医薬品医療機器等

ロナプリーブ点滴静注セット [カシリビマブ及びイムデビマブ)](審議結果報告書2021年7月19日)

2021年7月21日

審議結果報告書

令 和 3 年 7 月 1 9 日
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

[販売名]

ロナプリーブ点滴静注セット300、同点滴静注セット1332

[一般名]

カシリビマブ(遺伝子組換え)及びイムデビマブ(遺伝子組換え)

[申請者名]

中外製薬株式会社

[申請年月日]

令和3年6月29日

[審議結果]

本品目は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症が世界的に流行している昨今の状況において、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第 14 条の3第1項に基づく承認に該当することが見込まれるとして、承認申請があったものである。

本品目については、令和3年7月 19 日に開催された医薬品第二部会において、医薬品医療機器等法第 14 条の3第1項の規定による特例承認の可否について審議された。その結果、下記の承認条件が付されることを前提として、承認して差し支えないものとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告することとされた。

本品目は生物由来製品に該当し、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとされた。

[承認条件]
  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者又は代諾者に有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、文書による同意を得てから初めて投与されるよう、医師に対して要請すること。
  3. 医薬品医療機器等法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第41条に基づく資料の提出の猶予期間は、承認取得から起算して2カ月とする。また、提出された資料等により、承認事項を変更する必要が認められた場合には、薬機法第74条の2第3項に基づき承認事項の変更を命ずることがあること。

別紙 特例承認に係る報告(1)

起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等

新型コロナウイルス感染症は SARS-CoV-2 による感染症であり、SARS-CoV-2 は、ウイルス表面に存在するスパイクタンパク質(以下、「S タンパク質」)が宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素 2(以下、「ACE2」)に結合することで宿主細胞に侵入し、感染に至るとされている(Cell 2020; 181: 271-80)。主な症状として、発熱、咳、咳以外の急性呼吸器症状及び重篤な肺炎が報告されている1)

本邦においては、2020 年 1 月 15 日に SARS-CoV-2 に感染した 1 例目の患者が確認され、2020 年 2 月1 日、新型コロナウイルス感染症2)が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づく指定感染症3)及び検疫法に基づく検疫感染症4)に指定された。2021 年 6 月 29 日現在、本邦における感染者(PCR 陽性)は 796,829 例、入院治療等を要する者は 16,620 例(うち、重症者は 552例)、退院又は療養解除となった者は 764,913 例、死亡は 14,705 例と報告されている5)

カシリビマブ(遺伝子組換え)(以下、「カシリビマブ」)及びイムデビマブ(遺伝子組換え)(以下、「イムデビマブ」)はいずれも、米国 Regeneron pharmaceuticals 社により創製された、SARS-CoV-2の S タンパク質上の受容体結合ドメイン(以下、「RBD」)に対する遺伝子組換えヒト IgG1 モノクローナル抗体であり、それぞれ RBD 上の異なるエピトープを認識して RBD と ACE2 の結合を阻害し、宿主細胞への SARS-CoV-2 の侵入を阻害すると考えられている。

今般、申請者は、米国 FDA による Emergency Use Authorization が得られていること、並びに海外第Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ相試験(COV-2067 試験)の速報値及び国内第Ⅰ相試験(JV43180 試験)の成績に基づき、本品目は、医薬品医療機器等法第 14 条の 3 第 1 項に基づく第 14 条第 1 項の承認に該当するとして、特例承認に係る承認申請を行った。本品目は SARS-CoV-2 の異なる部位を認識する 2 種類の抗体製剤を含むが、両剤の併用投与が必須であり、特例承認品目であることも踏まえ、1 パッケージとして適切な流通を可能とするため製剤毎ではなく規格毎に 1 品目として承認申請された。なお、本報告書は「特例承認を求める申請が検討されている医薬品の取扱いについて(依頼)」(令和 3 年 6 月 25 日付け薬生薬審発 0625第 1 号)を踏まえ、申請者から提出された資料に基づき審査を行ったものである。

