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審査報告書
平成30年1月16日
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
承認申請のあった下記の医薬品にかかる医薬品医療機器総合機構での審査結果は、以下のとおりである。
記
[販売名]
①アシテアダニ舌下錠100単位(IR)、②同ダニ舌下錠300単位(IR)
[一般名]
なし
[申請者]
塩野義製薬株式会社
[申請年月日]
平成29年3月28日
[剤形・含量]
① 1錠中にヤケヒョウヒダニエキス原末50単位(IR)及びコナヒョウヒダニエキス原末50単位(IR)を含有する舌下錠
② 1錠中にヤケヒョウヒダニエキス原末150単位(IR)及びコナヒョウヒダニエキス原末150単位(IR)を含有する舌下錠
[申請区分]
医療用医薬品(6) 新用量医薬品
[特記事項]
なし
[審査担当部]
新薬審査第四部
[審査結果]
別紙のとおり、提出された資料から、12歳未満の小児における本品目のダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断する。
以上、医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目については、下記の承認条件を付した上で、以下の効能又は効果並びに用法及び用量で承認して差し支えないと判断した。
[効能又は効果]
ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法
(変更なし)
[用法及び用量]
通常、成人及び12哉以上の小児には、1回100単位(IR) を1日1回舌下投与から開始し、1回投与量は100単位(IR) ずつ、300単位(IR) まで増量する。なお、漸増期間は、原則として3日間とするが、患者の状態に応じて適宜延長する。舌下投与後は完全に溶解するまで保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。
(取消線部削除)
別紙 審査報告(1)
平成29年11月29日
起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等
アシテアダニ舌下錠100単位(IR) 及び同ダニ舌下錠300単位(IR) は、フランスの Stallergenes S.A. 社で創製された、室内塵ダニであるコナヒョウヒダニ Dermatophagoides farinae 及びヤケヒョウヒダニ Dermatophagoides pteronyssinus から抽出、調製されたそれぞれのエキスを抗原活性比1: 1の割合で含有する錠剤である。本邦において、本剤は、「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」を効能・効果として、「通常、成人及び12歳以上の小児には、1回100単位(IR) を1日1回舌下投与から開始し、1回投与量は100単位(IR) ずつ、300単位(IR) まで増量する。なお、漸増期間は、原則として3日間とするが、患者の状態に応じて適宜延長する。舌下投与後は完全に溶解するまで保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。」の用法・用量にて2015年3月に承認されている。
本邦における12 歳未満の小児患者を対象とした臨床開発は20■■年■■月より開始され、今般、国内臨床試験の成績に基づき用法・用量の変更に係る製造販売承認事項一部変更承認申請が行われた。
海外では、本剤は室内塵ダニによるアレルギー性鼻炎に係る効能・効果で、成人及び12歳以上の小児に対して、2017年11月現在、豪州、韓国及びニュージーランドで承認されており、■■■■■で■■■■■である。また、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、2017 年11 月現在、■■■■■にて■■■■■■である。
なお、本剤の活性単位IR 1) は、該当する抗原(ダニ抗原)に感作されている30人の患者にスキンプリックテストを行い、膨疹直径の平均が7mmになる濃度を100IR/mLと定義されている。
1) 一般社団法人日本アレルギー学会により、国内独自のアレルゲン活性単位として Japan allergy unit (JAU) が設定されているが、100 IR は 19,000 JAU に相当する。
機構における審査の概略
有効性について
申請者は、小児患者における本剤の有効性について、以下のように説明している。
