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データヘルス集中改革プランの基本的な考え方
- 3つの仕組みについて、オンライン資格確認等システムやマイナンバー制度等の既存インフラを最大限活用しつつ、令和3年に必要な法制上の対応等を行った上で、令和4年度中に運用開始を目指し、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進め、新たな日常にも対応するデジタル化を通じた強靱な社会保障を構築する。
3つのACTIONを今後2年間で集中的に実行
ACTION1:全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大
患者や全国の医療機関等で医療情報を確認できる仕組みについて、対象となる情報(薬剤情報に加えて、手術・移植や透析等の情報)を拡大し、令和4年夏を目途に運用開始
ACTION2:電子処方箋の仕組みの構築
重複投薬の回避にも資する電子処方箋の仕組みについて、オンライン資格確認等システムを基盤とする運用に関する要件整理及び関係者間の調整を実施した上で、整理結果に基づく必要な法制上の対応とともに、医療機関等のシステム改修を行い令和4年夏を目途に運用開始
ACTION3:自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大
PCやスマートフォン等を通じて国民・患者が自身の保健医療情報を閲覧・活用できる仕組みについて、健診・検診データの標準化に速やかに取り組むとともに、対象となる健診等を拡大するため、令和3年に必要な法制上の対応を行い、令和4年度早期から順次拡大し、運用
★上記のほか、医療情報システムの標準化、API活用のための環境整備といったデータヘルス改革の基盤となる取組も着実に実施。電子カルテの情報等上記以外の医療情報についても、引き続き検討。
医療情報を患者や全国の医療機関等で確認できる仕組み(ACTION1)
現状
- 災害や感染症拡大期等には、患者の医療情報の入手が難しく、重症化リスクや継続が必要な治療の把握が困難
- 高齢者や意識障害の救急患者等の抗血栓薬等の薬剤情報や過去の手術・移植歴、透析等の確認が困難
- 複数医療機関を受診する患者において、重複や併用禁忌の薬剤情報等の確認が困難
改革後
- かかりつけの医療機関が被災しても、別の医療機関が患者の情報を確認することで、必要な治療継続が容易に
- 救急搬送された意識障害の患者等について、薬剤情報等を確認することで、より適切で迅速な検査、診断、治療等を実施
- 複数医療機関にまたがる患者の情報を集約して把握することにより、患者の総合的な把握が求められるかかりつけ医の診療にも資する
- 医療従事者による問診・確認の負担軽減
- 感染症拡大期等対面診療が難しい場合にも、患者の情報を補完
- 重複投薬等の削減 等
電子処方箋の仕組み(ACTION2)
現状
- 病院等で受けとった紙の処方箋を薬局で渡す必要
- 医師、薬剤師の得られる情報が限られている場合があり、重複投薬が行われる可能性が否定できない
- 新型コロナウイルス感染症への対応の下ではファックス情報に基づく調剤が可能だが、事後的な紙の処方箋原本の確認作業が必要
改革後
- リアルタイムの処方情報共有(重複処方の回避)
- 薬局における処方箋情報の入力負担軽減等
- 患者の利便性の向上(紙の受渡し不要、オンライン診療・服薬指導の円滑な実施が可能)
自身の保健医療情報を閲覧・活用できる仕組み(ACTION3)
現状
- 国民等が健診情報等にワンストップでアクセスし、閲覧・活用することが困難
- 健診結果が電子化されておらず、円滑な確認が困難であることや災害時等における紛失リスクが存在
- 新たな感染症等の発生時に、医療機関や保健所が本人から正確な情報を収集し、健康状態のフォローアップをすることが重要
改革後
- 国民が、マイナポータル等を通じて、自身の保健医療情報をPCやスマホ等で閲覧・活用が可能
- API連携等を通じて、個人のニーズに応じた、幅広い民間PHRサービスの活用
参考情報
オンライン資格確認の導入
(1)オンライン資格確認の導入
- ①保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、個人番号カードによるオンライン資格確認を導入する。
- ②国、保険者、保険医療機関等の関係者は、個人番号カードによるオンライン資格確認等の手続きの電子化により、医療保険事務が円滑に実施されるよう、協力するものとする。
- ③オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局の初期導入経費を補助するため医療情報化支援基金を創設する。
(2)被保険者記号・番号の個人単位化、告知要求制限の創設
- ①被保険者記号・番号について、世帯単位にかえて個人単位(被保険者又は被扶養者ごと)に定めることとする。
これにより、保険者を異動しても個々人として資格管理が可能となる。
※ 75才以上の方の被保険者番号は現在も個人単位なので変わらない。 - ②プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する。
※ 告知要求制限の内容(基礎年金番号、個人番号にも同様の措置あり)
①健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する。
②健康保険事業とこれに関連する事務以外で、業として、被保険者記号・番号の告知を要求する、又はデータベースを構成することを制限する。これらに違反した場合の勧告・命令、立入検査、罰則を設ける。
薬剤情報、医療費情報、特定健診データのマイナポータル等での閲覧の仕組み
【導入により何が変わるのか】
- 患者本人や医療機関等において、薬剤情報や特定健診情報等の経年データの閲覧が可能。
⇒ 加入者の予防・健康づくり等が期待できる。
マイナンバーカードの健康保険証利用に向けた取組状況等について
オンライン資格確認システムの構築
