算式
1(1)並びに1(2)①及び④に該当する品目は、次の算式により価格調整後の薬価を算出する。なお、価格調整係数(β)は、②に定めるとおりとする。
価格調整後の薬価 =価格調整前の価格 − 価格調整対象 × (1 − β)
ただし、当該対象品目が複数の分析対象集団を持つ場合にあっては、分析対象集団ごとに ICER を算出し、それぞれの ICER に応じた価格調整係数(β)を用いて分析対象集団ごとの価格(②アⅰの場合において、価格調整による引上げ額については、価格調整前の価格の5%を上回らない額とし、かつ価格調整後の価格で算出するそれぞれの分析対象集団の ICER が200 万円/QALY 以下となる額とし、②イの場合において、価格調整による引上げ額については、価格調整前の価格の 10%を上回らない額とし、かつ対象品目の比較対照技術と比較した当該分析対象集団における患者1人当たりの費用削減額について、価格調整後の価格で算出する費用削減額が価格調整前の価格で算出する費用削減額の2分の1に相当する額を下回らない額とする。)を算出し、それらを当該分析対象集団の患者割合等で加重平均して算出したものを価格調整後の薬価とする。
② 価格調整係数(β)
ア 対象となる医薬品の費用及び効果が費用対効果評価における比較対照技術(比較対照品目を含む。以下同じ。)より増加し、ICER が算出可能な場合、価格調整係数(β)は次に掲げる品目ごとに、それぞれ次に定める係数とする。
- ICER が 200 万円/QALY 未満の品目であって、価格調整時点において、次の(一)及び(二)のいずれにも該当するもの 1.25
(一)対象品目に係るメタ解析及びシステマチックレビューを除く臨床研究が、次のいずれにも該当すること。
( ア )対象品目に係る新規の臨床研究に関する論文が、impact factor(Clarivate analytics 社の “InCites Journal Citation Reports” により提供されている impact factor をいう。)の平均値(当該論文の受理又は論文掲載時から過去5年間の平均値)が 15.0 を超える学術誌に原著論文として受理されていること。
(イ)当該論文を受理した学術誌が、レビュー雑誌又は創刊 10 年以内の学術誌でないこと。
(ウ)当該臨床研究において、比較対照技術より効果が増加することが日本人を含むアジア人を対象とした集団において統計学的に示されていること。
(二)対象品目の薬理作用等が比較対照技術と著しく異なること。 - ICER が 200 万円/QALY 未満の品目であって、価格調整時点において、上記(一)若しくは(二)のいずれかに該当しないもの又はいずれにも該当しないもの 1.0
- ICER が 200 万円/QALY 以上 500 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 200 万円/QALY 以上 750 万円/QALY 未満の品目 1.0
- ICER が 500 万円/QALY 以上 750 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 750 万円/QALY 以上 1,125 万円/QALY未満の品目 0.7
- ICER が 750 万円/QALY 以上 1,000 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 1,125 万円/QALY 以上 1,500 万円/QALY 未満の品目 0.4
- ICER が 1,000 万円/QALY 以上の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 1,500 万円/QALY 以上の品目 0.1
イ 対象となる医薬品の効果が比較対照技術に対し増加又は同等であり、かつ費用が削減され、ICER が算出不可能な場合、価格調整係数(β)は次に掲げる品目ごとに、それぞれ次に定める係数とする。
- 価格調整時点において、次の(一)及び(二)のいずれにも該当する品目 1.5
(一)対象品目の効果が比較対照技術に対し増加又は同等であることが、メタ解析及びシステマチックレビューを除く臨床試験により示されていること。
(二)対象品目の薬理作用等が比較対照技術と著しく異なること。 - 価格調整時点において、上記(一)若しくは(二)のいずれかに該当しない品目又はいずれにも該当しない品目 1.0
(2)原価計算方式により算定された医薬品(開示率が低いものに限る。)
① 費用対効果評価による薬価の算式
