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年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する省令案(概要)

2021年9月10日

令和3年9 月
年金局事業管理課

1.制定趣旨

(1)加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置

  • 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(令和3年政令第229号。以下「整備等政令」という。)附則第5条の規定において、その施行の日(令和4年4月1日。以下「施行日」という。)の前日において加給年金額が加算されている老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者(以下「老厚又は障厚の受給権者」という。)であって、
    • 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第 40 号。以下「改正法」という。)により、60 歳台前半の在職老齢年金の支給停止調整開始額が引上げられた(28 万円→47 万円)こと
      又は
    • 整備等政令により、老厚又は障厚の受給権者の配偶者が老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が 240 月以上であるものに限る。)等の老齢又は退職を支給事由とする給付の受給権を有する場合には、その全額が支給停止されている場合であっても加給年金額に相当する部分の支給を停止することとしたこと
  • により、施行日以降の加給年金額が支給停止となるものについて、加給年金額の支給停止を行わないこととする経過措置が設けられた。
    (参考)加給年金は、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月以上であるものに限る。)又は障害厚生年金の額の計算に当たって、当該老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者がその権利を取得した当時、その者によって生計を維持していた65歳未満の配偶者又は子があるときに加算を行う制度である。
  • 本経過措置については、整備等政令において、
    1. ① 施行日の前日において配偶者の老齢又は退職を支給事由とする給付が基本手当(雇用保険法(昭和 49 年法律第 116 号)の規定による基本手当をいう。以下同じ。)の受給により全額停止されていた場合であって、施行日以後にその全額停止が解除されたとき
    2. ② 配偶者が受給している老齢又は退職を支給事由とする給付が、他の年金たる給付を受給することにより支給を停止されるに至ったとき
  • 等の場合は、本経過措置により支給停止の対象となっていない老厚又は障厚の受給権者の加給年金額の支給を停止することとされているため、日本年金機構(以下「機構」という。)が上記の①又は②に該当する対象者を把握するため、必要な手続きを定める必要がある。

(2)障害者・長期加入者特例の老齢厚生年金の支給停止に関する経過措置

  • 改正法により、令和4年 10 月から開始される厚生年金保険の適用拡大に伴い、新たに厚生年金保険の被保険者の資格を取得する特別支給の老齢厚生年金(以下「特老厚」という。)の受給権者であって、障害者特例や長期加入者特例に該当している者(以下「特例該当の特老厚の受給権者」という。)については、特老厚の報酬比例部分の一部又は全額の支給停止に加え、定額部分についても全額が支給停止されることとなる。
  • そこで、特例該当の特老厚の受給権者に係る激変緩和のための措置として、整備等政令第 55 条及び第 58 条において、
    1. 令和4年 10 月1日前において特例該当の特老厚の受給権者又は繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者(繰上げ調整額が加算されている受給権者に限る。以下同じ。)であって、
    2. 同一の事業所に令和4年 10 月1日前から勤務しており、
    3. 以下のⅰ)からⅲ)までの改正法による制度改正(以下「適用拡大に係る制度改正」という。)により令和4年 10 月1日に新たに厚生年金保険の被保険者資格を取得した場合
      1. )士業の適用業種の追加
      2. )勤務期間要件の撤廃
      3. )企業規模要件の見直し(500 人超→100 人超)
  • については、当該被保険者資格を喪失するまでの間に限り、特老厚の定額部分又は繰上げ調整額について支給停止を行わないこととする等の経過措置が設けられたことに伴い、機構が上記の①から③に該当する対象者を把握するため、必要な手続きを定める必要がある。

2.規定の内容

(1)加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置

  1. ① 加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置により、施行日において加給年金額が加算されている老厚又は障厚の受給権者(厚生労働大臣が支給する老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者に限る。以下同じ。)は、その配偶者が施行日以降に厚生年金保険法(昭和 29 年法律第 115 号)第 44条第4項各号に規定する加給年金額の加算の対象外となる事由のうち、
    1. 死亡したとき
    2. 加給年金が支給されていた老厚又は障厚の受給権者による生計維持の状態がやんだとき
    3. 離婚又は婚姻の取消しをしたとき
      のいずれかに該当するに至ったときは、以下に掲げる事項を記載した届書を機構に提出しなければならないこととする。
      <届書の記載事項>

