Table of Contents
総括報告書の構成と内容 1~8
9.治験の計画
9.1 治験の全般的デザイン及び計画-記述
全体的な治験の計画とデザイン(構成:例えば,並行群間比較,クロスオーバー)について,必要に応じ図やダイアグラムを用いて,簡潔かつ明瞭に記述すること。他の治験が非常に類似した治験実施計画書を用いていた場合,その旨を記載するとともに,重要な相違点を全て記述することが有用であろう。実際の計画書及びその改訂を付録16.1.1に,症例記録用紙の見本(内容の異なるページのみを含める。つまり評価や来院時期が異なっても同じ書式であれば含める必要はない。)を付録16.1.2に添付すること。この章の記載事項で治験実施計画書に含まれないものは,その内容と情報源を明確にすること。
下記の項目を含めること。
- 検討した治療法(特定の薬剤,用量及び用法)
- 検討した患者母集団及び計画された症例数
- 盲検化の水準と手法(例えば,非盲検,二重盲検,単盲検,又は評価者については盲検であるが患者及び(又は)治験責任医師等については非盲検など)
- 対照の種類(例えば,プラセボ,無治療,実薬,用量-反応,既存対照)及び試験の構成(並行群間比較,クロスオーバー)
- 治療への割付け手法(無作為化,層別化)
- 無作為化前及び治療終了後の期間,治療中断の期間,並びに単盲検下又は二重盲検下での治療期間を含む,全ての治験期間の順序と長さ。いつ患者が無作為割付けされたかを特定すること。評価の時期を含むフローチャートを用いて,治験のデザインを図で表示することが一般に役立つ(例として別添 IIIa 及び IIIb を参照)。
- 安全性委員会,データモニタリング委員会又は特別な運営・評価委員会
- 中間解析
9.2 対照群の選択を含む治験デザインについての考察
選択された特定の対照や用いた治験デザインについて,必要に応じ考察すること。考察する価値のあるデザイン上の論点の例を以下に示す。
一般に知られている対照(比較)群は,プラセボ同時対照,無治療同時対照,実薬同時対照,用量比較同時対照,既存対照である。対照の取り方以外に考察を必要とする重要なデザイン上の特徴は,クロスオーバー法の使用や,特定の薬剤又はある薬効群の薬剤に反応する・しないといった特殊な既往を有する患者の選択である。無作為化を用いなかった場合には,系統的な選択の偏りを防ぐためにどのように他の方法を用いたのか(もし用いたなら)を説明することが重要である。
採用した治験デザインや対照群に関して知られているか提起される可能性のある問題点については,治験対象となる特定の疾患や治療法に照らして考察すること。例えばクロスオーバー法については,とりわけ治験中に疾患が自然変動する可能性及び治療の持越し効果の可能性を考慮すること。
同等性を示すこと,つまり確立した治療との比較において,新しい治療がある一定の値以上は劣らないことを示すことにより有効性を検証しようとしたのであれば,そのような治験デザインに関する問題点を述べること。
特に,その治験で有効な治療を無効な治療と区別でき得るとみなす根拠を述べること。デザイン上の重要な特徴(患者の選択,治験のエンドポイント,期間,実対照薬の用量,併用療法など)が当該治験に類似しており,当該実対照薬がプラセボより優れているという結果を一貫して示す過去の試験成績を分析することで,裏付けが得られることもあろう。当該治験が,有効な治療と無効な治療とを区別する能力を持つことをどのように示せるのかについても考察すること。例えば,治療集団と無治療群を明確に区別する治療上の反応の大きさを(過去の試験成績に基づき)定めることができるかもしれない。このような反応は,基準値からの測定値の変化,又は治癒率若しくは生存率のような特定の転帰である場合もある。このような反応が達成されたならば,当該治験が活性を有しない薬剤と活性を有する薬剤とを識別し得たとの期待が支持されよう。その治験で,治療法が一定以上に劣らないことを示そうとした治療効果の差(しばしばデルタ値と言われる)についても考察すること。
既存対照の限界はよく知られており(治療群の比較可能性の保証の困難さ,治療法に関して治験責任医師等に盲検化ができないこと,治療法や疾患の変化,プラセボ効果による差など),特別な注意が必要である。