  1. 2020 年 2 月 1 日~8 月 5 日に感染症発生動向調査へ届け出られた 29,601 例の届出時の症状[感染症週報 2020 年通巻第 22 巻 31・32 合併号:https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/idwr/IDWR2020/idwr2020-31-32.pdf(最終確認日:2021 年 6 月 30 日)]
  2. 病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和 2 年 1 月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。
  3. 既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの(感染症法第 6 条)
  4. 国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるもの(検疫法第 2 条第 3 号)
  5. 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html(最終確認日:2021 年 6 月 30 日)

機構における審査の概略

有効性について

申請者は、SARS-CoV-2 による感染症患者に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の有効性について、以下のように説明している。

SARS-CoV-2 による感染症に対する治療薬の評価において、入院や死亡は臨床的に重要な評価項目であり、米国 FDA ガイダンス31)にも示されていることから、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)における有効性の主要評価項目は、無作為化後 29 日目までの SARS-CoV-2 による感染症に関連のある入院又は理由を問わない死亡が認められた被験者の割合と設定した。その結果は表 29 及び表 30 のとおりであり、プラセボ群との比較においてカシリビマブ及びイムデビマブ(各 1,200 mg 及び各 600 mg)併用投与群で統計学的に有意な差が認められた。また、ベースラインの血清学的検査の結果により有効性が大きく異なる傾向は認められなかった。

なお、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、SARS-CoV-2 による感染症により入院している患者が除外されたが、被験者の 96.1%を占める米国における NIH ガイドライン(表 31)を参考にすると主にMild~Moderate に該当する患者が非入院患者に相当すると考える。

また、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)は、重症化リスク因子を有する SARS-CoV-2 による感染症患者を対象として実施されたことから、重症化リスク因子を有しない SARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性は確認されていないと考える。なお、当該試験における重症化リスク因子は試験計画時における米国 CDC 及び公表文献等の最新の情報に基づき設定したが、プロトコル第 7 版(2020 年 12 月 18日)において、妊婦に対する安全性及び PK の評価を促進するために、コホート 1 の重症化リスク因子からは削除し、妊婦を対象としたコホート 3 を設定した。コホート 3 は開鍵前であり、その成績は得られていない。

日本人における有効性について、国内外で SARS-CoV-2 による感染症の症状や重症化リスク因子は同様であること、症状に基づく重症度に応じて呼吸療法や治療薬の投与が実施され、治療薬は本邦においては SARS-CoV-2 に対する中和抗体製剤は承認されていないものの、レムデシビルやデキサメタゾン等が国内外で使用されており治療方針に国内外で著しい違いはないこと32)、カシリビマブ及びイムデビマブは外来性因子に対する抗体製剤であること、日本人と外国人との間でカシリビマブ及びイムデビマブの PK に明らかな差異は認められていないこと(6.R.1 参照)から、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)成績に基づき日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性は評価可能であり、日本人における有効性は期待できると考えた。

SARS-CoV-2 の変異株の影響について、COV-2067 試験の実施時期に実施国で認められた主な SARSCoV-2 は野生株、B.1.1.7 系統(Alpha)、B.1.427/B1.429 系統(Epsilon)及び B.1.526 系統(Iota)であった。また、in vitro における検討において、VOC 及び VOI に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の中和活性の低下は確認されていない(3.R.2 参照)。

以上より、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度 93%(室内気)以上の SARS-CoV-2 による感染症に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の有効性は示されたと考える。また、ベースラインの血清学的検査の結果により有効性が大きく異なる傾向は認められなかったことから、抗体の有無にかかわらず有効性が期待できると考える。

機構は、以下のように考える。

COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、事前に規定されていない複数の試験計画の変更(7.2.2 参照)は、本来は避けるべきであったと考えるものの、本試験は SARS-CoV-2 による感染拡大に伴う社会的混乱の中で実施され、また当時 SARS-CoV-2 に関する知見も十分に蓄積されていなかったことを踏まえると、試験計画の変更が行われたことはやむを得なかったと考える。また、本試験が二重盲検下で実施されていたこと及び結果として試験計画の変更が試験結果にバイアスを生じさせたことを強く示唆する事象は確認されていないことを踏まえると、当該変更が試験結果に影響した可能性は低く、変更後の結果に基づき有効性を評価することは可能と考える。したがって、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)成績に基づき、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度 93%(室内気)以上の SARS-CoV-2 による感染症に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の有効性は示されたとの申請者の説明は受入れ可能と考える。

