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いまさら聞けない?疫学の基礎ーその7「曝露因子の測り方」

その6では曝露因子とは何か?の概観を見ました。今回は、曝露因子をどうやって測るか、について見ていきます。

いまさら聞けない?疫学の基礎ーその6「曝露因子ってそもそも何?」

様々なデータ収集方法

曝露因子の測り方は、データ収集方法とほぼ同義です。データ収集方法は、実に多種多様です。とりあえず列挙してみましょう。

  • インタビュー調査(対面インタビュー、ビデオインタビュー、電話インタビュー)
  • アンケート調査(紙のアンケート、ウェブのアンケート)
  • 日記を記してもらう(紙の日記、スマホアプリなどの日記、PCのウェブブラウザを使った日記、ブログも入るかもしれませんね)
  • 日常診療で蓄積されるデータを使う(電子カルテデータ、レセプトデータ)
  • 血液・唾液・尿などの成分を分析する
  • 周辺の環境(気温、気圧、大気分析、水質検査、土壌検査)
  • 食べ物の成分分析
  • スマートフォンやスマートウォッチで四六時中集められているデータ(歩数などの活動量データ、心拍数、位置情報、等々)

どうでしょう。まだまだ色々あるでしょう。これらは、いずれも「曝露因子」として分析に用いようと思えば用いることができます。

また、アンケート調査や日記の場合、本人による回答が難しい場合(乳幼児のため文字が読めないなどの場合、重篤で手を動かせない場合、認知症等の疾患による場合など)には、本人ではなく、その方を介護している方やご家族等が代理で回答する場合もあるでしょう。

データ収集方法の決め方

データを集める方法は、上述のように様々ありますが、どれにしようかを完全に自由に決められるというわけではありません。

データの集め方は、様々な要因である程度限定されてきます。

どんな要因が考えられるか、主なものを列挙してみましょう。

  • 研究のタイプ
    • 新しくデータを集めるような研究であれば、欲しい情報を集められるような研究デザインを組み立てることができます。一方で、既存のデータを用いて実施するような研究の場合は、既に集められている情報をいかに利用するかという制限がかかるため、データソースが自然と絞られてきます。既存データを用いた研究の場合、「データがどこにあるか」と「データを研究利用することが、法的に許されているか(本人同意が得られているか、等)」を真っ先に考えることになるでしょう。
  • 必要なデータの種類
    • 必要なデータの種類によっては、患者さん本人に聞かなければわからないこともあれば、患者さんの血液または唾液などの試料がなければわからないこともあります。心拍数や血圧のような情報も、実はなかなか取り扱いが難しく(血圧はちょっとしたことで結構大きく変動してしまう。緊張すると鼓動はすぐに激しくなりますよね。)、それこそスマートウォッチのような比較的新しいデバイスを活用しないと正確な分析が行えない恐れがあります。
  • 必要なデータの細かさ
    • どの程度の正確性が求められるのか、というのも重要な要素です。過剰な正確性を求めるのはあまりよくないでしょう。例えば、年齢の情報を集める際にも、小児を対象とする研究の場合は生後何か月かといった数か月単位の情報が必要かもしれませんが、20歳~60歳の勤労世代を対象とした研究の場合は年単位の年齢情報があれば十分でしょう。成人の場合は、5年刻みの年齢情報でも十分な場合も珍しくありません。
  • 研究対象者の知識の度合いや、記憶できている範囲の情報
    • アンケート調査や日記調査の場合、自己申告のため報告者の記憶による影響を多分に受ける前提でデータ収集やデータ分析を行う必要があります。
  • 質問の仕方や、回答者の受け取り方
    • アンケート調査やインタビュー調査、日記調査の場合、質問の仕方や、回答者本人の受け取り方や性格によって、回答の仕方が大きく異なることが考えられます。
  • 測定方法の精度
    • 血液検査や遺伝子検査においても、測定方法の精度は幅広いです。研究の目的を達成できる精度を求めるのは当然必要ですが、過剰なクオリティを求めるのはコスト面からも不合理ですし、研究の内容によっては非倫理的な場合もあります(極端な例では、全ゲノム解析をする必要がなくSNP解析で十分なのに、全ゲノム解析を行ってその人のゲノム情報を網羅的にデータ化するのは非倫理的と捉えられても仕方ないかもしれません)。
  • 測定にかかるコスト(人的コスト、金銭的コスト、時間的コスト等)
    • 過剰なコストをかけると、もっと別のことにリソースを避けたのにそれが出来なくなる、というだけでなく、研究自体が縮小されたり中止されるということにも繋がりかねません。

まとめ

曝露因子やデータ収集という部分は、単純なようで奥が深い部分です。アンケート調査も、きちんと妥当性評価が行われているアンケートを用いたい場合、版権というものを考える必要もあります(利用料金は結構お高いです)。リサーチクエスチョンや研究の目的を明確に設定して、無駄を省きつつクオリティを高めて維持するというのは、職人的な勘が必要な部分かもしれません。

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