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アジャイル・ガバナンスの実践に向けた国際協調

2022年3月9日

国境のないサイバー空間を起点とするSociety5.0においては、アジャイル・ガバナンスの取組もグローバルに実施していく必要がある。そこでは、政府間の取組に加え、マルチステークホルダー団体の活動や標準策定における連携、そして民間企業同士による連携など、様々な協力のあり方が考えられる。アジャイル・ガバナンスに特に関係の深いものとして、これまで、以下のような取組が行われてきている。

アジャイル・ガバナンスの実践に向けたグローバルな取組の例

① アジャイルネーションズ

イノベーションを促進するためのルール形成に向けた国際的な協力を行うため、カナダ、デンマーク、イタリア、日本、シンガポール、アラブ首長国連邦及び英国は、2020年11月に「アジャイルネーションズ」(Agile Nations)を設立した。2021年10月には、最初の大臣級会合が開催され、各国が今後進めていくアジャイルなルール形成に関する取組を紹介した。

② OECDによるアジャイルな規制に関する勧告

OECDは、2021年10月、「イノベーションを牽引するためのアジャイルな規制ガバナンスに関する勧告」を策定した。同勧告では、将来の変化に順応可能なアウトカムベースの法規制や、データに基づくリスク評価と法執行、そしてこれらに関する国際的な協力など、不確実な社会においてイノベーションを促進するためのアジャイルな規制の在り方に関する指針が示されている。

③ 世界経済フォーラム Global Future Council on Agile Governance

グローバルなマルチステークホルダー団体である世界経済フォーラムのGFC on Agile Governance(以下「AG協議会」という。)は、各国の企業、市民社会、政府の有識者とともに、アジャイル・ガバナンスを推進するための様々な活動を行っている。AG協議会は、白書やツールキットの作成、Agile50リストによるグローバルリーダーシップの評価と共有、アジャイル・ガバナンス技術の開発と普及に協力する7カ国からなるAgile Nations の設立を支援し、アジャイル・ガバナンスの国際的認知度を高めてきた。現在は、規制の効率性、正確性、アクセシビリティを高めるために、規制のための新技術(RegTech)活用に関するベストプラクティスとそのインサイトを研究すると同時に、アジャイル・ガバナンスを推進・実装する実践者養成のための教育プログラムを開発している。

④ 国際標準化機構の取組

ISO(国際標準機構)等の機関から発行されるWTO/TBT協定の対象となる国際標準は、国際協調を促進する上で極めて効果的なツールとなる。日本におけるSociety5.0のコンセプトを国際標準化の俎上に載せる試みは2017年から始まり、主としてISOの場で活動を継続してきた。2020年7月にはIWA(International Workshop Agreement)39として公式な国際活動が開始され、Society5.0のキーワードである「人間中心」、「社会課題解決」、「サイバー・フィジカルシステム」をテーマとして、他の国際標準化団体を含む世界27カ国からほぼ100名のエキスパートの参加を得て活発な議論が開始された。

イノベーションの恩恵をグローバルに拡大していくために、日本がガバナンスに関する理論と実践の両面において国際的な議論に貢献することは、今後より一層重要となる。

参照

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