事務連絡
令和4年1月24日
令和4年1月28日一部改正
各都道府県
各保健所設置市
各特別区
衛生主管部(局)御中
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部
新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について
平素より、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力、 御協力を賜り、誠にありがとうございます。
B.1.1.529系統(オミクロン株) については、多くの地域で 急速な置き換わりが進んでおり、新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。これまで健康観察・診療を実施する医療機関の拡大など自宅療養の支援体制の強化を図りつつ、確保病床を即座に稼働できるようにするとともに、臨時の医療施設等の開設準備に迅速に着手するなど の取組をお願いしてきました。 今後、感染者が継続して増加した場合、これまで以上に多くの有症状者が外来を受診し、検査や受診に多くの時間を要する可能性 があります 。 現在の新型コロナウイルス感染症の外来診療の状況として、 いわゆる発熱外来について、相談の電話が繋がりにくい、予約が取れないといった 状況 が 一部生じている地域もあり、迅速に健康観察等に繋げるため、 患者自身 が検査キット等により陽性になった場合に、医師が常駐するフォローアップセンターで受け付け、健康観察を開始するといった 対応を講じる 方針の 自治体もあります。
こうした一部の自治体における検討・対応状況や、専門家の意見 を踏まえ、 今後感染がさらに継続して急拡大した場合に備え、 患者の症状 や重症化リスク等に応じて、適切な医療の提供が確保されるよう、 自治体 (都道府県又は保健所設置市 の判断で下記 の対応を行うこと が 可能 であることをお示し します。 あわせて、 管内市町村、関係機関等への周知をお願いいたします。
本事務連絡に係る対応について、Q&Aを追加しました 。
(主な改正箇所は太字下線)
記
Table of Contents
1.地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合
当該場合には、自治体 の判断で 、 以下 ①~③ の対応を行うこと が 可能 である こと。
①発熱等の症状がある場合でも、重症化リスクが低いと考えられる方(※1)については、医療機関の受診前に、 抗原定性 検査キット(※2)等で自ら検査していただいた上で受診することを呼びかけ ること。 この場合に、 医師の判断で、 受診時に再度の検査を行うことなく、本人が提示する検査結果を用いて確定診断を行って差し支えない。ただし、 本人が 希望する場合には検査前でも 医療機関 へ の 受診は可能である ことや 、症状が重い場合や急変時等 には 速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかける こと。また、 重症化リスクが高い方については、これまでどおり医療機関を受診していただき、適切な医療 が受けられるよう に すること。
②地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療・オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用すること。
③同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも、 臨床症状で診断すること (※3) 。こうした場合でも 、経口薬など治療薬の投与が必要となる 場合 等 は、 医師の判断で 検査を 行う こと が 可能 であること 。
※1 例えば、 40 歳未満で 危険 因子(基礎疾患・肥満等 (注 ))を持たない、ワクチン2回接種済みの方 を対象とすること が考えられる 。 臨床データ等を踏まえ、自治体において対象を変更することは差し支えない。
(注)「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 診療の手引き・第 6.1 版 」において 、 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすい のは 、 基礎疾患 等 のある方として 慢性閉塞性肺疾患( COPD )、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、 心 血管疾患、 肥満 のある方 、喫煙 、一部の妊娠後期の方 があげられている。
※2 抗原定性 検査キット を用いる場合、検査結果が 陰性であっても、症状が継続する場合等は 医療機関 を受診する ことや、 検査 結果 が陽性の場合 は 、受診時に医師に提示できるよう 、 スマートフォン等 を用いて 画像として保存 しておく 等検査結果が分かるものを手元に残しておく ことを併せて呼びかける とともに 、 ②の電話診療・ オンライン診療をできるだけ活用すること 。
抗原定性検査キットについては、有症状者が対象となりうることを踏まえ、下記を参考に自治体において対応をお願いする。 なお、事業者等への委託を行う場合は、行政検査として、配布に当たって生じる委託料を感染症予防事業費負担金の対象とすることが可能である。
・自治体等から有症状者に抗原定性検査キットを事前に配付する
・医療機関で対象者に検査キットのみを配布する・事業者等に委託して「抗原定性検査キットセンター」等 を設置して、当該センターで検査キットを配布する・自治体の庁舎等に検査キット配布窓口を設置して、検査キットを配布するこの他、従前より、本人が薬局から購入し 自宅に備え付けているものや 自治体等から配布されたものがあれば 、それを活用することが考えられる ところ、地域の状況を踏まえた対応をしていただきたい 。
※3 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成 10 年法律第 114 号。以下「感染症法」という。)第 12 条第1項に基づく医師の届出に当たっては、 疑似症患者として届け出ること。 また、疑似症患者の場合には 、入院を要すると認められる場合に限り 当該届出を行うこととされているが、本対応を行う場合には、入院以外の場合であっても、届出をお願いすること。 この場合、「 B.1.1.529 系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて 」(令和3年 11 月 30 日付け(令和4年1月 24 日一部改正) 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)Ⅴの取扱い従って届け出ること。
