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特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために講ずべき措置についての指針

目次

0 本指針の背景及び構成

0.1 本指針の背景

  • 近年の情報通信技術の分野における技術革新の進展により、データを活用した新たな産業が創出され、世界的規模で社会経済構造の変化が生じ、デジタルプラットフォームの果たす役割の重要性が増大している中で、デジタルプラットフォーム提供者の自主性及び自律性に配慮しつつ、商品等提供利用者等の利益の保護を図ることが課題となっている。かかる状況に鑑み、特定デジタルプラットフォーム提供者の指定、特定デジタルプラットフォーム提供者による提供条件等の開示、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価その他の措置を講ずることにより、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上を図り、もって特定デジタルプラットフォームに関する公正かつ自由な競争の促進を通じて、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(令和2年法律第38号。以下「法」という。)が、令和2年5月27日に成立し、同年6月3日に公布された。
  • 法の基本理念として、「デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する施策は、デジタルプラットフォームが、利用者の便益の増進に寄与し、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展にとって重要な役割を果たすものであることに鑑み、デジタルプラットフォーム提供者がデジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与その他の規制を必要最小限のものとすることによりデジタルプラットフォーム提供者の創意と工夫が十分に発揮されること及びデジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図ることを旨として、行われなければならない」旨が規定されている(法第3条)。当該基本理念を踏まえ、法は、規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」の規制手法を採用している。
  • 具体的には、デジタルプラットフォームのうち、政令で定める事業の区分ごとに、その事業の規模が政令で定める規模以上であるものを提供するデジタルプラットフォーム提供者を、その透明性及び公正性の自主的な向上に努めることが特に必要な特定デジタルプラットフォーム提供者として指定し(法第4条)、主に下記の3点の措置を課すものとされている 。
  1. ①提供条件等の開示(法第5条):商品等提供利用者に対して提供条件として開示すべき事項、特定の行為を行う場合の(事前の)開示事項等の開示を義務付ける。
  2. ②相互理解の促進を図るために必要な措置の実施(法第7条):商 品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るための体制及び手続 等 に関する必要な措置を講じることを義務付ける。
  3. ③モニタリング・レビュー(法第9条):自主的な改善を促す観点から、毎年度、取組状況とそれらに対する自己評価を記載した報告書の提出を義務付ける。報告書の提出を受けた経済産業大臣は、当該特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性について評価を行い公表する。
  • 本指針は、「 ②相互理解の促進を図るために必要な措置の実施 」 に関して 、 その適切かつ有効な実施に資するために必要なものとして定められるものである( 法第7条第2項)。また、「③モニタリング・レビュー」においては、「①提供条件等の開示」の状況及び「②相互理解の促進を図るために必要な措置 」の実施 を含めて 、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価が行われるところ 、 当該評価においては、本指針が勘案されることとされている(法第9条第2項)。当該評価の結果は、提出された報告書の概要とともに、公表される(法第9条第5項)。特定デジタルプラットフォーム提供者は、評価の結果を踏まえ、透明性及び公正性の自主的な向上に努めなければならない(法第9条第6項)。
  • なお、このような評価結果を踏まえた自主的な改善のための仕組みに加えて、提供条件等の開示義務を遵守していないと認める場合及び 相互理解の促進を図るために必要な措置に関してその適切かつ有効な実施を図るために特に必要があると認める場合には、経済産業大臣が勧告を行うとともに、その旨を公表することとされている(法第6条、法第8条)。提供条件等の開示義務違反についての勧告を受けた特定デジタルプラットフォーム提供者が正当な理由なく措置をとらない場合には、命令・公表の対象となる(法第6条)。命令違反及び報告書の不提出等は、罰金の対象となる(法第23条、法第24条)。

