ビジネス全般

令和4年度予算編成の基本方針

1. 基本的考え方

① 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、足元では新たな変異株の出現による感染拡大への懸念が生じていることから、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

② このように先行き不透明な中、岸田内閣では、最悪の事態を想定しつつ水際対策を行うなど、喫緊かつ最優先の課題である新型コロナウイルス感染症対応に万全を期し、感染症により大きな影響を受ける方々の支援等を速やかに行うべく必要な対策を講ずるとともに、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現すべく精力的に取り組んでいるところである。

③ まず、新型コロナウイルス感染症対応については、これまでも、感染状況や、企業や暮らしに与える影響に十分に目配りを行い、予備費なども活用して必要な対策を柔軟に行ってきているが、今般、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱とする「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)を策定したところであり、これを速やかに実行に移していく。

④ 経済財政運営に当たっては、最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期する。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。まずは、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組んでいく。

⑤ その上で、岸田内閣が目指すのは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現である。
成長を目指すことは極めて重要であり、その実現に全力で取り組む。しかし、分配なくして次の成長なし。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現する。
具体的には、科学技術立国の実現、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構」、経済安全保障の推進を3つの柱とした大胆な投資により、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を国主導で推進し、経済成長を図る。また、賃上げの促進等による働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育等に係る公的価格の在り方の抜本的な見直し、少子化対策等を含む全ての世代が支え合う持続可能な全世代型社会保障制度の構築を柱とした分配戦略を推進する。

⑥ 加えて、東日本大震災からの復興・創生、高付加価値化と輸出力強化を含む農林水産業の振興、老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化や交通、物流インフラの整備等の推進、観光や文化・芸術への支援など、地方活性化に向けた基盤づくりに積極的に投資する。年代・目的に応じた、デジタル時代にふさわしい効果的な人材育成、質の高い教育の実現を図る。
2050年カーボンニュートラルを目指し、グリーン社会の実現に取り組む。
これまでにない速度で厳しさを増す国際情勢の中で、国民を守り抜き、地球規模の課題解決に向けて国際社会を主導するため、外交力や防衛力を強する等、安全保障の強化に取り組む。
これまでの政府・与党の決定を踏まえた取組を着実に進めるとともに、財政の単年度主義の弊害を是正し、科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組む。

2. 予算編成についての考え方

① 令和4年度予算編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けて、上記1.基本的考え方を踏まえる。

② 具体的には、新型コロナウイルス感染症の克服に向け、国民を守る医療提供体制や検査体制の確保、変異株を含む新たなリスクに対する万全の備えのためのワクチン・治療薬等の研究開発、雇用・事業・生活に対する支援等を推進する。

③ また、「コロナ後の新しい社会」を見据え、成長と分配の好循環を実現するため1.⑤に掲げる成長戦略、分配戦略などに基づき予算を重点配分する。また、1.⑥のとおり、東日本大震災を始め各地の災害からの復興・創生や防災・減災、国土強靱化等に対応するとともに、現下の国際情勢に的確に対応し、国家の安全保障をしっかりと確保する。

④ あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)における令和4年度予算編成に向けた考え方に基づいて、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、メリハリの効いた予算とする。また、いわゆる「16か月予算」の考え方で、令和3年度補正予算と、令和4年度当初予算を一体として編成する。その中で、単年度主義の弊害是正のため必要に応じ新たに基金を創設する等の措置を講じていく。加えて、EBPMの仕組み等を活用し、適切かつ効果的な支出を推進する。

参照

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