また、日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者における有効性の結果は得られていないものの、SARSCoV-2 による感染症の症状や、治療法、重症化リスク因子等に国内外で大きな違いはなく、日本人と外国人の間で PK に明らかな差異が認められていないこと、カシリビマブ及びイムデビマブが外来性因子に対する抗体製剤であること等を踏まえると、日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性について一定の評価は可能であり、有効性は期待できると判断した。

なお、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、SARS-CoV-2 に対する抗体の有無で有効性が大きく異なる傾向が認められていないことを確認したが、対象患者の重症度が異なる SARS-CoV-2 による感染症の入院患者を対象にカシリビマブ及びイムデビマブを併用投与した臨床試験において、ベースラインの抗体の有無により有効性に差が認められたとの報告33)もあることから、抗体の有無によるカシリビマブ及びイムデビマブ併用投与の有効性に与える影響については、製造販売後にも引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には適切に医療現場に情報提供する必要がある。

また、変異株に対する有効性については、製造販売後も引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要がある。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

安全性について

申請者は、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の安全性プロファイルについて、以下のように説明している。

COV-2067 試験において、安全性は表 32 に示す事象が収集された。全ての有害事象が収集されてはいないものの、カシリビマブ及びイムデビマブは外来性因子に特異的に結合するモノクローナル抗体であることから、懸念される安全性リスクとして、過敏症反応及び Infusion reaction 等の想定される有害事象に焦点を絞った観察が可能であり、SARS-CoV-2 による感染症に対応する医療機関への配慮の観点からも適切と考えた。

海外第Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ相試験(COV-2067 試験)における安全性の概要は表 33 のとおりであり、プラセボ群と比較してカシリビマブ及びイムデビマブ併用のいずれの用量でも発現割合が高い傾向は認められなかった。

AESI(Adverse Event of Special Interest)の発現状況は表 34 のとおりであり、プラセボ群と比較してカシリビマブ及びイムデビマブ併用のいずれの用量でも発現割合が高い傾向は認められなかった。また、第Ⅰ/Ⅱ相パートのプラセボ群 1 例(浮動性めまい、悪心、嘔吐、頭痛)及び各 4,000 mg 群 1 例(注入に伴う反応)で治験薬投与が中止され、各 4000 mg 群 1 例(蕁麻疹、潮紅、悪寒、そう痒症)で治験薬投与中断後再開し投与を完遂した。第Ⅲ相パートの各 1,200 mg 群 1 例(注入に伴う反応)及び各 4,000 mg群 1 例(発疹)で治験薬投与が中止され、各 4,000 mg 群 1 例(注入に伴う反応)で治験薬投与中断後再開し投与を完遂した。

また、米国 Emergency Use Authorization 以降、2021 年 5 月 24 日までに報告された有害事象は 362 例、重篤な有害事象は 238 例であった。10 例以上に報告された重篤な有害事象は COVID-19、咳嗽、呼吸困難、低血圧、低酸素症、悪心、悪寒、胸痛、発熱、嘔吐、無力症、疲労及び酸素飽和度低下であり、これらの事象は Infusion reaction 又は SARS-CoV-2 による感染症に関連する事象と考えられ、報告例数が10 例未満であった重篤な有害事象は SARS-CoV-2 による感染症に関連した事象や併用薬等の影響が考えられる事象であり、COV-2067 試験において認められた安全プロファイルと異なる新たな懸念は認められていない。

日本人における安全性について、日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者にカシリビマブ及びイムデビマブを投与した経験は得られていないものの、国内外において SARS-CoV-2 による感染症の症状や、重症化リスク因子、治療法等に国内外で大きな違いはなく、日本人と外国人の間で PK に明らかな差異が認められていないこと、カシリビマブ及びイムデビマブが外来性因子に対する抗体製剤であること等を踏まえると、COV-2067 試験成績に基づき日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者に対する安全性について一定の評価は可能であると考えた。さらに、日本人成人被験者(SARS-CoV-2 による感染症ではない被験者)を対象にカシリビマブ及びイムデビマブを併用投与した JV43180 試験において、安全性の懸念は認められていないことから、日本人における安全性は許容可能と考えた。

以上より、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の安全性プロファイルは許容可能であると考える。なお、本品目はタンパク製剤であること、臨床試験において過敏症反応及び Infusion reaction が認められていることから、当該リスクについて添付文書において注意喚起する。