0.2 本指針の構成

  • 本指針は、法第7条第3項各号に掲げる事項に対応して区分した①から⑤までの内容とする。
    1. ① 特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために必要な措置に関する基本的な事項
    2. ② 商品等提供利用者に対する特定デジタルプラットフォームの提供が公正に行われることを確保するために必要な体制及び手続の整備に関する事項
    3. ③ 特定デジタルプラットフォームについての商品等提供利用者からの苦情の処理及び特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の紛争の解決のために必要な体制及び手続の整備に関する事項
    4. ④ 特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者その他の関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者の選任に関する事項
    5. ⑤ 前各号に掲げるもののほか、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者の意見その他の事情を十分に考慮するために必要な措置に関する事項
  • ①の事項については、本指針 1 において、本指針の位置付け及びモニタリング・レビューとの関係等について明示している 。
  • ②から⑤までの事項については、「2 基本的な考え方」を示すとともに、「2 基本的な考え方」で示された方向性を実現するための取組を「3具体的な取組例」において例示する構成としている(「2 基本的な考え方」と「3 具体的な取組例」の意味については、「1.1 本指針の位置付け」を参照されたい。)。

1 特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために必要な措置に関する基本的な事項

1.1 本指針の位置付け

  • 法の基本理念を踏まえると、相互理解の促進を図るために必要な措置の実施についても、特定デジタルプラットフォーム提供者による透明性及び公正性の向上のための自主的かつ積極的な取組を促すことが基本となる。
  • この点を踏まえて、本指針は、特定デジタルプラットフォーム提供者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施に資するために 、法第7条第3項第2号から第5号までに規定する本指針に定めるべき各事項について、「2 基本的な考え方」として、特定デジタルプラットフォーム提供者が各事項について必要な措置を講じなければならない背景及び特定デジタルプラットフォーム提供者が実施することが期待される取組の方向性を明示するとともに、「3 具体的な取組例」として、「2 基本的な考え方」で示された方向性を実現するために 、特定デジタルプラットフォーム提供者が参照することができる具体的な取組を例示している。
  • 「3 具体的な取組例」は、あくまで「2 基本的な考え方」で示された方向性を達成する手段の一例であり、特定デジタルプラットフォーム提供者の事業運営形態も 様々であることが想定されることから、「3 具体的な取組例」を実施することが求められているものではない。むしろ、特定デジタルプラットフォーム提供者自らが主体的かつ継続的に創意と工夫を凝らして、その事業運営の実態に応じて「2 基本的な考え方」で示された方向性を実現するための適切かつ有効な措置を自主的かつ積極的に講じることで、「2 基本的な考え方」で示された方向性を実現し、特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との相互理解を促進していくことが期待されている。
  • また、特定デジタルプラットフォーム提供者に該当しないデジタルプラットフォーム提供者においても、法に基づき措置を講ずることが法的に義務付けられてはいないものの、自らが提供するデジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上を図る観点から、必要に応じて本指針を参照することも有益である。

1.2 本指針とモニタリング・レビューの関係

  • 経済産業大臣による特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性について の 評価においては、特定デジタルプラットフォーム提供者が、自らが講じた措置により「 2 基本的な考え方」に示された方向性を適切かつ有効に実現しているかが評価の対象となる 。
  • したがって、「3 具体的な取組例」にかかわらず、特定デジタルプラットフォーム提供者自らが主体的かつ継続的に創意と工夫を凝らして、その事業運営の実態に応じて、「2 基本的な考え方」で示された方向性を実現するための適切かつ有効な取組を自主的かつ積極的に実施することが、重要な評価要素となる点に、十分に留意しなければならない。
  • 自己が講じた措置が「 2 基本的な考え方」に示された方向性を適切かつ有効に実現していることを効果的に説明する観点から、特定デジタルプラットフォームの事業運営の方針及び実態を踏まえて、「2 基本的な考え方」に示された方向性を実現するために特定デジタルプラットフォーム提供者が実際に講じた具体的な措置と当該措置が当該方向性を実現する上で適切かつ有効と考える理由を、経済産業大臣に提出する報告書において説明することが求められる。
  • なお、法の基本理念(法第3条)に鑑みれば、本指針は、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るという目的に照らして、必要以上に負担を強いるものではない。また、特定デジタルプラットフォーム提供者が、一般利用者その他の者の正当な利益を保護するために、適切に対応することを妨げるものではない。