ウォッシュアウト期間の有無及び治療期間の長さを含む,デザインのその他の特徴についても考察する価値があろう。特に慢性疾患の場合にはその価値がある。もし,用量及び投与間隔を選択した理由が明白でないならば,それを合理的に説明すること。例えば,消失半減期の短い薬剤であって,作用が血中濃度の時間的推移に密接に関係している場合は,通常その薬剤を1日1回投与することでは有効性は示されない。もし,治験デザインがそういった投与法を用いているのであれば,例えば,血中濃度に比較して作用が持続するという薬力学的証拠を示すことによって説明すること。次の投与の直前には薬剤の作用が「消失している」という証拠を探索するために用いた手順,例えば投与直前の作用の測定のような手順を記述すること。同様に,並行デザインによる用量-反応試験においては,それらの用量が選択された理由を説明すること。
9.3 治験対象母集団の選択
9.3.1 組み入れ基準
患者母集団及び患者を治験に組み入れるために用いた選択基準を記述し,治験の目的に照らしてその母集団が適切であることを考察すること。用いられた特定の診断基準及び疾患に要求される特定の事項(例えば,特定の重症度又は罹病期間,特定の検査,評価尺度若しくは身体的検査の結果,前治療が有効とか無効というような特定の病歴上の特徴,又は予後因子である可能性のある他の因子及び年齢,性別若しくは人種的因子)を提示すること。
スクリーニングの基準及び無作為化時又は治験薬による治療への組み入れ時に判断するための追加基準について記述すること。治験実施計画書では定義されていない付加的な組み入れ基準があったと考えられる理由がある場合には,それらの意味合いについて考察すること。例えば,治験責任医師によっては,特定の病態又は特定の初期状態を有する患者を除外したり,他の試験に組み入れたりしたかもしれない。
9.3.2 除外基準
治験への組み入れ時点での除外基準を特定し,その根拠(例えば,安全性への配慮,管理上の理由又は治験対象としての適切性の不足)を示すこと。試験結果を一般化する際の除外の影響について,報告書13章又は安全性及び有効性の総括的な分析のなかで考察すること。
9.3.3 患者の治療又は評価の打ち切り
患者の治療又は評価観察を打ち切る理由があらかじめ定められていれば記述し,さらにそれらの患者についての追跡観察の種類と期間が計画されていれば記述すること。
9.4 治療法
9.4.1 治療法
治験の各群において,さらに治験の各期間において用いられる治療又は診断薬について,投与経路,投与方法,用量及び投与スケジュールを詳細に記述すること。
9.4.2 治験薬の同定
総括報告書の本文中に,治験薬(剤型,含量,ロット番号)の簡単な記述を行うこと。複数のロットの薬剤が用いられた場合には,付録16.1.6にそれぞれのロットが投与された患者を特定し,記述すること。
プラセボ及び実対照薬の入手先を示すこと。実対照薬について,市販されている通常の状態から変更された場合には,全ての変更内容を示し,生物学的利用能が変わらないことを保証するためにとられた手順を記述すること。
有効期間が限られていたり,又は安定性データが不完備である治験薬を用いた長期投与試験については,治験薬の再交付の手段について記述すること。有効期限の過ぎた治験薬が使用された場合には,どのような場合でもその旨を記載し,投与された患者を明確にすること。もし,保管上特に必要な事項があるなら,それらも記述すること。
9.4.3 治療群への患者の割付け方法
患者を治療群に割り付けるために用いた特定の方法,例えば,中央割付け,施設内割付け,適応的割付け(つまりそれ以前の割付け又は結果を基にした割付け)について,層別化又はブロック化の手順も含めて報告書の本文中に記述すること。一般的ではない特徴について全て説明すること。
無作為化の方法に関する詳細な記述を,実際にどのように実行されたかを含めて付録16.1.7に添付し,必要ならば引用文献を付けること。無作為割付けコード,患者識別コード及び割り付けた治療法を示した表も付録に添付すること。多施設共同治験の場合には,施設別に情報を示すこと。乱数を発生させた方法について説明すること。
既存対照を用いた試験においては,その特定の対照の選択方法,また,それ以外の過去の成績に関する調査事項,調査した場合にはその結果と採用した対照の成績との比較についても述べることが重要である。
9.4.4 治験における用量の選択
