倫理指針 規制

生命科学・医学系研究 倫理指針 第1 目的及び基本方針

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 第1 目的及び基本方針

この指針は、人を対象とする生命科学・医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的とする。全ての関係者は、次に掲げる事項(①から⑧)を基本方針としてこの指針を遵守し、研究を進めなければならない。

補足

    • この指針は、研究対象者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図りつつ、人を対象とする生命科学・医学系研究の科学的な質及び結果の信頼性並びに倫理的妥当性を確保することを主な目的として、研究者等の責務等(第2章)、研究の適正な実施等(第3章)、インフォームド・コンセント等(第4章)、研究により得られた結果等の取扱い(第5章)、研究の信頼性確保(第6章)、重篤な有害事象への対応(第7章)、倫理審査委員会(第8章)、個人情報等及び匿名加工情報(第9章)等に関して、研究者等、研究機関の長、倫理審査委員会その他の関係者の遵守事項について定めたものである。人を対象とする生命科学・医学系研究を実施する上で、これに携わる全ての関係者に対し、この指針が統一のルールとして適用される。
    • なお、研究者等、研究機関の長、倫理審査委員会その他の関係者は、この指針の規定のほか、必要に応じて、個人情報の保護に関して適用を受ける法令(個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号。以下「個人情報保護法」という。)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 58 号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 59号。以下「独立行政法人等個人情報保護法」という。)及び地方公共団体において制定される条例等)を遵守しなければならない。基本方針①から⑧は、研究に関する原則的事項を掲げたものである。

① 社会的及び学術的意義を有する研究を実施すること。

①の「社会的な意義を有する研究」とは、国民の健康の保持増進並びに患者の傷病からの回復及び生活の質の向上に広く貢献し、人類の健康及び福祉の発展に資する研究を指す。

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性を確保すること。

②の「研究分野の特性に応じた科学的合理性」とは、その分野において一般的に受け入れられた科学的原則に従い、科学的文献その他科学に関連する情報及び十分な実験に基づくことを指す。

③ 研究により得られる利益及び研究対象者への負担その他の不利益を比較考量すること。

利益

③の「利益」とは、研究から得られる成果や期待される恩恵を指す。研究が実施されることによって研究対象者に健康上の利益が期待される場合には、当該研究対象者個人に生じる具体的な恩恵となる。また、研究の成果は、社会的及び学術的な価値という一般的かつ有形・無形の利益となる。

負担

③の「負担」とは、研究の実施に伴って確定的に研究対象者に生じる好ましくない事象を指し、例えば、身体的又は精神的な苦痛、健康上の不利益(自覚されないものを含む。)、不快な状態等のように「侵襲」に関連するもののほか、研究が実施されるために研究対象者が費やす手間(労力及び時間)や経済的出費等も含まれる。

不利益

③の「不利益」とは、研究の実施により生じるか否かが不確定な危害の可能性も含まれる。その危害としては、身体的・精神的な危害のほか、研究が実施されたために被るおそれがある経済的・社会的な損害が考えられる。

比較考量

③の「比較考量」については、研究対象者への負担並びに予測されるリスクを最小化し、かつ、利益の最大化を可能な限り図ったうえで、負担・リスク及び利益それぞれの総合的評価の結果、想定される負担・リスクの総体と利益の総体を比較考慮し、負担・リスクの総体を利益の総体が上回るよう考慮すること。

④ 独立した公正な立場にある倫理審査委員会の審査を受けること。

⑤ 研究対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意を得ること。

⑤の「自由な意思に基づく同意」に関して、研究者等は、ヘルシンキ宣言第 27 を参考に、研究参加へのインフォームド・コンセントを求める場合、研究対象者等が研究者等に依存した関係にあるか又は同意を強要されているおそれがあるかについて特別な注意を払わなければならない。

また、自由な意思に基づく同意に資するため、研究者等は、国民の研究に対する理解向上に係る取組を実施するなど、将来の研究対象者となり得る一般の国民に対しても対話する機会を設け、国民及び社会の理解の推進を図っていくことが望ましい。

⑥ 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮をすること。

社会的に弱い立場にある者

⑥の「社会的に弱い立場にある者」とは、例えば、判断能力が十分でない者や、研究が実施されることに伴う利益又は実施されることを拒否した場合の不利益を予想することによって自発的な意思決定が不当に影響を受ける可能性がある者など、経済上又は医学上の理由等により不利な立場にある場合を指す。日米 EU 医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」という。)において合意されている医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)のガイドライン(ICH-GCP)では「Vulnerable Subjects」として示されており、研究の内容に応じて適宜参考としてよい。

特別な配慮

⑥の「特別な配慮」に関して、第 17 の2⑷の規定による倫理審査委員会における有識者からの意見聴取、第9の2⑴の規定によるインフォームド・アセントの取得等のほか、例えば、障害者を研究対象者とするときは、その障害に配慮した説明及び情報伝達方法(視覚障害者向けの点字翻訳、聴覚障害者向けの手話通訳等)によること、また、必要に応じて、研究対象者の自由意思の確保に配慮した対応(公正な立会人の同席など)を行うことが考えられる。また、研究対象者の選定に際して、「社会的に弱い立場にある者」と考えられる者を研究対象者とする必要性について十分に考慮することも「特別な配慮」に含まれる。

⑦ 研究に利用する個人情報等を適切に管理すること。

⑦の「研究に利用する個人情報等を適切に管理すること」とは、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するために、個人に関する情報を適切に管理することが考えられる。

⑧ 研究の質及び透明性を確保すること。

参照

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html

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