こんにちは。E-Taroです。今回のテーマは「イトリズマブ(製品名Alzumab)は新型コロナの症状緩和に効く?効かない?」です。
イトリズマブは、製品名はAlzumabですが、日本ではまだ承認されていない医薬品です。
IgG1モノクローナル抗体で、乾癬の治療薬として2013年にインドで承認され、また、COVID-19の治療についても、インドで2020年に承認されました。より正確には、「サイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome, CRS)によって媒介される急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)」に対する承認です。
ですが、これには批判も巻き起こっています。
適応追加にリアルワールドデータあるいはリアルワールドエビデンスを活用していこうという動きはあるものの、当然ながらリアルワールドエビデンスの性質上避けられない「交絡」という観点から各国・各地域の規制当局は慎重な姿勢を示しています。
そのような状況で、インドの規制当局はイトリズマブに対して「emergency use authorization、緊急使用許可」を与えました。ですが、インドの臨床におけるCOVID-19タスクフォースは、エビデンスが不十分ということで、治療ガイドラインにイトリズマブを加えませんでした。規制当局は了承し、医療専門集団はそれに同意しなかった、という構図です。
どこかでも同じような状況を見たような気がしますね。政治と専門家の確執あるあるなのかもしれません。
いずれにしても、適応追加にリアルワールドデータやリアルワールドエビデンスの活用の余地があると思っている身としては、なかなかに残念な先行事例が出てきてしまったな、というのが本音です。
時の政権の方々には、是非とも科学を政治利用しないようお願いしたいところです。知ったかぶりは本当にやめてください。
それでは、また。