全ての治療に対し,治験で用いられた用量又は用量範囲を示し,その用量選択の根拠(例えば,人での過去の成績,動物データ)を記述すること。
9.4.5 各患者の用量の選択及び投与時期
各患者に用いられた被験薬と実対照薬の用量を選択する手順について記述すること。それらの手順には,単に固定した薬剤・用量を無作為に割付ける方法から,特定の閾用量決定法や不耐容になるまで又は特定のエンドポイントが達成されるまで間隔をおいて用量を上げるといった患者の反応に応じて用量を選択するより手の込んだ手順まで,幅広い方法がある。もし,戻り方向の閾用量決定法(漸減法)を用いたのであればそれも記述すること。
投与の時期(一日の中の時刻,投与間隔)及び食事と投与との関係を記述し,それを特定していないならばその旨を記すこと。
患者に対して薬剤服用の時刻又は方法について何らかの特定の指示を出した場合には,それについて記述すること。
9.4.6 盲検化
特定の患者又は全ての患者について,例えば重篤な有害事象の発現など,どのような状況で開鍵することとしたか,その際に従う手順及び誰が患者コードを参照できたかも含め,盲検化を行うために用いた特定の手順を示すこと(例えば,容器のラベルの貼り方,盲検を破ったことが判るようなラベル,封印された割付コード表又は封筒,ダブルダミー法など)。その治験において幾人かの治験責任医師等に対し非盲検のままであることが許された場合には(例えば,それらの人に薬物治療法の調整を許すために),他の治験責任医師等に対して盲検性を守るために用いた方法を説明すること。被験薬と対照薬が識別不能であったことを保証するための方法及び識別不能であったことの証明について記述し,さらにそれらの外観,形状,臭い及び味を記述すること。臨床検査値により盲検性が破られる可能性がある場合,それを防ぐ手段を講じたのであれば記述すること。盲検化されていないデータを知り得る立場にあるデータモニタリング委員会が設置されている場合には,治験全体の盲検性が維持されていることを保証する手順を記述すること。中間解析を実施する際の盲検性を維持するための手順も説明すること。
いくつかの又は全ての観測項目について,偏りを減らすための盲検化が不必要と考えられる場合には,その理由を説明すること。例えば,自動血圧計を使えば,血圧を読むときに観測者によって偏りが生じる可能性を除去できるし,ホルター心電図を記録したテープはしばしば自動装置で読まれるので,おそらく観測者による偏りが生じない思われる。盲検化が望ましいが実行不可能であった場合には,その理由及び意味合いを考察すること。
ときに,盲検化が試みられたにもかかわらず,少なくとも何人かの患者については明白な薬剤の作用(口渇,徐脈,発熱,注射部位の反応,臨床検査値の変化等)がみられたために,盲検性が不完全になることがある。盲検性に関する問題点又は可能性のある問題点を明らかにし,その問題の大きさを評価又は制御しようと試みた(例えば,あるエンドポイントの検査については,治療の割付けがわかるような情報を知らされていない人によって測定された)のであれば,それらを記述すること。
9.4.7 前治療及び併用療法
治験開始前及び治験期間中に使用が認められた薬剤と使用方法,それらの使用が記録されたか否か及びその記録方法,並びに許容又は禁止された併用療法に関する取り決め及び手順を記述すること。許容された併用療法が,相互作用又は直接作用により,治験のエンドポイントにどのような影響を及ぼしたかについて考察すること。さらに,併用療法及び治験における治療のそれぞれの作用をどのように区別したかについて説明すること。
9.4.8 治療方法の遵守
治療方法の遵守の確認及び記録のためにとられた手段,例えば薬剤量の記録,患者日誌,血中,尿中若しくは他の体液中の薬物濃度の測定,又は投薬状況のモニタリングについて記述すること。
9.5 有効性及び安全性の項目
9.5.1 有効性及び安全性の評価項目及びフローチャート
評価される特定の有効性及び安全性の項目,実施される臨床検査,それらのスケジュール(評価日,評価時刻,食事との関係及び重要な項目の治験薬の投与との関連における測定時期:例えば次の投与直前,投与2時間後など),測定方法及び測定の責任者を記述すること。重要な測定を実施する担当者が交代した場合には,それらを報告すること。
