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医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等(平成29年9月29日)

広告が消費者に与える効果

1 広告が消費者に与える効果は、その表現、内容だけでなく、利用される媒体の性質、広告表現全体の構成や説明の文脈、更には世相によっても異なる。従って、ある広告が違反広告に当たるか否かの評価については、当解説及び留意事項等に記載されている事例や文面のみから形式的に判断されるべきではなく、各種の要素を総合的に考慮して判断する必要があることに留意しなければならない。

留意すべき事項

2 医薬品等適正広告基準(以下、「本基準」という。)の運用にあたって留意すべき事項は次のとおりである。

(1)本基準のうち、「第4」の「1」から「3」までは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145号。以下「法」という。)第 66 条第1項の解釈について示したものである。また「第4」の「4」以降については、医薬品等の本質に鑑み、その広告の適正を図るため、医薬品等について、消費者の使用を誤らせる、乱用を助長させる、又は信用を損なうことがないよう遵守すべき事項を示したものである。

(2)本基準の運用にあたっては、医薬関係者を対象とする広告と一般人を対象とする広告、医薬品広告、医療機器広告、化粧品広告等、それぞれの広告の性格の違いを勘案し、画一的な取扱いを避けるよう配慮する。
(注)広告の効果は広告を仲立ちとする広告主と消費者の相対的関係によって変化するものであるため、広告主は広告する商品の特性、広告の受け手のニーズを考慮して広告を制作する必要がある。本項は広告基準のあてはめにあたってもこの点に留意すべきことを示したものである。

(3)本基準「第3(広告を行う者の責務)」は、医薬品等の広告を行う者が一般的に留意すべき事項を示したものである。

<医薬品等適正広告基準>

第1(目的)

この基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。) の広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正を図ることを目的とする。

第2(対象となる広告)

この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。

本項は、広告に利用される媒体の多様化が進んでいることに鑑み、本基準が媒体を問わず適用されることを明示したものである。

第3(広告を行う者の責務)

  1. 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならない。
  2. 医薬品等の広告を行う者は、医薬品等の本質に鑑み、医薬品等の品位を損なう又は信用を傷つけるおそれのある広告は行ってはならない。

(1)本項の1は、広告対象となった医薬品等を使用者が適正に使用することができるよう、広告主、広告媒体等、医薬品等の広告業務に従事する者が、広告の制作又は新聞、雑誌等への掲載基準による審査にあたって、それぞれの立場から、正確な情報の伝達に努めることを求めたものである。

(2)医薬品等は、その特殊性に鑑みて、品位のある広告が要求される。また、ふざけたもの、嫌悪感を与えるもの、性的表現等で医薬品等の信用を損なうような広告は行わないこと。

(3)アニメーションを用いる場合、あまりにも誇張されたもの、品位に欠けるもの、視聴者に不快感、嫌悪感などを与えるような広告は行わないこと。

(4)語呂合せは、本項に抵触する場合が多いため注意すること。

第4(基準)

1 名称関係

  1. 承認又は認証を要する医薬品等の名称についての表現の範囲
    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (昭和 35 年法律第 145 号。以下「法」という。) 第 14 条又は第 23 条の2の5若しくは第 23 条の 25 の規定に基づく承認並びに法第 23 条の 2 の23 の規定に基づく認証(以下「承認等」という。)を受けた名称又は一般的名称以外の名称を、別に定める場合を除き使用してはならない。
    ただし、一般用医薬品及び医薬部外品においては、共通のブランド製品の共通部分のみを用いることは差し支えない。
  2. 承認等を要しない医薬品等の名称についての表現の範囲
    承認等を要しない医薬品等については、日本薬局方に定められた名称、法第 14 条の9若しくは第 23 条の2の 12 の規定に基づく届出を行った一般的名称又は届け出た販売名以外の名称を、別に定める場合を除き使用してはならない。

なお、販売名はその医薬品等の製造方法、効能効果及び安全性について事実に反する認識を得させるおそれのあるものであってはならない。

<共通>
(1)名称の広告について

本項は、医薬品等の名称について広告する場合、他のものと同一性を誤認させないようにその表現の範囲を示したものである。

(2)名称の略称について

広告の前後の関係等から総合的にみて医薬品等の同一性を誤認させるおそれがない場合において、ブランド名等の販売名の共通部分のみを用いる場合など名称について略称を使用する場合は、必ず販売名を付記又は付言することにより明示しなければならない。

なお、名称の表現については明確に行うものとし、名称と判断できないような小さな字句等で表現することは認められない。

(3)名称の仮名又はふりがな等について

「漢字」の名称で承認等を受けた医薬品等については、その名称の一部又は全部を「仮名」、「アルファベット」等で置き換えること又はこの逆の行為を行ってはならない。ただし、医薬品等の同一性を誤認させるおそれがない範囲で、「漢字」に「ふりがな」をふること及びアルファベットを併記することは差し支えない。

(4)愛称について
  • ① 医薬品及び再生医療等製品については、愛称を使用してはならない。また、医薬部外品、化粧品及び医療機器については、広告の前後の関係等から総合的にみて、同一性を誤認させるおそれがない場合において愛称を使用することは差し支えない。ただし、その場合、販売名に使用することができないものを愛称として使用することは認められない。
  • ② 愛称を使用する製品について、愛称を広告に用いる場合は、同広告中に承認等を受けた名称又は一般的名称若しくは届出を行った一般的名称又は届け出た販売名を付記又は付言することにより明示しなければならない。(化粧品を除く。)
<医療機器>