1.3 本指針の見直し

  • 本指針は、法の規定の施行の状況及び経済社会情勢の変化を勘案し、不断に見直されることが予定されている。特に、法第9条第2項の規定による経済産業大臣による特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の評価並びに特定デジタルプラットフォーム提供者による自らの特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の自主的な向上を図るための取組の状況に応じて、 本指針の変更の要否及びその内容が検討され 得 る点に留意が必要である。

2 基本的な考え方

2.1 商品等提供利用者に対する特定デジタルプラットフォームの提供が公正に行われることを確保するために必要な体制及び手続の整備に関する事項

  • デジタルプラットフォームは多数の利用者によって広く利用され、また、一部のデジタルプラットフォームに対する利用が集中しており、デジタルプラットフォームの商品等提供利用者にとって容易にその利用を止めることができないような状況にあるとの指摘もあること等に鑑みれば、特定デジタルプラットフォーム提供者による提供条件の変更等の行為は、一般に、商品等提供利用者に対して大きな影響を与え得るものである。
  •  一方で、特定デジタルプラットフォームは、多数の者により利用されているという性質上、個々の商品等提供利用者ごとに個別に交渉して異なる提供条件を定めること 等 は 必ずしも容易ではない場合もあり、規約変更による提供条件の変更等の行為は、一律的かつ一方的なものとならざるを得ない側面もある 。
  • このような特定デジタルプラットフォームの性質を踏まえつつ、商品等提供利用者の利益を保護するためには、特定デジタルプラットフォーム提供者が提供条件の変更等の行為を実施するに当たって、商品等提供利用者の利益に配慮しながら、以下の方向性に沿った適切な取組を実施することが重要である。
    1. ① 特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者に対して提供条件の変更等の行為を行う前に、適切に評価を行い、当該評価を 踏まえて(当該行為を行う場合でも)商品等提供利用者の利益に配慮した適切な対応を行うこと
    2. ② 個々の行為を行うに当たって、一貫性・公平性のある判断がなされる適切な仕組みを構築すること
    3. ③ 特定デジタルプラットフォームの公正性の自主的な向上につながる適切な仕組みを構築すること
  • こうした方向性に沿った 適切な 取組が実施されることにより、特定デジタルプラットフォームを適切に運営するに当たり、商品等提供利用者の利益の保護上問題となり得る行為 や 商品等提供利用者間で不当に異なる取扱いがなされることが防止され、特定デジタルプラットフォーム提供者による事後検証及び運営改善が容易になり、特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解が促進されることが期待される。

2.2 特定デジタルプラットフォームについての商品等提供利用者からの苦情の処理及び特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の紛争の解決のために必要な体制及び手続の整備に関する事項

  • 規約変更による提供条件の変更及び取引の拒絶等の行為や提供条件そのものについて、それらの影響を受け得る商品等提供利用者が、それらの内容や理由を不合理と考えた場合に、特定デジタルプラットフォーム提供者に対して直接、苦情の申入れ等を行うことができるような仕組みが存在することは、商品等提供利用者の利益の保護を図るとともに、当該特定デジタルプラットフォーム提供者による取組に対する商品等提供利用者 からの 理解や信頼を 得 る 上で重要である。
  • 特定デジタルプラットフォーム提供者にとっても、商品等提供利用者から寄せられる苦情は、一般に、商品等提供利用者の事情に対する理解につながるものであり、また、自らの特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営を改善するための端緒とする観点からも重要である 。
  • したがって、特定デジタルプラットフォーム提供者が、こうした観点を踏まえつつ、以下の方向性に沿った適切な取組を実施することが重要である。
    1. ① 苦情及び紛争の原因となった事象 を 、重要性と複雑さに応じて、適切かつ迅速に処理・解決するための仕組みを構築すること
    2. ② 苦情及び紛争を端緒として、苦情及び紛争に関する情報を有効に利用して特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営を改善すること
  • こうした方向性に沿った適切な取組が実施されることにより、苦情及び紛争の適切かつ迅速な処理・解決を通じて商品等提供利用者の利益が保護され、さらには苦情及び紛争を端緒として 特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営が改善され、特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解が促進されることが期待される。

2.3 特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者その他の関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者の選任に関する事項