通常,有効性及び安全性に関する測定の頻度及び時期をフローチャート(本ガイドライン別添Ⅲa 及びⅢb を参照)の形式で図を用いて表示することが役立つ。来院回数及び時期を示すか,その代わりに時期のみを用いてもよい(来院回数のみでは解釈がかなり難しい)。患者に対する特定の指示(例えば,手引書又は日誌の使用)についても全て記すこと。
転帰を記述するために用いられる定義(例えば,急性心筋梗塞の発症を認定するための基準,梗塞部位の判定,脳卒中発作が血栓性であるか出血性であるかの区別,一過性脳虚血発作と脳卒中発作の鑑別,死因の認定)について詳しく説明すること。臨床検査又は他の臨床的な測定(例えば,心電図,胸部 X 線)の結果を標準化又は比較するために用いられた方法について記述すること。これは多施設共同治験において特に重要である。
もし,治験責任医師以外の者が臨床的な結果の評価に責任を持つ場合には(例えば,X 線写真若しくは心電図を判定するため,又はその患者が脳卒中発作,急性心筋梗塞若しくは突然死であったかどうかを決定するための治験依頼者若しくは外部の委員会),その担当者又はグループを明らかにすること。盲検性を維持する方法を含む評価の手順及び判定や測定を中央で行う手順を詳細に記述すること。
有害事象データを収集する方法を記述すること(自発報告,チェックリスト又は質問)。また,有害事象について用いられた特定の評価尺度及びその追跡のために特別に計画した手順又は確認のための再投与の計画についても記述すること。
治験責任医師,治験依頼者又は外部グループによる有害事象の評価尺度(例えば,重症度によるランク分け,薬剤との因果関係)について記述すること。そのような評価に対する基準がある場合には示し,その評価に対する責任者を明示すること。有効性又は安全性が順序分類尺度や数値得点などで評価される場合には,得点付与のための基準(例えば,得点の定義)を示すこと。他施設共同治験については,どのように評価方法を標準化したかを示すこと。
9.5.2 測定項目の適切性
有効性又は安全性の評価法が標準的なものでなかった場合,すなわち広く用いられ,かつ信頼でき正確で適切である(有効な薬剤と無効な薬剤の識別ができる)と一般的に認められているものでない場合には,その信頼性,正確性及び適切性について記述すること。検討したが使用しなかった他の評価尺度についても記述することが有用であることもある。
代用エンドポイント(臨床上のベネフィットの直接の指標ではない臨床検査項目,身体測定項目又は兆候)が治験のエンドポイントとして用いられた場合には,例えば,臨床データの公表文献,ガイドライン又は過去の審査事例を引用し,その正当性を説明すること。
9.5.3 有効性の主要評価項目
有効性を判定するために用いた主たる測定項目及びエンドポイントを明確に規定すること。主要な有効性の測定項目が何であるか自明に思えるかもしれないが,複数の項目がある場合又は繰り返し測定されている場合は,治験実施計画書に主要な項目を明示し,それらがなぜ選択されたのか説明すること。あるいは,有効性を裏付けると判断されるような意味のある所見の組み合わせパターンを明示するか,又は情報を統合する他の方法を明示すること。もし,治験実施計画書に主要な項目が明示されていない場合は,総括報告書にはどのようにして主要な項目が選ばれたかを(例えば,公表文献,ガイドライン又は審査事例を引用し)説明すること。そして,それらがいつ主要な項目と決定されたか(治験が完了する前か後か,盲検が解除される前か後か)を説明すること。
有効と判断するための境界値が治験実施計画書で定義されていた場合は,それを記述すること。
9.5.4 薬物濃度の測定
測定された薬物濃度及び試料採取の回数と間隔を,薬剤投与のタイミングと関係づけて記述すること。薬剤投与及び試料採取と,食物の摂取,患者の体位及び併用薬剤・アルコール・カフェイン・ニコチンによる影響の可能性が考えられる場合には,それらとの関係についても示すこと。測定された生体試料,その取扱い方法及び用いられた測定方法について記述すること。なお,測定方法の詳細については,公表された又は内部の分析の妥当性に関する文書を引用すること。他の因子(例えば,血中遊離受容体,腎機能又は肝機能)が薬物動態の評価にとって重要であると考えられる場合には,これらの因子を測定するタイミングと計画について明らかにすること。
9.6 データの品質保証