(1)1品目として承認等を受けた又は届け出た医療機器の名称について医療機器にあって、形状、構造又は原理の異なるものについて、1品目として承認等を受けた又は届け出たものの名称については、承認書等に記載された個々の型式名又は種類名を名称として使用することは差し支えないものとする。

2 製造方法関係

医薬品等の製造方法について実際の製造方法と異なる表現又はその優秀性について事実に反する認識を得させるおそれのある表現をしてはならない。

<共通>
(1)製造方法等の優秀性について

本項は、製造方法について広告する場合の表現の範囲を示したものである。製造方法について「最高の技術」、「最先端の製造方法」等最大級の表現又は「近代科学の枠を集めた製造方法」、「理想的な製造方法」、「家伝の秘法により作られた・・・」等最大級の表現に類する表現は、その優秀性について事実に反して誇大に誤認させるおそれがあるため認められない。

なお、製造部門、品質管理部門、研究部門等を広告の題材として使用することは、事実であり、製造方法等の優秀性や他社・他製品との比較において誤認を与えない場合に限り差し支えない。この場合、本基準第4の9「他社の製品の誹謗広告の制限」にも抵触する恐れがあることに留意すること。

(2)特許について

特許に関する虚偽又は誇大な広告を行った場合は本項に抵触する。なお、特許が事実である場合は、本基準第4の 10「医薬関係者等の推せん」により取扱う。

(3)研究について

各製造販売業者等が、その製品にかかわる研究内容を述べる場合は、事実を正確に、強調せずに表現すること。

3 効能効果、性能及び安全性関係

(1)承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲

承認等を要する医薬品等の効能効果又は性能(以下「効能効果等」という。) についての表現は、明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない。

本基準第4の3「効能効果、性能及び安全性関係」の各項は、医薬品等の効能効果等について広告する場合の表現の範囲を示したものである。

<共通>
(1)承認等された効能効果等以外の効能効果等について

医薬品等が承認等されている効能効果等以外の効能効果等を実際に有しており、追加申請すればその効能効果等が実際に承認等されうる場合であっても、その未承認等の効能効果等を広告してはならない。

(2)未承認等の効能効果等の表現について

未承認等の効能効果等の表現については、薬理学的に当該医薬品等の作用と関係あるものは本項に違反し、薬理学的に当該医薬品等の作用とは認められないものは本基準第4の3(8)「本来の効能効果等と認められない表現の禁止」に違反する。

(3)効能効果等の副次的効果の表現について

効能効果等の二次的、三次的効果等の表現は、本項に抵触するため行わないこと。
また、本基準第4の3(8)「本来の効能効果等と認められない表現の禁止」も参照すること。

(4)効能効果等のしばりの表現について

①効能効果等のしばりの表現について

承認された効能効果等に一定の条件、いわゆるしばりの表現が付されている医薬品等の広告を行う際は、②の場合を除きしばり表現を省略することなく正確に付記又は付言すること。
この場合、しばり部分とその他の部分について、同等の広告効果が期待できるような方法により広告を行うこと。
なお、紙面が狭い場合でも同様とする。

②効能効果等のしばり表現の省略について

テレビ、ラジオにおける効能効果等のしばり表現は、当面、漢方製剤に限り省略できるものとするが、その場合は必ず「この○○○は、体質、症状に合わせてお飲みください。」等の注意喚起の旨を付記又は付言しなければならない。

(5)同系統の数種の医薬品等を単一の広告文で広告する場合について

同系統の数種の医薬品等を単一の広告文で広告する場合の効能効果の表現は、それらの医薬品等に共通する効能効果等でなければならない。

(6)医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の同一紙面での広告について

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を同一紙面又はテレビ等で同時に広告を行う場合には、相互に相乗効果を得るような誤解を招く広告又は科学的根拠に基づかず併用を促すような広告(医薬品及び指定医薬部外品に限る。)は行わないこと。

なお、医薬部外品については、「医薬部外品」である旨(新指定及び新範囲医薬部外品の場合は「指定医薬部外品」の旨)を明記すること。

(7)個々の成分の効能効果等について

数種の成分からなる医薬品等について、その個々の成分についての効能効果の説明を行う場合及び医薬品等の作用機序を説明することは、医学、薬学上認められており、かつ、その医薬品等の承認等されている効能効果等の範囲をこえない場合に限り差し支えない。

ただし、漢方薬又は漢方製剤の効果は、配合された生薬の薬効とは直接関係がないため、個々の成分の薬理作用を説明することは認められない。

(8)複数の効能効果を有する医薬品等の広告について

複数の効能効果を有する医薬品等を広告する場合、そのうちから、特定の一つの効能効果等を広告することは差し支えない。

①「○○剤」という表現について

「○○剤」という表現は、「解熱鎮痛消炎剤」のように薬効分類として認められており、しかも分類が適当である場合は認められる。従って、例えば「食欲増進剤」のような表現は認められない。

なお、その表現が効能効果、作用等から十分に実証できる場合は、具体的事例ごとに検討する。

②「○○専門薬」等の表現について

特定の疾患を対象としたもの、例えば「胃腸病の専門薬」、「皮膚病の専門薬」などの表現は、本項又は本基準第4の3(4)「用法用量についての表現の範囲」に抵触するおそれがあり、かつ、医薬品等の広告の表現としては好ましくないため、承認を受けた名称である場合以外は認められない。

