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アウトカム研究とは

そもそもアウトカムとは

医療分野において、アウトカム(outcome)という言葉を耳にすることはここ数年で急激に増えました。とはいえ、対応する日本語が「結果」となっており、result とは全く違う概念なのに同じ日本語が当てられており、アウトカムとはいったい何なのか明確に説明することに難しさを覚えている人も少なくないでしょう。

明確に定義しているものはあまりありませんが、アウトカムは「人や集団の健康状態における変化。特に、医療行為に起因するもの。」と考えておけば大抵の場合意思疎通に困ることはないでしょう。

ハードアウトカムとソフトアウトカム

アウトカムには、ハードアウトカムとソフトアウトカムがあります。ハードエンドポイントとソフトエンドポイントと類似のものですね。

ハードアウトカム

代表的なものとしては、癌治療の治療成績を表す5年生存率でしょう。

他には、死亡率や脳梗塞の発症率などもハードアウトカムに分類されます。

ハードという言葉の語感のとおり「固い指標」というニュアンスが込められています。

結果がそう簡単には動かない(=固い)、頑固なアウトカムというところでしょうか。

ソフトアウトカム

一方のソフトアウトカムの代表は、後述するQuality of Life (QOL) 指標です。

Visual Analogue Scale (VAS) のように、研究参加者に対して痛みの程度を視覚的に示してもらい数値化するようなものは、ソフトアウトカムに分類されます。

ソフトという言葉の語感のとおり「やわらかい指標」という意味です。

ハードアウトカムに比べて、結果が比較的簡単に動いてしまう(=やわらかい)、ぶれやすいアウトカム、やや不安定なアウトカム、というところでしょうか。

アウトカム研究の定義

アウトカム研究は、いくつかの角度から表現してみると、次のようになります。

  1. 「人や集団の健康状態における変化。特に、医療行為に起因するもの。」に関する研究
  2. 医療者と患者がよりよい意思決定を行うための科学的根拠を提供するための研究
  3. 「人や集団の健康状態における変化」を測定する際には、患者自身の経験や価値観を考慮する研究

他にも、アウトカム研究を実施するにあたり無視できない要素として、患者の経済的バックグラウンドや経済的負担や、健康関連QOL指標とはまた別の「医療行為そのものに対する患者満足度」があります。

ハードアウトカムにない健康関連QOLの特徴

Quality of Life (QOL) とはその日本語訳として生活の質が当てられており、キューオーエルという言葉自体は医療分野以外でも広く使われています。

もともとは社会経済分野において、生活の質を問う研究が行われた過程で生まれた言葉とされます。

医療分野において、そのQOLという概念を導入して生まれたのが健康関連QOL(HR-QOL; Health Related - Quality of Life)です。

近年は Patient Centricity と表現されるようになりましたが、医療提供者側は良いと思っていても患者側は良いと思っていなかったり、あるいはその逆もあったりと、現状認識についてギャップが生じているのは以前から問題視されていました。

その溝を埋めるために現在様々な注目を集めているのが健康関連QOLです。

ソフトアウトカムの一種である健康関連QOLですが、ハードアウトカムにはない特徴がいくつかあります。

  1. 患者視点に立脚している指標である。
  2. 患者と健康人という境界線を引かず、連続的に捉え、定量化している。
  3. 患者自身が直接報告しデータ化される。そこに医師の解釈は挟まれない。
  4. ハードアウトカムのような白黒はっきりとした変数(死亡した/死亡していない、治癒した/治癒していない、入院した/入院していない)ではなく、連続量として測定される。
  5. 多次元的な要素を含む指標である。大きく分けて「主観的健康度」と「日常生活機能」から構成される。
    • 主観的健康度―心の健康、痛み、活力など
    • 日常生活機能―身体機能、日常役割機能、社会生活機能など

まとめ

アウトカムは「人や集団の健康状態における変化。特に、医療行為に起因するもの。」です。

ソフトアウトカムの一種であるQOLは、患者と健康人という境界線を引かず、連続的に捉え、定量化しているという意味でも、Personal Health Record (PHR) の浸透により、予防や未病、ヘルスプロモーション等との親和性の高い指標になります。

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