  • 一般に、商品等提供利用者との間のみならず、経済産業大臣その他の関係者(以下単に「関係者」という。)との間でも緊密に連絡が行われることにより、国内に所在する多数の関係者の多様な事情を効率的に把握し、当該関係者の意見や知見を踏まえて、適切な対応を行うことが重要である 。
  • したがって、特定デジタルプラットフォーム提供者が、こうした観点を踏まえつつ、以下の方向性に沿った適切な取組を実施することが重要である。
    1. ① 特定デジタルプラットフォーム提供者が関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者(以下「国内管理人」という。)を 選任するこ と
    2. ② 関係者とのコミュニケーション の管理 及び当該コミュニケーションを通じた特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営の改善 に関して、必要に応じて適切な調整を国内管理人が行うことができる仕組みを構築すること
  • こうした方向性に沿った適切な取組が実施されることにより、国内における関係者と適切に緊密なコミュニケーションが行われ、当該コミュニケーションを踏まえて特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営が改善され、特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解が促進されることが期待される。

2.4 前各号に掲げるもののほか、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者の意見その他の事情を十分に考慮するために必要な措置に関する事項

  • 特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために必要な措置として、2.1 か ら 2.3 までに示された方向性に沿った適切な取組に加えて、特定デジタルプラットフォーム提供者が自主的 に 商品等提供利用者の意見その他の事情を理解するための仕組みを構築し、自らの行為を振り返り、運営改善の取組を検討し実施するという流れを作ることが重要である。
  • したがって、特定デジタルプラットフォーム提供者が、こうした観点を踏まえつつ、以下の方向性に沿った適切な取組を実施することが重要である。
    1. 商品等提供利用者の意見その他の事情を理解するための仕組みを構築すること
    2. 商品等提供利用者の意見その他の事情を踏まえて商品等提供利用者に対して適切な対応を行うとともに 、 当該事情を特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営改善の端緒として有効に利用する 適切な 仕組みを構築すること
  • こうした方向性に沿った 適切な 取組が実施されることにより、商品等提供利用者の意見その他の事情が適切に理解され、これを踏まえ て 商品等提供利用者への対応や運営の改善が行われ、特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解が促進され ること が期待される。