<医薬部外品>
(1)医薬部外品の効能効果について

「○○を防ぐ」という効能効果で承認を受けているものにあっては、単に「○○に」等の表現は認められない。

ただし、承認された効能効果が明瞭に別記されていればこの限りでない。

(2)薬用化粧品及び薬用歯みがきでの化粧品の効能効果の表現について

化粧品的医薬部外品(いわゆる薬用化粧品。以下同じ。)及び薬用歯みがきの効能効果は、品目ごとに成分分量を審査のうえ承認されたものであるから、承認の範囲内で広告することが原則であるが、次の事項に配慮すれば、その広告表現中に本基準第4の3(2)に係る当解説及び留意事項等の<化粧品>(2)の表に掲げられた効能表現のうちそれぞれの類別に対応する該当部分を本基準第4の3(2)に係る当解説及び留意事項等の<化粧品>(1)に準じ、使用することができる。

①医薬部外品本来の目的について

医薬部外品本来の目的が隠ぺいされて化粧品であるかのような誤解を与えないこと。

②化粧品的な使用方法等について

化粧品的な使用目的、用法で使用された場合に保健衛生上問題となるおそれのあるもの(殺菌剤配合のシャンプー又は薬用石けんなど)ではないこと。

③効能効果について

当該効能効果が医薬部外品の効能効果として承認を受けたものであるかのような誤認を与えないこと。

(3)医薬部外品の効能効果の範囲について

医薬部外品の範囲については、昭和 36 年2月8日薬発第 44 号薬務局長通知、昭和 36 年7月 17 日薬発第 287 号薬務局長通知、昭和 36 年 11 月 18日薬発第 470 号薬務局長通知、昭和 37 年9月6日薬発第 464 号薬務局長通知、昭和 55 年 10 月9日薬発第 1341 号薬務局長通知、平成 11 年3月 12日医薬発第 280 号医薬安全局長通知及び平成 16 年7月 16 日薬食発第0716002 号医薬食品局長通知により示されているが、効能効果の範囲については概ね次表のとおりであるので参考とされたい。

医薬部外品の効能・効果の範囲

医薬部外品の種類 使用目的の範囲と原則的な剤型 効能又は効果の範囲
使用目的 主な剤型 効能又は効果
1.口中清涼剤 吐き気その他の不快感の防止を目的とする内用剤である。 丸剤。板状の剤型、トローチ剤、液剤。 口臭、気分不快。
2.腋臭防止剤 体臭の防止を目的とする外用剤である。 液剤、軟膏剤、エアゾール剤、散剤、チック様のもの。 わきが(腋臭)、皮膚汗臭、制汗。
3.てんか粉類 あせも、ただれ等の防止を目的とする外用剤である。 外用散布剤。 あせも、おしめ(おむつ)かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ。
4.育毛剤(養毛剤) 脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である。 液剤、エアゾール剤。 育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛。
5.除毛剤 除毛を目的とする外用剤である。 軟膏剤、エアゾール剤。 除毛。
6.染毛剤(脱色剤、脱染剤) 毛髪の染色、脱色又は脱染を目的とする外用剤である。毛髪を単に物理的に染毛するものは医薬部外品には該当しない。 粉末状、打型状、エアゾール、液状又はクリーム状等。 染毛、脱色、脱染。
7.パーマネント・ウェーブ用剤 毛髪のウェーブ等を目的とする外用剤である。 液状、ねり状、クリーム状、エアゾール、粉末状、打型状の剤型。 毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛又はウェーブ毛髪をのばし、保つ。
(4)2類別にわたる効能効果の表現について

薬用シャンプーに薬用リンスの効能効果を表現するなど2類別にわたる薬用化粧品の効能効果の表現については、それぞれの薬用化粧品の効能効果の承認を受けていなければ表現できない。

なお、薬用化粧品の種類及び効能効果については、前記(3)を参照すること。

(2)承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲

承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の効能効果等の表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。

<共通>

効能効果等の表現が「医学、薬学上認められている範囲内」であるか否かの判断については、国内外の文献および専門家の意見などを参考にすること。

<医薬品>
(1)承認を要しない医薬品の効能効果等について

承認を要しない日本薬局方収載医薬品の効能効果、用法用量については、「局方医薬品の承認申請の手引き」(日本公定書協会編)などに記載されている「効能又は効果」及び「用法及び用量」を参考にすること。

また、「承認を要せず主として製剤補助剤として用いられる局方医薬品の「効能又は効果」及び「用法及び用量」の記載方法について」(昭和 61年6月 25 日局方薬品協議会)についても併せて参考にすること。

また、承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、平成 23 年7月 21 日薬食発第 0721 第1号医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲をこえてはならない。

<化粧品>
(1)化粧品の効能効果について

化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記(2)の表に掲げる効能効果の範囲とする。

なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。

(2)化粧品の効能効果の表現について

承認を要しない化粧品の効能効果の範囲は、昭和 36 年2月8日薬発第44 号薬務局長通知の別表第1(平成 23 年7月 21 日薬食発 0721 第1号医薬食品局長通知により改正)に記載された範囲とする。

(3)化粧品に定められた効能効果以外の効能効果について

前記(2)の表に掲げる効能効果以外に「化粧くずれを防ぐ」、「小じわを目立たなく見せる」、「みずみずしい肌に見せる」等のメーキャップ効果及び「清涼感を与える」、「爽快にする」等の使用感を表示して広告することは、事実に反しない限り認められる。

なお、基礎化粧品等においても、メーキャップ効果及び使用感について事実であれば表現できる。

(4)効能効果のしばりの表現について

しばり表現のある効能効果は、しばり表現を省略することなく正確に付記又は付言すること。この場合、しばり部分とその他の部分について、同等の広告効果が期待できるような方法により広告を行うこと。