国内第III相試験(以下、D1732試験)では、欧州のアレルゲンエキス製剤の臨床評価ガイドラインを参考に、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉及び鼻内そう痒感を指標とする日中鼻症状スコアを、レスキュー薬の使用の有無により調整した調整鼻症状スコアを主要評価項目として設定し、調整鼻症状スコアの変化量について、本剤群とプラセボ群の間に統計学的有意差が認められた。
アレルゲンエキス製剤の臨床試験では、鼻炎症状の程度とレスキュー薬の使用の両方を反映した評価指標として、鼻症状スコアとレスキュー薬スコアを加算する併合スコアも用いられていることから、併合スコア(日中鼻症状スコアを4で除した値とレスキュー薬スコアを2で除した値の合計。範囲: 0~2.875) を用いた解析をD1732試験についても探索的に行った。その結果、投与48~52週における平均併合スコアの本剤群とプラセボ群の差は -0.12 [95%信頼区間:-0.20, -0.05] ※であり、本剤群の有効性はプラセボ群を上回る傾向が示唆された。
※ 観測時点、投与群、投与群と観測時点の交互作用、ベースライン値、年齢、春花粉への重複感作の有無を説明変数とし、誤差分散に特定の共分散構造を仮定しない反復測定混合効果モデル。
D1732試験における年齢区分別の、投与48~52週の平均調整鼻症状スコアは表5のとおりであり、12歳未満の部分集団においても全体集団(表3) と同様の傾向が示唆された。なお、12歳未満の部分集団のうち、5~8歳の集団における本剤群(58例)とプラセボ群(58例)の差は -1.08、9~11歳の集団における本剤群(66例)とプラセボ群(74例)の差は -0.79であった。
D1732試験の投与期間別の主な有効性評価項目の推移は表6のとおりであった。投与期間を通して、調整鼻症状スコア、日中鼻症状スコア、レスキュー薬スコア及び併合スコアについて、本剤群ではプラセボ群を下回る傾向が示唆された。さらに、12歳未満の部分集団においても全体集団と概ね同様の傾向が示唆された。
以上より、小児患者において、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は示されたと考える。
機構は、以下のように考える。
D1732試験の調整鼻症状スコア、並びに日中鼻症状スコアとレスキュー薬スコアの併合スコアの解析結果等から、5~16歳の小児患者において、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は示されている。また、年齢別の部分集団解析において、低年齢層(12歳未満)の部分集団では全体集団と同様の傾向が示唆されており、既に承認されている12歳以上の小児患者と同様、12歳未満の小児患者においても本剤の有効性は期待できると判断する。
安全性について
申請者は、小児患者における本剤の安全性について、以下のように説明している。
D1732試験において、死亡例、並びにアナフィラキシー又はアナフィラキシーショックを発現した症例は認められなかった。
本剤群で認められた有害事象の多くは軽度であり、発現後早期に回復している。本剤群において、高度な事象としてレンサ球菌感染/ウイルス感染、仮性クループ、熱中症及び骨折が認められ、このうち仮性クループのみが治験薬との因果関係ありと判断されたが、転帰は回復であった。また、主な中等度の事象としてインフルエンザ(本剤群8.2% 〔18/219例〕、プラセボ群10.0% 〔22/219例〕)が認められたが、転帰は回復であった。
年齢区分別の有害事象の発現状況及び主な有害事象は、表7及び表8のとおりであり、12歳未満の部分集団において、全体集団と大きな差異は認められなかった(表4) 。
12歳以上の小児及び成人患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(以下、D1731試験)と比較した結果は表9のとおりであった。なお、D1731試験において、成人と12歳以上の小児で本剤投与時の安全性に相違ない旨は初回承認時に評価済みである(2015年1月9日付け審査報告書「アシテアダニ舌下錠100単位(IR) 他」参照)。
D1731試験の300 IR群と比較し、D1732試験の本剤群において、中止に至った有害事象及び緊急時の対応が必要とされた有害事象の発現率が高い傾向が認められたが、いずれも治験担当医師は治験継続可能と判断したものの被験者及び代諾者の申出により中止に至った症例が多いことが要因と考えられた。また、D1732試験において投与1日目に副作用の発現率が高い傾向が認められる点(投与1日目28.3%〔62/219例〕、投与2日目13.2% 〔29/219例〕、投与3日目9.6% 〔21/219例〕、投与4日目以降2.8~7.8% 〔6/212 例~ 17/219 例〕)は、D1731試験と同様であった(2015 年1 月9 日付け審査報告書「アシテアダニ舌下錠100単位(IR) 他」参照)。
以上より、小児における本剤の安全性について、成人における安全性プロファイルと比較して新たな懸念は示唆されておらず、現在実施されている安全対策を引き続き実施することにより、リスクは管理可能と考える。