3 具体的な取組例

3.1 商品等提供利用者に対する特定デジタルプラットフォームの提供が公正に行われることを確保するために必要な体制及び手続の整備に関する事項

  • 2.1 に示した方向性全体について、以下の具体的な取組例が考えられる 。
    • 2.1 に示した方向性に沿って措置を講じるに当たっての基本的な考え方や具体的に講じる措置等について記載した行動指針を策定し、特定デジタルプラットフォーム提供者の役員や職員への浸透を図ることが考えられる。そうした取組をさらに実効的なものとするために、当該行動指針を商品等提供利用者に対して開示することや、一般に公表することも考えられる。また、商品等提供利用者からの意見や自己評価等を踏まえて、定期的に当該行動指針を検証し、必要に応じて見直すことが考えられる。
    • 2.1 に示した方向性に沿って措置を講じるに当たって、企業グループ・企業組織全体としてのガバナンス体制を整備することが考えられる。
  • 2.1 に示した①から③までの各方向性に沿った取組の例として、以下の具体的な取組例が考えられる。
    1. ① 特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者に対して提供条件の変更等の行為を行う前に、適切に評価を行い、当該評価を 踏まえて(当該行為を行う場合でも)商品等提供利用者の利益に配慮した適切な対応を行うこと
      • 特定デジタルプラットフォーム提供者は、商品等提供利用者に影響を与える行為の実施判断前に、以下の観点から評価を行うことが考えられる。
        • 当該行為の必要性
        • 当該行為が商品等提供利用者に与える影響及び不利益
        • 商品等提供データの利用により商品等提供利用者に与える影響及び不利益
        • その他公正性を確保する観点から必要となる事項
      • 法第5条に基づき商品等提供利用者に対する開示が求められる場合も含め、特定デジタルプラットフォーム提供者は、商品等提供利用者に対して、事前評価を踏まえた行為の実施判断の理由等を、合理的な範囲で、事前に説明することが考えられる。
      • 法第5条に基づき商品等提供利用者に対する開示が求められる場合も含め、特定デジタルプラットフォーム提供者は、事前評価を踏まえて、商品等提供利用者に対して大きな影響を与える行為を実施するに 当 たっては、通常よりも長い事前通知期間を設けるなど商品等提供利用者に対して十分に検討・対応できる時間を設けるために適切な措置を実施することや、可能な場合には 、 必 要に応じて商品等提供利用者に他の選択肢を用意することが考えられる。
    2. ② 個々の行為を行うに当たって、一貫性・公平性のある判断がなされ る 適切な 仕組みを構築すること
      • 特定デジタルプラットフォーム提供者は、商品等提供利用者の取扱いに関して、審査その他の判断の一貫性及び公平性を保つため、判断の基準を定めること、 当 該 基準自体に対する異議申立ての仕組みを設けること、当該基準の運用が異なることがないように判断に不服がある場合には不服申立ての仕組みを設けることや特定デジタルプラットフォーム提供者の担当者向けの情報共有を行うことが考えられる。
      • 商品等提供利用者の取扱いに関する判断の基準は、商品等提供利用者による潜脱行為の可能性を考慮した上で商品等提供利用者にとって可能な限り予見可能性のある基準とすることが考えられる 。
    3. ③ 特定デジタルプラットフォームの公正性の自主的な向上につながる 適切な 仕組みを構築すること
      • 商品等提供利用者に対する行為の内容、判断の根拠、判断の責任者、関連して商品等提供利用者から寄せられた意見、苦情その他の関連情報について、事後検証及び運営改善が容易となるよう、合理的な範囲で、社内に適切に記録・保管することが考えられる 。 当該記録に基づき、商品等提供利用者に対する自己の行為を事後検証し、運営の改善を検討・実施することが考えられる。
      • 当該行為について、必要に応じて第三者による評価や監査を受けることが考えられる。

3.2 特定デジタルプラットフォームについての商品等提供利用者からの苦情の処理及び特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の紛争の解決のために必要な体制及び手続の整備に関する事項

  • 2 .2 に示した①と②の各方向性に沿った取組の例として、以下の具体的な取組例が考えられる。
    1. ① 苦情及び紛争の原因となった事象を、重要性と複雑さに応じて、適切かつ迅速に処理・解決するための仕組みを構築すること
      • 商品等提供利用者からの苦情に関して、商品等提供利用者が特定デジタルプラットフォーム提供者に対して直接、容易に、無償で、苦情を申し出ることができる体制や手続を整備することが考えられる。
      • 商品等提供利用者からの苦情を適切かつ迅速に処理するための対応マニュアル及び業務フローを構築することが考えられる。また、商品等提供利用者からの苦情ごとの個別の事情に沿った対応を可能とするため、対応する職員に対して関連する情報を共有することが考えられる。
      • 事案の内容及び苦情の重要性 と 複雑さに応じて合理的な期間内に苦情を処理するとの基本方針や、必要に応じて初動期間等の目安となる所要期間や処理プロセスを定め、その旨を商品等提供利用者にあらかじめ開示することが考えられる。その際、当該目安となる所要期間を超えることが見込まれる場合には、苦情を申し出た商品等提供利用者に対して誠実に説明することが考えられる。
      • 苦情を申し出た商品等提供利用者に対して、苦情の処理を行った後のフォローアップ(追跡調査、事後点検)を必要に応じて行うことが考えられる。
      • 当事者間において解決できない紛争が生じた場合に裁判外での解決を試みるため、必要に応じて外部の苦情・紛争を処理するシステム(裁判外紛争解決手続(ADR)等)の活用を検討することが考えられる。調停人を利用する場合には、公平性や独立性が確保されている調停人を複数名指定すること、日本語での対応が可能な調停人を指名すること、当該指定された調停人等の調停に関する情報をあらかじめ商品等提供利用者に対して開示すること等を検討することが考えられる。その際、特定デジタルプラットフォーム提供者側は誠実に調停に参加するとともに当該調停に係る費用のうち合理的と認められる割合を負担することが考えられる。
      • 特定デジタルプラットフォーム提供者及び商品等提供利用者双方の負担を軽減し、効率的かつ効果的に苦情の処理及び紛争の解決を行うことができる場合には、苦情の処理及び紛争の解決に関して、必要に応じて商品等提供利用者の組織する団体と適切に協力することが考えられる。
    2. ② 苦情及び紛争を端緒として、苦情及び紛争に関する情報を有効に利用して特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営を改善すること
      • 苦情及び紛争の内容、件数、件数の増減、その理由の分析、苦情及び紛争の内容と(特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営の改善に向けた)自主的取組との関連性についての自己評価を行うことが考えられる。その上で、当該自己評価の内容、運営改善を行った場合には当該運営改善の内容を、苦情や紛争の件数、主要な類型、苦情の処理及び紛争の解決に要した平均的な期間等の情報とともに、商品等提供利用者に開示することや、必要に応じて一般に公表することが考えられる。
      • 商品等提供利用者から寄せられた苦情の処理及び紛争の解決 に関する情報を、事後検証及び運営改善が容易となるよう、合理的な範囲で、社内に適切に記録・保管することが考えられる。 当 該記録に基づき、苦情の処理及び紛争の解決に関する体制及び手続が十分に機能したか事後検証し、運営の改善を検討・実施することが考えられる。