(5)薬理作用に基づく効能効果の表現について

化粧品は、本来そのほとんどが薬理作用によってその効能効果が認められたものではないため、上記(2)に記載する効能効果以外の薬理作用による効能効果の表現はできない。

(3)医薬品等の成分等及び医療機器の原材料等についての表現の範囲

医薬品等の成分及びその分量又は本質等並びに医療機器の原材料、形状、構造及び原理について、承認書等への記載の有無にかかわらず、虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。

<共通>
(1)成分等について

医薬品等の成分及びその分量又は本質等並びに医療機器の原材料、形状、構造及び原理について、例えば医薬品の場合にはその有効成分が男性ホルモンであるものを両性ホルモンであるとする、単味であるものを総合、複合等とする、又は「高貴薬配合」、「デラックス処方」等とするような表現は認められない。

(2)特定成分の未配合表現について

特定の薬物(カフェイン、ナトリウム、ステロイド、抗ヒスタミン等)を配合していない旨の広告は、他社誹謗又は安全性の強調とならない限り、その理由を併記した上で行うことは差し支えない。

なお、付随して2次的効果を訴えないこと。

(3)配合成分の表現について

①「各種・・・」、「数種・・・」等の表現について

配合成分の表現の仕方で「各種ビタミンを配合した・・・」、「数種のアミノ酸配合・・・」のように「各種・・・」、「数種・・・」という表現は不正確で、かつ誤認させ易いので、配合されている成分名は具体的に全部が列挙されている場合の他は使用しないこと。

②配合成分数の表現について

配合成分の表現の仕方で「10 種のビタミンを配合・・・」、「15 種類の生薬を配合・・・」のように配合成分数をあげることは事実である限りは差し支えないが、強調表現とならないように注意すること。

③特定成分の表現について

配合成分の表現の仕方で「ゴオウ配合・・・」のように配合成分中の特定成分を取り出して表現する場合は、この表現成分が有効成分であり、しかも承認された効能効果等と関連がある場合に限ること。

ただし、一般用医薬品においては、添加物成分に添加物である旨及び承認書に記載されている配合目的を明記することは差し支えない。なお、有効成分であるかのような表現はしないこと。

(4)原産国の表現について

製品を輸入して販売する場合又はバルクを輸入して国内で小分け製造する場合には、「スイス生まれの○○」、「ドイツ生薬○○」又は「イギリス製」等と表現できるが、原料を輸入して国内で製造した場合には、これらの表現では原料の輸入による国内製造を製品の輸入と誤認するおそれがあるため、「スイスから原料を輸入し、製造した」等正確に記載すること。

なお,原産国の表示の方法については、「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則」(平成 27 年7月 21 日承認 公取委 572 号、消表対第 966号)を参考にすること。

(5)安全性関係について

本項は、「天然成分を使用しているので副作用がない」、「誤操作の心配のない安全設計」等のような表現を認めない趣旨である。

(6)配合成分の略記号表示について

配合成分をアルファベット等の略号・記号等で表現した場合に、何という成分なのか不明であり、あたかも優れた成分又は新しい成分が配合されているかのような誤解を生じるおそれがあるため、本来の成分名が明確に説明してある場合以外は行わないこと。

<医薬品>
(1)一般用医薬品における「漢方処方」等の表現について

一般用医薬品で、「漢方処方」、「漢方製剤」等と表現できる範囲は、一般用漢方製剤承認基準に定められているもの、医療用医薬品の漢方製剤と同一処方であるもの及び承認を受けた販売名に漢方の名称が付されているものとする。

なお、製剤自体が漢方製剤でないものについて、例えば『漢方処方の「○○○エキス」に西洋薬を配合』のようにその処方の一部が漢方処方である旨を示すことは、当該配合剤が漢方製剤である又は漢方製剤よりも優秀であるかの印象を与え、安全性等について誤解を招くこととなるため認められない。

(2)一般用医薬品における「生薬配合」又は「生薬製剤」の表現について
  • ① 「生薬配合」の表現については、有効成分の一部に生薬が配合されており、しかも承認された効能効果等と関連がある場合に限り使用して差し支えない。
  • ② 「生薬製剤」の表現については、有効成分の全てが生薬のみから構成されている場合に限り使用して差し支えない。
<医薬部外品・化粧品>
(1)指定成分・香料の未含有表現について

化粧品及び薬用化粧品において、「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない」等の表現は不正確であり、また、それらの成分を含有する製品の誹謗につながるおそれもあるので、「指定成分、香料を含有していない」旨の広告にとどめ、「100%無添加」、「100%ピュア」等のごとく必要以上に強調しないこと。

<医薬部外品>
(1)浴用剤における「生薬配合」又は「生薬製剤」の表現について
  • ① 「生薬配合」の表現については、浴用剤の有効成分の一部に生薬が配合されており、しかも承認された効能効果等と関連がある場合であって、かつ、「医薬部外品」の文字が付記されていれば表現して差し支えない。
  • ② 「生薬製剤」の表現については、浴用剤の有効成分の全てが生薬のみから構成されている場合であって、かつ、「医薬部外品」の文字が付記されていれば表現して差し支えない。
<化粧品>
(1)特記成分について

承認を要しない化粧品において特定成分を表示することは、あたかもその成分が有効成分であるかのような誤解を生じるため、原則として認められない。ただし、特定成分に配合目的を併記するなど誤解を与えないよう表示を行う場合は差し支えない。