2.外来医療のひっ迫が想定される場合
地域において 外来医療のひっ迫が想定される場合には、 自治体 の判断で、 以下の対応を行うこと が 可能 である こと。
- 症状が軽く重症化リスクが低い と考えられる 方について、 自らが検査した結果を、行政が設置 し医師を配置する 健康フォローアップセンターに連絡し、 医療機関の受診を待つことなく 健康観察(※) を 受ける こと 。
※ITを活用した双方向による健康観察 を行うことを想定 症状が 悪化した場合、患者が入力した情報からその状況をシステム上で把握 )。さらに、 体調悪化時には必ず繋がる連絡先を伝えること。 また、この場合、同センター等の医師が感染症法第 12 条第1項に基づく届出を行うこととなる。
別添:本事務連絡に関するQ&A
Q1 1.①及び2.の重症化リスクはどのように判断するのか。
重症化リスクが低いと考えられる方への受診前の検査を呼びかける際に、重症化リスクについても併せて十分に周知を行うなど、自治体において、適切に対応いただくようお願いします。その上で、最終的には、診断を行う医師により重症化リスクの確認が行われることとなります。
Q2 自己検査で陽性となった者が医療機関を受診する際にはどうしたらよいか。
自治体において、できるだけ自家用車の利用や公共機関を避けて受診するよう呼びかけをお願いします。また、1.②にあるとおり、地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療・オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用することも可能ですので、地域の実情に応じて適切に対応をお願いします。
Q3 1 .③ の臨床症状による診断は、重症化リスクが高い人も対象となるのか。
自治体の判断によりますが、基本的には症状の重い方、軽い人、重症化リスクが高い方、低い方いずれも対象になります。
Q4 1.③ の疑似症患者に ついて、濃厚接触者の特定を行う必要があるか。
疑似症患者として、積極的疫学調査を行うことが考えられますが、地域の感染状況に応じて積極的疫学調査の重点化いただくことは差し支えありません。
Q5 1.③の「同居家族などの感染者の濃厚接触者」とはどのような濃厚接触者か 。
オミクロン株の家庭内の二次感染率は、国内外の知見により 3 4 割以上と非常に高くなっていることが明らかとなっています。そのような感染している可能性が非常に高い濃厚接触者として、家族等の同居人が感染者となった場合やクラスターが発生した施設の従業員で明らかな 曝露 歴がある場合などを想定しています。なお、あくまでも医師の裁量として検査を実施しなくても十分に新型コロナウイルス感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものと言える場合を想定しています。
Q6 1.③の「同居家族などの感染者の濃厚接触者」について、経口薬など治療薬を投与する場合などにおいても検査を実施しなくてよいのか。
経口薬など治療薬を投与する場合や他疾患の可能性も相応に高く鑑別が必要な場合などにおいて、診断を確定する(※)ために検査を実施することは当然に必要となります。
※なお、 COVID 19 に対する薬物治療の考え方第 12 版(一般社団法人日本感染症学会 COVID 19 治療薬タスクフォース、 2022 年 1 月 21 日)によると、以下とされている。
「原則として、PCR 、抗原検査などにより C OVID 19 の確定診断がついていない患者は薬物治療の適応とはならない(濃厚接触者の治療適応は条件に適合する症例に限り、カシリビマブ/イムデビマブでのみ承認されている)。」
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_220125_2.pdf
Q7 1.③の場合、自宅等での待機は、濃厚接触者として求めることになるのか。それとも患者として求めることになるのか。また、その際の必要経費の補助はどうなるか。
1.③のとおり診断された者は、新型コロナウイルス感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものであるため、感染症法第8条第2項に基づき、新型コロナウイルス感染症の患者とみなして感染症法の規定を適用することになります。これにより、感染症法第 44 条の3第2項に基づき、自宅等での待機を求めることとなります。 その際の経費については、これまでの自宅療養者と同様の扱いとなります。
なお、この場合であっても、発生届においては、「患者(確定例)」ではなく、「疑似症患者」として届け出るようお願いします。
Q8 1.③で入院を要しないとされた疑似症患者は、感染症法第 18 条の就業制限の対象となるのか。
感染症法第18 条の就業制限は、第 12 条第1項による医師の届出があることを前提としているところ、1. ③ で入院を要しないとされた疑似症患者は、同項にかかわらず届出をお願いするものであるため、感染症法第 18 条の就業制限の対象とはなりません。 なお、この場合であっても、感染症法第 44 条の3第2項に基づき、自宅等での待機を求めることとなります。
Q9 1.③の疑似症患者は、 自治体 が公表している新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めるの か 。
1.③の疑似症患者は、自治体の公表において、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めていただくようお願いします。 その際、新規陽性者数の内数として、1.③の疑似症患者の数を明示する 形で公表するようにご留意ください。
Q10 健康フォローアップセンターに連絡とは、電話やビデオ通話等を想定しているのか。
IT
を活用して遠隔で双方向による意思疎通を想定していますが、地域の実情に応じて、適切に対応してください。
Q11 2.において、検査結果の健康フォローアップセンターへの連絡は、画像で確認する必要があるか。
検査結果は、画像で確認することが望ましいですが、個別の事情に応じて、適切に対応をお願いいたします。
Q1 2. 2.において、有症状で、患者による検査結果が陽性であることが確認できている場合、発生届は「患者(確定例)」としてよいか。
貴見のとおりです。なお、有症状であることが確認できない場合、発生届は「無症状病原体保有者」としてください。
参照
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