データの品質を保証するために実行された品質保証及び品質管理の方法について簡潔に記述すること。もし,それらが行われなかった場合は,その旨を記すこと。臨床検査に関して,施設間の標準化及び品質保証を行ったのであれば,その方法と手順について付録16.1.10に示すこと。
標準的な用語を使用し,正確性,一致性,完備性及び信頼性のあるデータが集められることを保証するために,治験実施施設又は中央でとられた全ての手順,例えば訓練のための研修,治験依頼者による治験責任医師等に対するモニタリング,教育マニュアル,データの照合,クロスチェック,特定の検査についての中央検査センターの利用,心電図の中央判定又はデータの監査等について記述すること。治験責任医師等の訓練及び作業の標準化のために,治験責任医師等の会合又はその他の手段が講じられたか否か述べること。
治験依頼者が,独立した内部又は外部の監査手順を用いた場合は,ここに述べるとともに,付録16.1.8に記載すること。また,可能な場合には,監査証明書を同じ付録に添付すること。
9.7 治験実施計画書で計画された統計手法及び症例数の決定
9.7.1 統計及び解析計画
治験実施計画書で計画された統計解析及び結果を得る前になされた全ての変更について記述すること。ここで強調すべきことは,どのような解析,比較及び検定が計画されていたかであり,実際にどのような手法を用いたかではない。もし主要な項目が複数回測定されたならば,被験薬と対照との比較に用いるために計画された特定の測定値(例えば,試験全体を通じての数回の測定値の平均,特定の時点の値,治験完了例のみの値,治療中の最終の値)を明らかにすること。同様に,基準値からの変化,傾きの解析,生命表解析といった複数の解析手法が妥当とみなせる場合には,計画された手法を明確にすること。また,主たる解析中に共変量による調整を含めるかどうかについても明らかにすること。
利用できるデータのある患者であっても解析から除外する旨の計画された理由がある場合には,その理由を記述すること。別個に結果を吟味するような部分集団があれば,それらを明確にすること。分類尺度による反応(概括尺度,重症度得点,特定の大きさの反応)を解析に用いる予定であったならば,それらを明確に定義すること。
治験の結果に関するモニタリングが計画されていれば記述すること。データモニタリング委員会が開催された場合には,治験依頼者の管理下であるか否かを問わず,その構成及び実施手順を記述し,試験の盲検性を維持するための手順を示すこと。計画された中間解析の頻度及び性格,治験の終了に結びつく特定の条件並びに中間解析のためになされた統計的な調整について全て記述すること。
9.7.2 症例数の決定
計画された症例数及びその設定根拠,例えば統計的な考察又は実施上の制約を提示すること。症例数の算出方法をその算出式又は出典とともに示すこと。算出に用いられた推定値を示し,その推定値がどのようにして得られたかを説明すること。治療間の差を見いだすことを意図する治験においては,その試験デザインによって検出したい差を明らかにすること。新治療が少なくとも標準治療と同等の有効性を有することを検証しようとする実薬対照試験においては,症例数の決定にあたって,これ以上大きいと許容できないと考えられる治療間の差,すなわちその試験デザインによって棄却しようとしている差を明らかにすること。
9.8 治験の実施又は計画された解析に関する変更
治験開始後に行われた治験の実施又は計画された解析に関する変更(例えば,ある治療群の打ち切り,組み入れ基準又は薬剤の用法・用量の変更,症例数の調整など)を全て記述すること。また,変更が正式な治験実施計画書の改訂版として文書化されていたかどうかにかかわらず,変更の時期と理由,変更を決定するために用いた手順,変更の責任者となる人物又はグループ,及び変更がなされたときに利用可能であったデータの種類と内容(及び利用できた人物)を記述すること(人事異動は変更に含める必要はない)。試験結果の解釈に対するこれらの変更の意味合いについて,ここでは簡潔に,さらに報告書の他の適切な章ではより詳細に考察すること。報告書の各章において,治験実施計画書で計画された条件(手順)と,改訂又は追加との違いをはっきり区別すること。一般に,盲検解除の前に解析計画を変更しても,治験の解釈に大きな影響を及ぼさない。従って,特に盲検解除や結果の得られた時期と変更時期との関係を十分に説明することが重要である。