なお、特定成分を表現することは、全てが「特記表示」に該当することとなるため注意すること。

(2)化粧品の成分の表現について

化粧品の配合成分の表現に際しては、当該成分が有効成分であるかの誤解を与えないようにすること。

また、薬理効果を明示又は暗示する成分が配合されている旨の広告は行わないこと。

(4)用法用量についての表現の範囲

医薬品等の用法用量について、承認等を要する医薬品等にあっては承認等を受けた範囲を、承認等を要しない医薬品等にあっては医学、薬学上認められている範囲をこえた表現、不正確な表現等を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。

<共通>
(1)併用に関する表現について

併用に関する表現は認められない。ただし、承認等により併用を認められた医薬品等及び化粧品(「化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成 28 年3月 30 日付厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡)で定める範囲)を除く。

なお、化粧品などを順次使用することの表現は差し支えない。

(2)安全性に関する表現について

「いくら飲んでも副作用がない」、「使用法を問わず安全である」等のような表現は認められない。

(3)複数の用法用量がある場合の表現について

複数の用法用量がある場合において、1つの用法用量のみ又は特定の用法用量のみを強調することは、効能効果等について事実に反する認識を得させるおそれがあるため認められない。

<医薬品>
(1)承認を要しない医薬品の用法用量について

承認を要しない日本薬局方収載医薬品の用法用量については、本基準第4の3(2)「承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」を参照のこと。

(2)「○○専門薬」等の表現について

特定の年齢層、性別などを対象にしたもの、例えば「小児専門薬」、「婦人専門薬」などの表現は、本基準第4の3(1)「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」に抵触するおそれがあり、かつ、医薬品広告の表現としては好ましくないため、承認を受けた名称である場合以外は使用しないこと。

ただし、「○○専門薬」の表現ではなく、「小児用」、「婦人用」等の表現については、承認上の効能効果等又は用法用量から判断して特定の年齢層、性別等が対象であると推定できる医薬品等の場合は差し支えない。

なお、「小児用」等と表現できる事例は、小児の用法からなる「かぜ薬」などである。

(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。

<共通>
(1)効能効果等又は安全性の保証表現について

例えば胃腸薬の広告で胃弱、胃酸過多等の適応症をあげ、それが「根治」、「全快する」等又は「安全性は確認済み」、「副作用の心配はない」等の表現を用い、疾病の要因、患者の性別、年齢等の如何を問わず効能効果が確実であること又は安全であることを保証するような表現は認められない。

なお、効能効果等又は安全性を保証する表現については、明示的、暗示的を問わず認められない。

(2)歴史的な表現について

特定の医薬品に関係なく、その企業の歴史の事実として単に「創業○○年」等と広告することは差し支えない。

また、「△△(商品名)販売○○周年」など単に当該医薬品等が製造販売された期間の事実のみを表現し、効能効果等又は安全性を保証するような表現がなされていなければ差し支えない。

ただし、「△△(商品名)は○○年の歴史を持っているから良く効くのです。」等その企業又は医薬品等の歴史に関連させ、安全性、優秀性の保証となる表現又は他社に対する優越性の保証となる表現をすることは、本項だけでなく本基準第4の3(1)「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」又は本基準第4の3(2)「承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」に抵触するおそれがあるため注意すること。

(3)臨床データ等の例示について

一般向けの広告にあっては、臨床データや実験例等を例示することは消費者に対して説明不足となり、かえって効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため原則として行わないこと。

(4)図面、写真等について

使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。

(5)使用体験談等について

愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以下の場合を除き行ってはならない。

なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意すること。

  • ①目薬、外皮用剤及び化粧品等の広告で使用感を説明する場合ただし、使用感のみを特に強調する広告は、消費者に当該製品の使用目的を誤らせるおそれがあるため行わないこと。
  • ②タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合
(6)身体への浸透シーン等について

医薬品等が身体に浸透する場面等をアニメーション、模型などを用いて表現する場合は、特に効能効果等又は安全性に関する虚偽又は誇大な表現とならないよう十分に注意すること。

また、アニメーションや写真を用いて作用機序を単に説明する場合であっても、効能効果又は安全性の保証的表現にならないよう注意すること。

(7)疾病部分の炎症等が消える場面の表現について

テレビ広告、ウェブサイト等で用いる、画面中の模式図、アニメーション等については、効能効果の保証的表現とならないよう留意すること。

(8)副作用等の表現について

「副作用が少ない」、「比較的安心して・・・」、「刺激が少ない」等の表現は安全性について誤認させるおそれがあるため、使用しないこと。

ただし、低刺激性等が立証されており安全性を強調しない場合及び「眠くなりにくい」と表現することは、その製剤として科学的根拠があり安全性の保証につながらない場合に限り認められるが、本基準第4の9「他社の製品の誹謗広告の制限」に抵触しないように注意すること。

(9)「すぐれたききめ」、「よくききます」の表現について

これらの表現を、キャッチフレーズ等の強調表現として使用することは認められない。強調表現とは、概ね次のような表現を行った場合をいう。

  • ①キャッチフレーズ(人の注意を引くように工夫した印象的な宣伝文句)の場合
    例:よくきく○○○
    ○○○はよくきく
  • ②文字の場合は、他の文字と比較して大きい、色が濃(淡)い、色が異なる、文字の上に点を打つ等の場合
  • ③音声の場合は、大きく発音する、一音ずつ切って発音する、「よーく」と強く伸ばす等の場合
  • ④文字、音声いずれの場合でも「すぐれた」と「よくききます」を重ねて表現した場合
(10)「世界○○ヵ国で使用されている」旨の表現について

