情報銀行の認定について
個人情報を含むパーソナルデータの適切な利活用を推進する観点から、政府では、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の下で開催された「データ流通環境整備検討会」において、個人の関与の下でデータの流通・活用を進める仕組みである「情報銀行」等について議論が行われ、2017年(平成29年)2月の「AI、IoT時代におけるデータ活用WG 中間とりまとめ」において、官民連携して情報銀行の社会実装に向けた積極的な取組を推進する必要性が示された。
また、同年7月の総務省情報通信審議会における第四次中間答申では、情報銀行として「情報信託機能」を担う者について、一定の要件を満たした者を社会的に認知するため、民間の団体等によるルールの下、任意の認定制度が実施されることが望ましいとされた。
こうした議論等を踏まえ、総務省及び経済産業省は、同年11月より、合同で「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」を開催し、情報信託機能を担う者に求められる要件や認定の運用スキーム等認定制度の在り方について検討を行い、2018年(平成30年)6月に、民間団体等による情報銀行の任意の認定の仕組みに関する「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」(以下、「指針」という。)を取りまとめた。指針は、情報信託機能を提供する「情報銀行」について、民間の団体等による任意の認定の仕組みを有効に機能させるためのもので、消費者個人を起点としたデータの流通や消費者からの信頼性確保に主眼を置いて作成された。指針は(1)認定基準、(2)モデル約款の記載事項、(3)認定スキームから構成されており、これに基づき、認定団体である「一般社団法人日本IT団体連盟」が、2018年(平成30年)6月に第一弾となる「情報銀行」認定を決定した。2019年(平成31年)1月より同検討会を再開し、実証や各企業における事業の検討等による事業の具体化や指針に基づく認定の開始等、指針公表後の情報銀行をめぐる状況の変化を踏まえ、情報銀行の認定スキームの在り方について、情報銀行に関する基本的な考え方やデータ倫理審査会の役割等の論点について、指針の見直しを含めた検討を行い、同年10月に「情報信託機能の認定に係る指針ver2.0」を取りまとめた。
2020年(令和元年)4月現在、認定の受付が開始されてから計5社に対し認定が決定され、1のサービスが既に提供を開始している。
情報信託機能活用促進事業について
情報信託機能の社会実装に向けては、具体的なユースケースの検証を通じた運用上の課題等の解決や優良なモデルケースの醸成が必要であることから、実証事業を通じて情報信託機能を活用したサービス等の提供にあたっての課題の抽出、解決策の検討及びモデルケースの創出を行うことを目的とする「情報信託機能活用促進事業」を2018年度(平成30年度)と2019年度(令和元年度)に実施した。事業を通じて、地方公共団体、民間企業、大学、NPO法人等からなるコンソーシアム10者が情報信託機能を核とするサービスの実証を行い、総務省では、2018年度実施の当該事業において顕在化した課題等を踏まえて指針の見直しを行った。
参照
情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会:
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_trust_function/index.html
情報信託機能の認定に係る指針 ver1.0(案)に対する意見募集の結果:
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000250.html
「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会取りまとめ(案)」に対する意見募集の結果、取りまとめ及び「情報信託機能の認定に係る指針ver2.0」の公表:
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000290.html