3.3 特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者その他の関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者の選任に関する事項

  • 2 .3 に示した①と② の各方向性に沿った取組の例として、以下の具体的な取組例が考えられる。
    1. ① 特定デジタルプラットフォーム提供者が関係者と緊密に連絡を行うために国内管理人を選任すること
      • 以下の役割を担う国内管理人を選任することが考えられる。
        • 国内における関係者との間のコミュニケーションを管理すること
        • 当該コミュニケーションを踏まえて、必要に応じて特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営の改善に向けた調整を、適切かつ主体的に行うこと
    2. ② 関係者とのコミュニケーションの管理及び当該コミュニケーションを通じた特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営の改善に関して、必要に応じて適切な調整を国内管理人が行うことができる仕組みを構築すること
      • 国内管理人を補助すべき適切な部署の担当者を選任することが考えられる。
      • 関係者からの連絡を受け付けるため、選任した国内管理人及び補助者の氏名、役職、連絡先その他のコミュニケーションのために必要な事項を関係者に開示することが考えられる。

3.4 前各号に掲げるもののほか、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者の意見その他の事情を十分に考慮するために必要な措置に関する事項

  • 2 .4に示した①と②の各方向性に沿った取組の例として、以下の具体的な取組例が考えられる。
    1. ① 商品等提供利用者の意見その他の事情を理解するための仕組みを構築すること
      • 特定デジタルプラットフォームに関する事項について、商品等提供利用者又はその団体との間で、必要に応じて適切に意見交換の機会を設けることが考えられる。
    2. ② 商品等提供利用者の意見その他の事情を踏まえて商品等提供利用者に対して適切な対応を行うとともに 、 当該事情を特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営改善の端緒として有効に利用する適切な仕組みを構築すること
      • 意見交換の機会を通じ、商品等提供利用者及びその団体から合理的な意見が寄せられた場合には、必要に応じて特定デジタルプラットフォームの提供に関する運営の改善を行うことが考えられる 。
      • 意見交換の結果やこれを踏まえた運営の改善について、必要に応じて第三者の意見を聴取することが考えられる。
      • 特定デジタルプラットフォーム提供者が、商品等提供利用者に対して自社ルールを適用するに 当 たっては、グローバルな自社ルールを全世界に一律に適用することが商品等提供利用者の公平な取扱いであるとの考え方に基づき自社ルールを全世界に一律に適用することも考えられる。他方で、当該自社ルールを形式的に一律に適用するのではなく、 国 内 の法令、制度、自主的な規律及び商慣習により当該自社ルールの趣旨・目的が実現されているかを十分に勘案しつつ、商品等提供利用者の利益保護の観点から、必要に応じて適切な対応を行うことも考えられる。

以上

参照

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digitalplatform/transparency.html

 

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