機構は、以下のように考える。
現時点で12歳未満の小児アレルギー性鼻炎患者における本剤の安全性について、12歳以上の小児及び成人における安全性データと比較して、臨床上懸念される新たな事象は認められていない。しかしながら、本剤はダニ抗原を投与する治療法であること及び臨床試験で検討された症例数は限られていることから、臨床使用においてアナフィラキシーが発現する可能性は否定できない。そのため、既に承認されている12歳以上の小児及び成人での使用に関する注意と同様、医療関係者及び患者に対して、本剤投与に伴う局所性及び全身性のアレルギー症状の発現について十分に注意喚起する必要がある。また、本剤の投与開始初期に日腔浮腫、咽喉刺激感等の有害事象の発現が多く認められることから、本剤の投与開始初期には有害事象の発現に特に注意するよう、注意喚起する必要がある。
用法・用量について
申請者は、小児患者における本剤の用法・用量について、以下のように説明している。
5~16歳のダニ抗原によるアレルギー性鼻炎患者を対象としたD1732試験等の成績に基づき、小児患者においても、既承認用法・用量と同じく、投与開始1日目100IR、2日目200IR、3日目300IRと100IR ずつ漸増し、4日日以降は維持用量として300IRを1日1回投与とすることが適当と考える。また、申請時には、投与実績を考慮して年齢下限を規定したが、減感作療法の作用機序、本剤の有効性及び安全性に関して年齢による大きな違いはないと考えられること、各種ガイドラインにおいて5歳未満の小児(3歳以上)も減感作療法の適用対象として考慮できる旨が記載されていること(World Allergy Organ J 2014;7:6、Allergy2015; 70: 897-909他)等を踏まえると、本剤の投与対象を5歳以上に限定する必要性は低いと考え、申請用法・用量を下記のとおり整備することが妥当と考えた。
く用法・用量>
通常、成人及び5歳以上の小児には、1回100単位(IR) を1日1回舌下投与から開始し、1回投与量は100単位(IR) ずつ、300単位(IR) まで増量する。なお、漸増期間は、原則として3日間とするが、患者の状態に応じて適宜延長する。舌下投与後は完全に溶解するまで保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。
(申請時より取消線部削除)
機構は、以下のように考える。
提出された資料、7.R.1及び7.R.2の項における検討より、12歳未満の小児患者についても、既承認の用法・用量と同じく、申請のとおり、投与開始1日目 100IR、2日目 200IR、3日目 300IRと100IRずつ漸増し、4日目以降は維持用量として300IRを1日1回投与と設定することは可能と判断する。
また、本剤の投与対象は年齢により一律に区分されるものではなく、規定された用法にしたがって舌下に投与することが可能であるか等を事前に確認した上で、医師が患者毎に本剤適用の可否を判断することが重要であると考えることから、用法・用量において年齢下限を規定せず、申請者の説明のとおりとすることが適当と考える。
以上の機構の判断については、専門協議において議論することとしたい。
参照
新医薬品の承認品目一覧
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0010.html
PMDA医療用医薬品 情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
検索結果
一般名 | アレルゲンエキス |
販売名 | アシテアダニ舌下錠100単位(IR)/アシテアダニ舌下錠300単位(IR) |
製造販売業者等 | 提携/STALLERGENES GREER |
製造販売元(輸入)/塩野義製薬株式会社 | |
添付文書 | PDF(2021年06月30日) |
HTML | |
SGML | |
患者向医薬品ガイド/ワクチン接種を受ける人へのガイド | G_アシテアダニ舌下錠100単位(IR)/アシテアダニ舌下錠300単位(IR) |
インタビューフォーム | アシテアダニ舌下錠100単位(IR)/アシテアダニ舌下錠300単位(IR) |
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改訂指示反映履歴および根拠症例 | 2019年07月09日薬生安発0709第9号 別紙6 |
審査報告書 | 審査報告書(2015年03月26日) |
審査報告書(2018年02月16日) | |
申請資料概要 | 申請資料概要 |
シオノギ製薬 医療関係者向け情報
https://www.shionogi.co.jp/med/products/drug_a/qdv9fu000000o1th.html