「世界○○ヵ国で使用されている」旨の表現については、効能効果等が確実であること又は安全であることを保証するような表現は認められないが、単に事実のみを表現する場合であれば差し支えない。

<医療機器>
(1)安全性の表現について

家庭用電気治療器等に「安全です、安心してお使いください。」、「安全性が高い」等と漠然と記載したものは、本項に抵触するため注意すること。

(6)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない。

<共通>
(1)最大級の表現について

「最高のききめ」、「無類のききめ」、「肝臓薬の王様」、「胃腸薬のエース」、「世界一を誇る○○KKの○○」、「売上げNo.1(注)」等の表現は認められない。

(注)新指定医薬部外品以外の医薬部外品及び化粧品を除く。

(2)新発売等の表現について

「新発売」、「新しい」等の表現は、製品発売後 12 ヵ月間を目安に使用できる。

(3)「強力」、「強い」の表現について

効能効果の表現で「強力な・・・」、「強い・・・」の表現は、原則として認めない。

(4)安全性の表現について

「比類なき安全性」、「絶対安全」等のような最大級の表現は認められない。

(7)効能効果の発現程度についての表現の範囲

医薬品等の速効性、持続性等についての表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。

<共通>
(1)効能効果等の発現程度について

「すぐ効く」、「飲めばききめが3日は続く」等の表現は、原則として認められない。

(2)速効性に関する表現について

単に「速く効く」の表現の使用は認められない。また「顆粒だから速く溶け効く」等の表現は非常に良く効くとの印象を与えるおそれがあり、薬理的にみても疑問があるため、このような表現は使用しないこと。

ただし、「解熱鎮痛消炎剤」、「局所麻酔剤を含有する歯痛剤(外用)」、「抗ヒスタミン薬を含有する鎮痒消炎薬(外用)」及び「浣腸薬」などに関する速効性について、承認等された効能効果、用法用量等の範囲内で、医学、薬学上十分証明されたものについては、次の場合を除き、「速く効く」等の表現を使用しても差し支えない。

① 強調表現

  • 例1:ヘッドコピー・キャッチフレーズとして使用する場合
  • 例2:「早く」という言葉を1回の広告中原則として2回以上使用する場合

②剤型等の比較

  • 例:「液剤だから早く効く」等の表現

③使用前・使用後的表現(明確な使用経験表現とはとらえられないもの)の中で作用時間を明示又は暗示するもの

  • 例:新幹線の大阪で痛んで京都で治っている。
(3)持続性に関する表現について

ビタミン剤等の徐放性製剤において、有効成分が徐々に放出されることと効力の持続とを同一かのように表現している場合があるが、これは必ずしも一致するものではないため、「効力持続型」等の表現については、承認等された効能効果等、用法用量等の範囲内で、医学、薬学上十分に証明された場合以外は行わないこと。

(8)本来の効能効果等と認められない表現の禁止

医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告を行ってはならない。

<共通>

(1)本来の効能効果等以外の表現について

本項は、例えば頭痛薬について「受験合格」、ホルモン剤について「夜を楽しむ」又は保健薬について「迫力を生む」、「活力を生み出す」、「人生を2倍楽しむ」等本来の効能効果等とは認められない表現を用いて、効能効果等を誤認させるおそれのある広告は認めない趣旨である。

(2)未承認の効能効果等の表現について

未承認の効能効果等の表現については、薬理学的に当該医薬品等の作用と関係あるものは本基準第4の3(1)「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」に違反し、直接薬理学的に当該医薬品等の作用とは認められないものは本項に違反する。

(3)本基準の他の項目との関連について
  • ① 効能効果等の二次的、三次的効果の表現は本基準第4の3(1)「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」にも抵触する。
  • ② 本項に抵触する表現は、本基準第4の4「過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限」、本基準第4の 14「医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限」にも抵触するおそれのある表現が多いため十分に注意が必要である。
  • ③ 性的表現は本基準第3(広告を行う者の責務)に抵触するばかりでなく、本来の使用法を誤らせるもととなるため行わないこと。

4 過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限

医薬品等について過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告を行ってはならない。

<共通>
(1)子どものテレビ広告等への使用について

小学生以下の子どもをモデルとして広告に使用する場合は、以下の点に注意すること。

① 殺虫剤の広告については、幼小児を使用しないこと。
② 子どもが自分で医薬品を手に持つ又は使用する場面を用いることは思わぬ事故を促すもととなるため、行わないこと。

(2)服用・使用場面の広告表現について

服用・使用場面を広告で行う場合は、乱用助長につながらないよう十分注意すること。また、内服剤においては適正な使用を促すという観点から、定められた用法用量を明瞭に表現すること。

<医薬品>
(1)多数購入又は多額購入による値引きについて

多数購入又は多額購入することによる過度な値引き広告については、消費者に不必要な購入を促すことになるため行わないこと。

5 医療用医薬品等の広告の制限

(1)医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用することを目的として供給される医薬品及び再生医療等製品については、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならない。

(2)医師、歯科医師、はり師等医療関係者が自ら使用することを目的として供給される医療機器で、一般人が使用するおそれのないものを除き、一般人が使用した場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのあるものについても(1)と同様にするものとする。

