プラグマティックトライアル(Pragmatic Trial, Pragmatic Clinical Trial)は、これからのヘルスケア業界の新たな柱となり得るので、要注目です。
誤解を恐れず要点だけ掻い摘むと「治験よりも組み入れ基準・除外基準を緩くして、出来るだけ一般化可能性を高めた介入研究」となります。
科学的再現性を可能な限り担保しながらも、実臨床との乖離を極力減らす、というコンセプトです。
プラグマティックトライアルは、観察研究と治験の中間に位置するものとして、これから成長していくでしょう。
Table of Contents
PRECIS(Pragmatic-Explanatory Continuum Indicator Summary)ツール
どの程度のプラグマティズム (Pragmatism) かを評価するためのツールがあります。
PRECIS-2というものが紹介されているので、見て行きましょう。
被験者および研究者の募集
適格性 (Eligibility)
いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちは、通常診療でおなじ介入を受ける場合に比べて、どの程度似通っているか?
あるいは、どんな違いが生じる可能性があるか?
募集 (Recruitment)
いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちを集めるために、どの程度の努力あるいは労力が割かれることになるのか?
そして、通常の診療で患者さんとの間にエンゲージメント(約束)を築く際に比べて、どの程度多くの努力あるいは労力が割かれることになるのか?
設定 (Setting)
いま考えている Pragmatic Trial は、通常の診療と比べて、どの程度異なった状況設定になっているのか?
介入
Organization
いま考えている Pragmatic Trial において、介入群において割かれるリソースや、関わる研究者や医療者の専門知識、および介入を実施する医療機関は、通常の診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるのか?
Flexibility in delivery
いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入が実施されるかどうかの柔軟性は、通常の診療にくらべてどの程度の違いがあるか?
Flexibility in adherence
いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入に対するアドヒアランス向上のために、どの程度、順守状況を監視(モニタリング)したり、あるいは順守するように促しているか?
また、その監視であったり、順守を促すようなことは、通常の診療における監視や促しに比べて、どの程度の違いがあるか?
追跡
Follow-up
測定や検査の強度であったり、Pragmatic Trial の参加者の追跡あるいはフォローアップは、通常診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるか?
解析と結果
Primary Outcome
主要評価項目(Primary Outcome)は、どの程度、研究参加者に直接的に関わっているか?
Primary Analysis
主要評価項目(Primary Outcome)の解析に、どの程度まで収集されたデータが用いられているか?
関連情報
NEJM (New England Journal of Medicine) でも、Pragmatic Trialについての概要記事があるので、より学問的な知識を得たい方はそちらもご覧ください。
Pragmatic Trials
Ian Ford, Ph.D., and John Norrie, M.Sc.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1510059