倫理指針

生命科学・医学系研究 倫理指針 第2 用語の定義 (4) から (9)

2021年5月12日

⑷ 人体から取得された試料

血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

⑸ 研究に用いられる情報

研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

研究に用いられる情報

⑸の「研究に用いられる情報」とは、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるものと規定しており、匿名化されているか否かによらない。

研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果

⑸の「研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果」には、診療録上に記録されるもの以外に、看護記録等に記載されるものも含まれる。

また、研究対象者から取得された情報のほか、例えば、人口動態調査、国民健康・栄養調査、感染症発生動向調査等で公表されている人の健康に関連する事象に関する情報も含まれる。

⑹ 試料・情報

人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。

⑺ 既存試料・情報

試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの

① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報

⑺の「既存試料・情報」について、「① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報」とは、当該研究の研究計画書が作成されるまでに既に研究対象者から直接取得された試料・情報が該当する。当該試料・情報を研究対象者から直接取得した経緯(どの機関で取得されたか、どのような目的で取得されたか等)は問わない。

② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの

また、「② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの」とは、当該研究の研究計画書の作成以降に研究対象者から直接取得される試料・情報のうち、当該研究に用いることを目的として新たに研究対象者から直接取得する試料・情報を除いたものが該当する。具体的には以下のものが含まれる。

  • 当該研究機関において当該研究に用いることとは異なる目的(医療の提供、当該研究以外の研究で用いること等)で研究対象者から直接取得される試料・情報
  • 当該研究機関以外において当該研究とは異なる目的で研究対象者から直接取得され、当該研究に用いるために当該研究機関が提供を受ける試料・情報

この指針にいう「既存試料・情報」には、研究計画書の作成以降に研究対象者から直接取得される試料・情報も含まれ得ることに留意すること。例えば、研究目的でない医療のため患者(研究対象者)から直接取得された試料(いわゆる残余検体)又は情報(診療記録に記録された診療情報や診療の過程で得られた検査データ等)は、患者(研究対象者)から直接取得した時期が研究計画書の作成以前であれば①に、研究計画書の作成以降であれば②に該当することになり、いずれにしてもこの指針で定める「既存試料・情報」に該当することになる。ただし、研究目的でない医療のため用いられる前に、残余部分相当という想定のもとに検体を分割して、その一部が研究に用いられる場合には、上乗せして研究目的で取得されたものとみなされる可能性があり、研究目的でない医療の際に上乗せして、あらかじめ研究に用いられることを目的として患者(研究対象者)から直接試料・情報を取得する場合には、「既存試料・情報」に該当しない。

同様に、研究計画書の作成以降に、

  • 労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則第 14 条第1項第7号の規定による「労働者の健康障害の原因の調査」
  • 学校保健安全法の施行規則第 11 条の規定による「保健調査」
  • 地方公共団体等における保健事業

等を通じて取得された情報や残余検体を研究に用いる場合も、「既存試料・情報」に該当する。ただし、研究目的でない業務・活動の際に上乗せして、あらかじめ研究に用いられることを目的として取得される場合には、「既存試料・情報」に該当しない。

<参考:この指針における「試料・情報」の分類>
既存試料・情報

当該研究とは異なる目的で研究対象者から直接取得された試料・情報

(例)

  • 残余検体、診療記録
  • 当該研究とは異なる研究の実施において研究対象者から直接取得された試料・情報
  • 既存試料・情報をゲノム解析して得られたゲノムデータ
上記以外の試料・情報(新たに取得する試料・情報)

当該研究に用いるため研究対象者から直接取得する試料・情報

(例)

  • 研究目的でない医療の際に上乗せして、あらかじめ研究に用いられることを目的として患者(研究対象者)から直接取得する試料・情報

⑻ 遺伝情報

試料・情報を用いて実施される研究の過程を通じて得られ、又は既に試料・情報に付随している子孫に受け継がれ得る情報で、個人の遺伝的特徴及び体質を示すものをいう。

⑼ 研究対象者

次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。

① 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)

② 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者

なお、研究対象者のほかに代諾者等を含む場合は、「研究対象者等」という。

参照

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html

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