<共通>
(1)医薬関係者以外の一般人を対象とする広告について

「医薬関係者以外の一般人を対象とする広告」とは、以下のものを除く広告をいう。

  • ①医事又は薬事に関する記事を掲載する医薬関係者向けの新聞又は雑誌による場合
  • ②MRによる説明、ダイレクトメール、若しくは文献及び説明書等の印刷物(カレンダー、ポスター等医薬関係者以外の者の目につくおそれの多いものを除く。)による場合
  • ③主として医薬関係者が参集する学会、後援会、説明会等による場合
  • ④その他主として医薬関係者を対象として行う場合
<医薬品>
(1)医療用医薬品について

医療用医薬品とは、医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品をいう。

(2)特殊疾病用の医薬品の広告の制限について

法第 67 条の規定に基づき、特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限している。

広告の制限を受ける特殊疾病は「がん」、「肉腫」、「白血病」である。

<医療機器>
(1)医家向け医療機器について

本項(2)に該当する医療機器としては、原理及び構造が家庭用電気治療器に類似する理学診療用器具等がある。

6 一般向広告における効能効果についての表現の制限

医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断若しくは治療によることなく治癒ができるかの表現は、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告に使用してはならない。

<共通>
(1)医師等の治療によらなければ治癒等が期待できない疾患について

医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患とは、「胃潰瘍」、「十二指腸潰瘍」、「糖尿病」、「高血圧」、「低血圧」、「心臓病」、「肝炎」、「白内障」、「性病」など一般大衆が自己の判断で使用した場合、保健衛生上重大な結果を招くおそれのある疾病をいう。

(2)上記疾病名の記載について

疾病名を記載するだけであっても自己治癒を期待させるおそれがあるため、上記の疾病名は広告に使用しないよう注意すること。

7 習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項

法第 50 条第 11 号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医療用医薬品について広告する場合には、習慣性がある旨を付記し、又は付言しなければならない。

<医薬品>
(1)習慣性医薬品について

厚生労働大臣の指定する医薬品については,昭和 36 年2月1日厚生省告示第 18 号に示す製剤をいう。

8 使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項

使用及び取扱い上の注意を特に換起する必要のある医薬品等について広告する場合は、それらの事項を、又は使用及び取扱い上の注意に留意すべき旨を、付記し又は付言しなければならない。ただし、看板等の工作物で商品名のみを広告する場合はこの限りではない。

<共通>
(1)使用上の注意等の付記又は付言について

使用又は取扱い上の注意を特に喚起する必要のある医薬品等(例えば特異体質者は禁忌である医薬品等)については、添付文章等にその旨が当然記載されていなければならないが、このような場合には、広告においても、それらの事項又は使用及び取扱い上の注意に留意すべき旨を付記し又は付言すべきことを求めたものである。

<医薬品>
(1)使用上の注意等が必要な医薬品について

広告中に使用上の注意等が必要な医薬品の範囲及びその表現方法については、日本大衆薬工業協会の自主申し合わせ(平成 18 年2月 24 日)及び『医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領』の改訂について(平成27 年9月 29 日厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡)により行うこと。

<医薬部外品>
(1)使用上の注意が必要な医薬部外品について

使用及び取扱い上の注意を特に喚起する必要のある医薬部外品の範囲は、次に掲げるものとする。

①殺虫剤(蚊取り線香を除く。)
②染毛剤
③パーマネント・ウェーブ用剤

<化粧品>
(1)使用上の注意について

化粧品の使用上の注意については、「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(平成 28 年 12 月1日日本化粧品工業連合会)を参考にすること。

9 他社の製品の誹謗広告の制限

医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない。

<共通>
(1)誹謗広告について

本項に抵触する表現例としては、次のようなものがある。

  • ①他社の製品の品質等について実際のものより悪く表現する場合
    例:「他社の口紅は流行おくれのものばかりである。」
  • ②他社の製品の内容について事実を表現した場合
    例:「どこでもまだ××式製造方法です。」
(2)「比較広告」について
  • ① 漠然と比較する場合であっても、本基準第4の3(5)「効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止」に抵触するおそれがあるため注意すること。
  • ② 製品同士の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で、その対照製品の名称を明示する場合に限定し、明示的、暗示的を問わず他社製品との比較広告は行わないこと。この場合でも説明不足にならないよう十分に注意すること。

10 医薬関係者等の推せん

医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。

ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

<共通>
(1)医薬関係者の推せんについて

本項は、医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする趣旨である。

「公認」には、法による承認及び許可等も含まれる。

また、「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際して特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合である。

なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧品の使用方法の実演を行う場合等を禁止する趣旨ではない。

(2)推せん等の行為が事実でない場合について

推せん等の行為が事実でない場合は、法第 66 条第2項に抵触する。

(3)特許について

特許に関する表現は、事実であっても本項に抵触し、事実でない場合は虚偽広告として取扱う。

なお、特許に関する権利の侵害防止等特殊の目的で行う広告は、医薬品の広告と明確に分離して行うこと。(特許に関しては表示との取扱いの相違に注意:「特許の表示について」(昭和 39 年 10 月 30 日薬監第 309 号厚生省薬務局監視課長通知))

(4)「公務所、学校、学会を含む団体」の範囲について

「公務所、学校、学会を含む団体」の範囲は、厳格な意味の医薬関係に限定されない。

(5)厚生労働省認可(許可・承認等)等の表現について

厚生労働省認可(許可・承認等)、経済産業省認可(許可)等の表現も本項に抵触する。

11 懸賞、賞品等による広告の制限

  • (1)過剰な懸賞、賞品等射こう心を煽る方法による医薬品等又は企業の広告を行ってはならない。
  • (2)懸賞、賞品として医薬品を授与する旨の広告を行ってはならない。ただし、家庭薬を見本に提供する程度であればこの限りではない。
  • (3)医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告を行ってはならない。
<共通>
(1)懸賞、賞品等による広告について

