今日の社会は,生活のあらゆる場面でICT を活用することが当たり前の世の中となっている。さらに,人工知能(AI),ビッグデータ,IoT(Internet of Things),ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ,社会の在り方そのものが劇的に変わる「Society5.0」時代の到来が予想されている。
このような時代において次代を切り拓く子供たちには,情報活用能力をはじめ,言語能力や数学的思考力などこれからの時代を生きていく上で基盤となる資質・能力を確実に育成していく必要があり,そのためにもICT 等を活用して,「公正に個別最適化された学び」や学校における働き方改革を実現していくことが不可欠である。
しかしながら,我が国の学校におけるICT 活用状況は世界から大きく後塵を拝しており,学校のICT 環境は脆弱かつ地域間格差も大きく危機的な状況となっている。
このような状況も踏まえ,今回改訂された学習指導要領においては,初めて「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付け,教科等横断的にその育成を図ることとした。あわせて,その育成のために必要なICT 環境を整え,それらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとしており,情報教育や教科等の指導におけるICT 活用など,教育の情報化に関わる内容の一層の充実が図られた。
この学習指導要領の下で,教育の情報化が一層進展するよう,教師による指導をはじめ,学校・教育委員会の具体的な取組の参考にしていただくために,新しい「教育の情報化に関する手引」を作成した。
なお,本手引については,小学校学習指導要領(平成29 年告示)の実施が令和2 年4月に迫っていることを踏まえ,令和元年12 月時点で公表するものであるが,今後,環境整備関連予算の具体的な進め方が示される1ことや,それを受けたICT 環境整備のロードマップの策定などが行われる予定であることから,これらの内容やイラストの追加等を行った追補版を令和元年度末を目途に改めて公表する予定である。
本手引が,教育の情報化を推進する上での参考資料として,教育委員会・学校をはじめ,教育にかかわる多くの関係者に読まれ,具体的な取組みの中で活用されることで,教育の情報化とそれを通じた教育の質の向上が一層図られることを大いに期待するものである。
令和元年12月