機構は、以下のように考える。

SARS-CoV-2 による感染症の拡大状況で実施された COV-2067 試験において、重篤な有害事象や抗体製剤で発現が想定される過敏症等を中心に安全性情報が収集されており、非重篤な有害事象等の評価に限界があることに留意する必要があるが、得られた情報を踏まえて適切に注意喚起を行うことを前提にSARS-CoV-2 による感染症に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の安全性リスクは管理可能と考える。また、日本人にカシリビマブ及びイムデビマブを併用投与した経験は限られていることから、明確に結論付けることは困難であるものの、カシリビマブ及びイムデビマブが外来性因子に対する抗体であること(5.7.1 参照)、日本人と外国人の間で PK に明らかな差異が認められていないこと(6.R.1 参照)、日本人成人被験者(SARS-CoV-2 による感染症ではない被験者)を対象にカシリビマブ及びイムデビマブを併用投与した JV43180 試験において、安全性上の特段の懸念は認められていないこと(7.1 参照)等を踏まえ、日本人と外国人で安全性プロファイルが大きく異なる可能性は低いと判断した。ただし、日本人における安全性について製造販売後に引き続き情報収集し医療現場に適切に情報提供する必要がある。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

臨床的位置付けについて

申請者は、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の臨床的位置付けについて、以下のように説明している。

SARS-CoV-2 による感染症に対する治療薬として、レムデシビル、デキサメタゾン、レムデシビルとの併用におけるバリシチニブが本邦において承認されており、薬剤のプロファイルに応じて中等症Ⅰ~重症の患者に対して使用されている34)。カシリビマブ及びイムデビマブ併用は、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度 93%(室内気)以上の SARS-CoV-2 による感染症に対して有効性及び安全性が示された。したがって、カシリビマブ及びイムデビマブ併用は重症化リスク因子を有する軽症~中等症の SARS-CoV-2 による感染症患者に対する治療選択肢の一つになると考える。

機構は、以下のように考える。

7.R.1 及び 7.R.2 における検討を踏まえ、カシリビマブ及びイムデビマブ併用は重症化リスク因子を有する軽症~中等症の SARS-CoV-2 による感染症患者に対して新規の作用機序を有する薬剤として治療選択肢の一つになると考える。なお、投与対象については 7.R.4 で議論する。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

効能・効果について

申請者は、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の効能・効果及び投与対象について、以下のように説明している。

COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、重症化リスク因子を有し酸素飽和度 93%(室内気)以上の SARS-CoV-2 による感染症患者に対してカシリビマブ及びイムデビマブ併用の有効性及び安全性が示されたことから、効能・効果は「SARS-CoV-2 による感染症」とすることが適切と考える。また、重症化リスク因子を有しない SARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性は確認されていないと考えることから、その旨を添付文書において注意喚起する。

なお、入院している SARS-CoV-2 による感染症患者を対象にカシリビマブ及びイムデビマブ併用(各1,200 mg 及び各 4,000 mg)の有効性及び安全性を検討することを目的としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(海外第Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ相試験、COV-2066 試験、NCT04426695)において、被験者の酸素状態に応じたコホートが設定されていた(コホート 1:低流量酸素又は酸素投与不要、コホート 2:高流量酸素、コホート 3:人工呼吸器管理)が、第Ⅱ相パート被験者登録中の 2020 年 10 月 30 日に IDMC がカシリビマブ及びイムデビマブ併用投与によるベネフィット・リスクバランスが良好ではないこと及び安全性シグナルを理由にコホート 2 及びコホート 3 の被験者登録を中断するよう勧告したため、当該コホートの登録は中断され早期中止となった。当該コホートの被験者で、カシリビマブ及びイムデビマブ併用投与後に、治験薬投与との因果関係は不明であるが発熱、低酸素症、呼吸困難、不整脈(心房細動、頻脈、徐脈等)、倦怠感、精神状態の変化等の SARS-CoV-2 による感染症悪化を示唆する徴候や症状が報告されたことから、米国 Emergency Use Authorization の FACT SHEET35)に高流量酸素投与及び人工呼吸器を要する SARS-CoV-2 による感染症患者においてカシリビマブ及びイムデビマブ併用投与により臨床的アウトカムが悪化する可能性がある旨が記載された。したがって、添付文書において、原則として、高流量酸素投与を要する患者かそれ以上の重症度の患者には投与しないことを注意喚起する。