景品類を提供して販売・広告することは、不当景品類及び不当表示防止法(昭和 37 年法律第 134 号)の規定に反しない限り認められる。

なお、医薬品の過量消費又は乱用助長を促す広告を行うことは、本基準第4の4「過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限」に抵触するため不適当である。

(2)容器、被包等について

本項(3)の「医薬品等の容器、被包等」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品すべての場合において、容器、被包その他、引換券等を封入し、行う場合を含む。

<医薬品>
(1)家庭薬の見本提供について

家庭薬を見本に提供することは認められる。

なお、家庭薬の範囲は、通常家庭において用いられる主として対症療法剤、すなわち外用剤、頭痛薬、下痢止め、ビタミン含有保健薬等のいわゆる保健薬であって、次のもの以外の医薬品をいう。

  • ①毒薬、劇薬
  • ②その他(家庭薬の通念から離れている医薬品)
(2)医薬品を賞品等にする場合について

医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告は、医薬品の乱用を助長するおそれがあるため認められない。

12 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限

広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現や方法を用いた広告を行ってはならない。

特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によらなければならない。

  • (1)医薬品販売業者の電子メールアドレス等の連絡先を表示すること。
  • (2)消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に電子メールにより広告を送る場合、メールの件名欄に広告である旨を表示すること。
  • (3)消費者が、今後電子メールによる広告の受け取りを希望しない場合、その旨の意思を表示するための方法を表示するとともに、意思表示を示した者に対しては、電子メールによる広告の提供を行ってはならないこと。
<共通>
(1)不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現について

例えばテレビ等において症状、手術場面等の露骨な表現をすること、医薬品等の名称等についての著しい連呼行為等、視聴者等に対して不快感を与えるおそれのある表現又は「あなたにこんな症状はありませんか、あなたはすでに○○病です」、「胸やけ、胃痛は肝臓が衰えているからです」等の不必要な不安又は恐怖感を与えるおそれのある表現をすることは認められない。

(2)連呼行為について

連呼行為は、5回程度を目安として判断する。ただし、本項の趣旨は必ずしも連呼の回数のみによって律すべきものではないことに留意すること。

(3)奇声等について

奇声を上げる等、不快感の著しい場合も本項に該当する。

(4)電子メールによる広告について

種々の商取引において電子メールを使用した商業広告により、

  • ①十分な取引条件の説明がなく、取引に入った消費者が後から高額な請求を受けるなどのトラブルに巻き込まれる。
  • ②電子メールの開封の有無にかかわらず、受信料がかかる場合がある。
  • ③電子メールの開封、廃棄に時間が消費される。

等の被害が社会問題化していることから規定するものである。

13 テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い

  1. テレビ、ラジオの提供番組又は映画演劇等において出演者が特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について言及し、又は暗示する行為をしてはならない。
  2. テレビ、ラジオの子ども向け提供番組における広告については、医薬品等について誤った認識を与えないよう特に注意しなければならない。
<共通>
(1)テレビ、ラジオの提供番組等における広告について

本項は、医薬品等を販売する企業がスポンサーとなっているものを中心にテレビ、ラジオの番組等における広告の取扱いが不適当なものとならないように注意することを求めたものである。

(2)出演者が広告を行う場合について

出演者が提供番組等において、医薬品等の品質、効能効果等について言及し、又は暗示する行為は、視聴者にこれらについて認識を誤らせることとなるため認められない。

なお、タレントがCMにおいて医薬品等の品質、効能効果等について言及し、又は暗示する行為を一律に認めないものではないが、タレントの発言内容が、本基準に定めるところを逸脱することのないよう配慮することは当然である。

(3)テレビの司会者等が広告を行う場合について

テレビのワイドショー番組等において司会者等が特定製品のCMを行う場合は、「これからCMです。」等と明示したうえで行うこと。

(4)子ども向け提供番組での広告について

子どもは一般に医薬品等についての正しい認識、理解がないため、子ども向け提供番組においては医薬品等について誤った認識を与えないよう特に注意する必要がある。

14 医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限

医薬品について化粧品的若しくは食品的用法を又は医療機器について美容器具的若しくは健康器具的用法を強調することによって消費者の安易な使用を助長するような広告を行ってはならない。

<医薬品>
(1)医薬品の化粧品的又は食品的用法の強調について

食品が医薬品と誤認されることのないように「無承認無許可医薬品の取締りについて」(昭和 46 年6月 1 日薬発第 476 号 厚生省薬務局長通知)及び「医薬品の範囲に関する基準の一部改正について」(平成 16 年3月 31日薬食発第 0331009 号 厚生労働省医薬食品局長通知)等をもってその区分を明確にしているが、これに関連して、医薬品が広告により化粧品的又は食品的用法を強調することは、消費者に安易な使用を助長させるおそれがあるため、かかる広告等を制限する趣旨である。

<医療機器>
(1)医療機器の健康器具的用法の表現について

「健康器具的用法」とは、バイブレーター又は家庭用電気治療器を運動不足の解消のために用いる用法等をいう。

(2)医療機器の美容器具的用法の表現について

「美容器具的用法」とは,バイブレーター等を痩身目的に用いる用法等をいう。

参照

医薬品等の広告規制について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(薬生監麻発 0929 第 5 号 平成29年9月29日)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

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