- 令和3年3月からの利用開始を目指し、厚生労働省・社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、各保険者において、システム整備・改修を実施中。
- 令和2年夏頃から、支払基金と各保険者との間のシステム運用テストを実施予定。
- 令和2年秋頃から順次、保険者から支払基金のシステムに医療保険資格情報を登録予定。
保険医療機関・薬局におけるマイナンバーカード読取端末やシステムの導入にむけて
- 令和元年12月から、都道府県医師会、歯科医師会、薬剤師会、病院団体等に対して説明会を実施。
- 令和2年2月から、顔認証付きカードリーダーの仕様書等を公表。顔認証付きカードリーダーの審査の受付開始。
- 令和2年3月、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、病院団体等に、オンライン資格確認開始に向けた協力・周知の依頼文を発出。
- 令和2年通常国会で「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」が成立。支払基金において顔認証付きカードリーダーを一括調達し、医療機関及び薬局に配布を開始する。
各保険者におけるマイナンバーカードの取得支援等
- 各保険者において、被保険者等へのカード取得支援等を実施
- 国家公務員共済組合と地方公務員共済組合では交付申請書の配布により、被保険者のカード取得を支援
- 令和2年2月 市町村国民健康保険・後期高齢者医療制度担当部局等に、①被保険者証の更新時にマイナンバーカードの取得申請書等の送付(7月より送付開始)、②市町村窓口でのマイナンバーカードの初回登録等の手続支援の依頼等に関する通知を発出。
- 令和2年3月 医療保険者向けポータルサイト「デジタルPMO」に、マイナンバーカード取得促進に関するリーフレット等を掲載・周知。
国民・患者視点に立ったPHRの検討における留意事項 ~PHRにおける健診(検診)情報等の取扱いについて~
本留意事項の位置づけ
- PHRについては、国民・患者の保健医療情報を本人自身が活用して予防・健康づくり等に活用するとともに、それを本人同意の下に医療・介護現場で役立てることを目指す。
- 個人の保健医療情報をサマリー化・ヒストリー化など個人が理解しやすい形で提供することで、自らの健康管理・予防行動につなげられるようにするとともに、本人の希望によって医師等に提供し、診療等にも活用できるようにすることで、より質の高い医療・介護の提供が可能となる。
- また、国や自治体等による公衆衛生施策や保健事業、医療的ケアが必要な障害児者を含む者への災害等の緊急時での利用や保健医療分野の研究への二次利用など、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず誰もがより良い保健医療を享受するための活用を目指す。
策定の趣旨
本留意事項はPHR全体において、まずは健診情報等の取扱いについて必要な検討を行う上で踏まえるべき留意事項を整理するものである。
国民・患者視点に立ったPHRの意義
- 保健医療情報をPHRとして活用することで、予防医学や診療等において重要な本人の行動変容等の自己管理、医療従事者等による介入、研究等に必要な環境の整備を目指す。
- PHRの利用目的としては、①個人の日常生活習慣の改善等の健康的な行動の醸成、②効果的・効率的な医療等の提供、③公衆衛生施策や保健事業の実効性向上、災害等の緊急時の利用、④保健医療分野の研究が想定される。
PHRにおける健診情報等の取扱いに関する留意事項
(1)基本的な考え方
- 今後の保健医療分野の取組を進める上での基盤として、PHRの整備が必要。
- PHRは、「国民・患者視点に立ったPHRの意義」の①~④のような利用目的が存在しているが、まずは、「①個人の日常生活習慣の改善等の健康的な行動の醸成」のための利用を想定して健診情報等を活用できるよう整備。
- また、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組み等の議論と一体的に、②~④のための活用も検討。
(2)PHRとして提供する健診情報等
- 精度や解釈について安定性があり、エビデンスが確立され、診療ガイドライン等で整理されているものや、既に一般的に個人に提供され理解が進んでいる法定の健診等の情報からPHRとして提供。
- 画像データ等については、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みや介護情報の収集や閲覧のための仕組み等と一体的に検討し、国民・患者が円滑にアクセスできるように検討。
- 情報セキュリティに関する啓発等を推進し、安心してPHRを利用できるようにすることが必要。
(3)情報提供等の在り方
- 情報の提供や閲覧、保存方法等について、国・自治体・公的機関や医療機関・介護施設・薬局、民間事業者、個人の役割分担を含めて整理。国民誰もが自らのPHRにおける情報を活用できるように、基盤となるインフラは、国・自治体・公的機関が整備
ア 円滑な提供・閲覧等
(ア) 情報の電子化・標準化
- 効率的な運用や情報連携を行うため、国において情報の電子化やデータ形式の標準化、APIの公開等を進めることが必要。
(イ) 情報閲覧時の一覧性等の確保
- 過去の情報も含めてサマリー化・ヒストリー化など理解しやすい形で閲覧できる環境等を整備。
(ウ) 既存インフラを活用した本人への情報提供
- 各制度趣旨や費用対便益等を踏まえ、まずはマイナポータルの活用可能性を検討するとともに、API連携等の環境も整備。
イ 適切な管理
(ア) PHRの利用目的を踏まえたデータの保存期間
- 保健医療情報に関するシステムを効率的に活用して、国民が必要とする生涯の保健医療情報をPHRで閲覧できる環境を整備。
(イ) 保健医療情報を適切に取り扱うための仕組みの整備
- PHRとして各健診情報等を活用する際には、適切な本人同意やセキュリティの確保等の環境整備が必要。
- 継続的な個人のヘルスリテラシーの向上や、未然に個人の不利益を防止する仕組みを検討。