1(2)②及び③に該当する品目は、次の算式により価格調整後の薬価を算出する。なお、対象品目の有用性系加算部分に係る価格調整係数(γ)及び価格調整対象のうち営業利益率を乗じて得た額の部分(以下「営業利益部分」という。)に係る価格調整係数(θ)は、②に定めるとおりとする。
価格調整後の薬価 = 価格調整前の薬価 − 有用性系加算部分 × (1 − γ)− 営業利益部分 × (1 − θ)
ただし、当該対象品目が複数の分析対象集団を持つ場合にあっては、分析対象集団ごとに ICER を算出し、それぞれの ICER に応じた価格調整係数(γ及びθ)を用いて分析対象集団ごとの価格((1)②アⅰの場合において、価格調整による引上げ額については、価格調整前の価格の5%を上回らない額とし、かつ価格調整後の価格で算出するそれぞれの分析対象集団の ICER が 200 万円/QALY 以下となる額とし、(1)②イの場合において、価格調整による引上げ額については、価格調整前の価格の 10%を上回らない額とし、かつ対象品目の比較対照技術と比較した当該分析対象集団における患者1人当たりの費用削減額について、価格調整後の価格で算出する費用削減額が価格調整前の価格で算出する費用削減額の2分の1に相当する額を下回らない額とする。)を算出し、それらを当該分析対象集団の患者割合等で加重平均して算出したものを価格調整後の薬価とする。
② 価格調整係数(γ)
価格調整係数(γ)は、(1)②ア及びイに掲げる品目ごとに、それぞれ(1)②ア及びイに定める係数とする。
③ 価格調整係数(θ)
ア 対象となる医薬品の費用及び効果が比較対照技術より増加し、ICER が算出可能な場合、価格調整係数(θ)は次に掲げる品目ごとに、それぞれ次に定める係数とする。
- ICER が 500 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 750 万円/QALY 未満の品目 1.0
- ICER が 500 万円/QALY 以上 750 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 750 万円/QALY 以上 1,125 万円/QALY 未満の品目 0.83
- ICER が 750 万円/QALY 以上 1,000 万円/QALY 未満の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 1,125 万円/QALY 以上1,500 万円/QALY 未満の品目 0.67
- ICER が 1,000 万円/QALY 以上の品目又は総合的評価で配慮が必要とされた ICER が 1,500 万円/QALY 以上の品目 0.5
イ 対象となる医薬品の効果が比較対照技術に対し増加又は同等であり、かつ費用が削減され、ICER が算出不可能な場合、価格調整係数は 1.0 とする。
(3) 価格調整後の薬価の下限
(1)又は(2)により算出された価格が、次に掲げる品目ごとに、それぞれ次に定める価格を下回る場合には、それぞれ当該価格を価格調整後の薬価とする。ただし、価格調整後(引下げに相当するものに限る。)の薬価については、当該薬価に基づき算出した ICER が 500 万円/QALY(総合的評価で配慮が必要とされたものについては 750 万円/QALY)を下回らない額とする。
なお、1(2)④に該当する品目については、薬価収載時における補正割合を有用性系加算の加算率とみなして、本規定を適用する。
① 有用性系加算の加算対象とならない品目又は有用性系加算の加算対象となる品目であって、有用性系加算の加算率(別表2に規定する加算係数を乗じる前の加算率をいう。以下同じ。)が 25%以下のもの
価格調整前の価格を 10%引き下げた額
② 有用性系加算の加算対象となる品目であって、有用性系加算の加算率が 25%を超え 100%未満のもの
価格調整前の価格を、次の算式により算出された引下率で引き下げた額
引下率 =10 + (当該品目の有用性系加算の加算率 [%]-25)÷ 15 (%)
③ 有用性系加算の加算対象となる品目であって、有用性系加算の加算率が 100%以上のもの
価格調整前の価格を 15%引き下げた額
(4)費用対効果評価通知に規定するH5区分に該当する品目の価格調整
H5区分に該当する品目の価格調整については、対象品目の薬価収載時における比較薬に係る費用対効果評価に基づく価格調整前の価格に対する価格調整後の価格の比率を、対象品目の価格調整前の価格に乗じて得た額を価格調整後の薬価とする。配合剤については、各成分の価格調整前の価格に対する価格調整後の価格の比率を各成分の1日薬価相当額で加重平均した値を、対象品目の価格調整前の価格に乗じて得た額を価格調整後の薬価とする。