機構は、以下のように考える。

7.R.1 及び 7.R.2 の検討を踏まえ、効能・効果を「SARS-CoV-2 による感染症」と設定することは可能と判断した。

また、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)において、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度 93%(室内気)以上の患者に対する有効性及び安全性が認められていること、酸素投与を要する患者に対する有効性及び安全性については COV-2066 試験(コホート 1)において検討中であること、COV-2066 試験(コホート 2 及び 3)において高流量酸素又は人工呼吸器管理を要する患者に対するベネフィット・リスクバランスが良好ではないとの理由等で登録が中止されていること等を踏まえ、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の投与対象の目安は、SARS-CoV-2 による感染症の重症化リスク因子を有し酸素投与を要しない SARS-CoV-2 による感染症患者とすることが適切と考える。加えて、添付文書において、高流量酸素又は人工呼吸器管理を要する患者において症状が悪化した報告があることについて注意喚起する必要があると考える。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

用法・用量について

申請者は、用法・用量の設定根拠について、以下のように説明している。

非臨床試験結果及び COV-2067 試験(第Ⅰ/Ⅱ相パート)結果等に基づく検討を踏まえ、COV-2067 試験(第Ⅲ相パート)の用法・用量をカシリビマブ及びイムデビマブ併用(各 600 mg、各 1,200 mg 又は各4,000 mg)を単回静脈内投与することと設定し(6.R.2 参照)、SARS-CoV-2 による感染症に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用(各 600 mg 及び各 1,200 mg)単回静脈内投与の有効性及び安全性が示された(7.R.1 及び 7.R.2 参照)。いずれの用量においても有効性及び安全性が同様であったことから、用法・用量はカシリビマブ及びイムデビマブ併用(各 600 mg)単回静脈内投与とすることが適切と考える。また、臨床薬理における検討を踏まえ(6.R.3 参照)、12 歳以上かつ体重 40 kg 以上の小児における用法・用量は成人と同じとすることが適切と考える。

機構は、以下のように考える。

成人及び 12 歳以上かつ体重 40 kg 以上の小児における用法・用量をカシリビマブ及びイムデビマブ併用(各 600 mg)単回静脈内投与と設定することは可能と判断した。ただし、カシリビマブ及びイムデビマブは併用により投与される必要があることから、申請用法・用量については、その旨が明確となるよう整備する必要がある。また、実施中の COV-2067 試験の第Ⅲ相パート(コホート 2)の成績が得られ次第、12 歳以上かつ体重 40 kg 以上の小児における用法・用量の妥当性を適切に評価し新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要がある。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

製造販売後の検討事項について

申請者は、製造販売後に使用成績調査等の追加の医薬品安全性監視活動を計画していない。

機構は、日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者にカシリビマブ及びイムデビマブを併用投与した経験がないこと、カシリビマブ及びイムデビマブ併用投与後に Infusion reaction 及び過敏症反応が認められていること(7.R.2)等を踏まえ、製造販売後に日本人の SARS-CoV-2 による感染症患者における安全性を確認するための使用成績調査を実施する必要があると考える。

以上の機構の判断は、専門協議で議論する。

参照

新医薬品の承認品目一覧

https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0010.html

PMDA医療用医薬品 情報検索

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

検索結果
一般名 カシリビマブ(遺伝子組換え)・イムデビマブ(遺伝子組換え)
販売名 ロナプリーブ点滴静注セット300/ロナプリーブ点滴静注セット1332
製造販売業者等 製造販売元/中外製薬株式会社
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患者向医薬品ガイド/ワクチン接種を受ける人へのガイド
インタビューフォーム F1_ロナプリーブ点滴静注セット300/ロナプリーブ点滴静注セット1332
RMP
RMP資材/医療従事者向け ロナプリーブによる治療に係る同意説明文書(雛形)
RMP資材/患者向け ロナプリーブの治療を受ける患者さん・患者さんのご家族の方へ
改訂指示反映履歴および根拠症例
審査報告書 審査報告書(2021年07月19日)
申請資料概要 申請資料概要

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