エビデンス全般

行動経済学「ピア効果」

「ピア効果」とは、人々の行動に対する他者の影響が、その人々の行動に大きな影響を与える現象のことを指します。

つまり、人々は周りの人たちの行動を参考にして自分の行動を決定する傾向があります。

ピア効果は、社会心理学の分野で研究されてきましたが、行動経済学でも重要な概念となっています。

ピア効果の特徴

ピア効果には、大きく分けて2つの特徴があります。

意思決定への影響

まず第一に、人々が自分自身の意思決定において、周りの人々の行動を参考にすることがあるという点です。

例えば、ある商品を買うかどうかを検討しているとき、その商品を選んでいる人が周りに多ければ、その人自身もその商品を選ぶ傾向があります。

有名人やインフルエンサーがある商品を使用している姿をSNSで公開するのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

企業は、ピア効果を使って自社商品の売り上げを増加させるような施策を打っています。

動機付けへの影響

また、ピア効果は、人々が自分自身の行動を他者と比較することによって発生するという点も特徴的です。

つまり、人々は他者と比較して、自分が劣っていると感じると、その劣等感を解消するために自分も同じように行動しようとする傾向があるということです。

このような効果は、特に競争の激しい環境下において、動機付けを促進するために利用されることがあります。

例えば、職場やスポーツチームなどでは、上位を目指す競争意識が強く、ピア効果が働くことで、自己啓発や努力の向上につながる場合があります。

ただし、ピア効果には負の側面も存在します。

例えば、自分が周りの人々よりも優れていると感じることで、自己満足に陥り、成長を妨げることがあるということです。

したがって、ピア効果は個人の行動に大きな影響を与えることがありますが、その効果が常にポジティブであるわけではありません。

個人が自己決定を行う際には、自分自身の価値観に基づいた判断が求められます。

ピア効果の活用方法

ピア効果を活用することで、企業や政府などは人々の行動を促進することができます。

望ましい活用方法

例えば、ある商品を買うかどうかを検討している人に対して、その商品を選んでいる人が多いという情報を提供することで、その商品を選ぶ人が増える可能性があります。

また、節約やエコ活動など、社会的に望ましい行動を促進するためにも、他者がその行動を実践しているという情報を提供することが有効です。

望ましくない活用方法

一方で、ピア効果は、社会的に望ましくない行動を増やす可能性もあるため、注意が必要です。

例えば、違法行為をしている人が周りに多いという情報を提供することで、その違法行為をする人が増える可能性があるためです。

また、当然ながら虚偽の情報を提供することは、信頼性を損なうことにつながり、逆効果になる可能性があります。

他にも、人々が周りの人々と比較することが、社会的不平等やストレスなどの問題を引き起こすこともあるため、適切な配慮が必要です。

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