      • ア 受給権者の氏名、生年月日及び住所
      • イ 受給権者の個人番号又は基礎年金番号
      • ウ 老齢厚生年金又は障害厚生年金の年金証書の年金コード
      • エ 当該配偶者の氏名及び生年月日
      • オ 当該配偶者が上記のⅰからⅲまでのいずれかに該当するに至った年月日及びその事由
  2. 加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置により、施行日において加給年金額が加算されている老厚又は障厚の受給権者は、施行日以後、その配偶者が経過措置の終了事由である「施行日の前日において配偶者の老齢又は退職を支給事由とする給付が基本手当の受給により全額停止とされていた場合であって、その全額停止が解除されたとき」に該当するに至ったときは、以下に掲げる事項を記載した届書を機構に提出しなければならないこととする。
    <届書の記載事項>

    • ア ①のアからエまでに掲げる事項
    • イ 当該配偶者が支給を受けることができることとなった老齢又は退職を支給事由とする給付の名称、老齢又は退職を支給事由とする給付に係る制度の名称及びその管掌機関並びにその支給を受けることができることとなった年月日
  3. 加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置により、施行日において加給年金額が加算されている老厚又は障厚の受給権者は、施行日以後、その配偶者が経過措置の終了事由である「配偶者が受給している老齢又は退職を支給事由とする給付が、他の年金たる給付を受給することにより支給を停止される」に該当するに至ったときは、以下に掲げる事項を記載した届書を機構に提出しなければならないこととする。
    <届書の記載事項>

    • ア ①のアからエまでに掲げる事項
    • イ 当該配偶者が支給を受けることを選択した年金たる給付の名称、当該給付に係る制度の名称及びその管掌機関並びにその支給を受けることができることとなった年月日
    • ウ 当該配偶者が年金たる給付の支給を受けることにより支給を停止されるに至った老齢又は退職給付の名称、当該給付に係る制度の名称及びその管掌機関並びにその支給を停止されるに至った年月日
  4. ただし、老厚又は障厚の受給権者の配偶者が施行日以後に、加給年金の支給停止規定の見直しに伴う経過措置の支給停止事由のうち、以下に掲げる事由に該当することとなった場合は、②又は③の届書の提出は不要とする。
    • ア 老齢又は退職を支給事由とする給付のうち厚生労働大臣が支給する老齢厚生年金が基本手当の受給により全額停止とされた場合であって、その全額停止が解除されたとき
    • イ 支給を受けることを選択した年金たる給付が障害厚生年金又は障害基礎年金(受給権者が同時に当該障害基礎年金と同一の支給事由に基づく障害厚生年金の受給権を有するものに限る。)であり、かつ、当該年金を受けることにより支給停止された年金たる給付が老齢厚生年金であるとき

(2)障害者・長期加入者特例の老齢厚生年金の支給停止に関する経過措置

第一号厚生年金被保険者期間に基づく特例該当の特老厚の受給権者又は繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者は、次の①から④までの事項を記載した届書に、次の⑤又は⑥のいずれかの書類を添えて、機構に提出しなければならないこととする。

<届書の記載事項>
  • ① 受給権者の氏名、生年月日及び住所
  • ② 受給権者の個人番号又は基礎年金番号
  • ③ 老齢厚生年金の年金証書の年金コード
  • ④ 令和4年9月 30 日以前において特例該当の特老厚の受給権者又は繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、令和4年9月 30 日以前から引き続き同一の事業所に勤務しており、令和4年 10 月1日に適用拡大に係る制度改正の対象に該当し、新たに被保険者となった旨(厚生年金保険の被保険者の資格の取得事由(いずれの適用拡大に係る制度改正により新たに被保険者資格を取得したか)を含む。)
<添付書類>
  • ⑤ 継続勤務の事実についての事業主の証明書(様式において直接証明することを想定)
  • ⑥ 継続勤務の事実を明らかにすることができる書類(給与明細、雇用契約書等を想定)

(3)その他所要の規定の整備

整備等政令の施行に伴い、その他所要の経過措置に関する規定を定める。

3.根拠規定

厚生年金保険法第 98 条第3項

4.施行期日等

  • 公布日:令和3年 10 月下旬(予定)
  • 施行期日:2(1)に係る改正規定は令和4年4月1日、2(2)に係る改正規定は令和4年 10 月1日

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