デジタルヘルス

会議結果 令和2年第17回経済財政諮問会議

経済対策のとりまとめと力強い経済の回復に向けて

7-9 月期のGDPギャップが相当程度存在し、足元、内外で新型感染症が再拡大する中で、設備投資が2四半期連続で減少するなど企業の投資意欲の低下がみられることや、雇用回復の遅れに伴う家計の所得や消費への影響が懸念されている。GDPの7割を占める投資・消費を中心に需要不足が継続し、景気が再び悪化するリスクには注意が必要である。

特に、欧米がデジタル・グリーン投資の促進に動く中で、我が国の投資の遅れは国際的な競争力低下につながりかねない。さらに、ほぼ全業種に影響が出たリーマンショック時と異なり、今次局面では、デジタル関係等の成長分野とかつてない需要減に直面している分野とで大きなバラツキがみられること、企業には300兆円強の現預金が蓄積していること、といった違いがみられる。

従って、現在策定が進められている経済対策では、国民の命と暮らしを守るとの観点から万全の対応行うとともに、これらの特徴を注視し、ポストコロナの新たな成長の姿の実現に向け、以下に掲げる投資の喚起、円滑な労働移動の促進等を講じていくことが重要である。同時に、民間企業の投資や事業再生等を後押しする要としての金融機関への期待も高い。

1.機動的なマクロ経済運営の実現のために

  • 国内外の新型感染症再拡大に対し、医療面での万全の備えを行うとともに、経済の下振れリスクに対して、これまでの対策効果の剥落を生じさせないよう十分な経済効果を発揮できるだけの対策規模を確保すべき。
  • 民需主導の需要喚起、成長力強化に向けて、前例にとらわれずに、予算・税制・規制改革を総動員するとともに、日本銀行には、新型感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行うことを期待する。

2.重点課題

(1)新型感染症再拡大への万全の備え

  • 柔軟かつ広域的な保健所・医療人員配置を可能とする取組や、派遣元の医療機関及び派遣される医療従事者へのインセンティブを付与する仕組みを早急に検討すべき。
  • オンライン診療・服薬については、現状の取組を後退させることなく、より利活用を促していくべき。

(2)ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現

①デジタル改革、グリーン社会の実現による成長力の強化
  • 遅れを一気に挽回するためにも、デジタル化、カーボンニュートラル、イノベーション推進のための基金等を思い切った規模で創設し、複数年度で取組を進めるべき。
  • 高校も含めGIGAスクール構想の拡充を図るとともに、ICT人材の確保など体制整備を早急に進めるべき。
②雇用の安心確保と合わせた成長分野への人の流れの促進
  • 成長分野への円滑な人材移動を、スキルアップの強化を図りつつ支援すべき。このため、以下の取組をパッケージとして策定し、国による支援を含め、包括的支援へと抜本的に強化すべき。
    • 出向等を活用した労働移動支援(出向元、出向先双方の支援やマッチング支援)
    • 働きながら学べる環境の整備(教育訓練休暇の使いやすさ向上)
    • スキルアップや正社員化等の労働者向け支援等の拡充
    • デジタル時代に対応したリカレント教育の強化(教育訓練の内容の充実)
  • 雇用調整助成金の特例措置については当面延長し、コロナによって困難な状況にある労働者、事業を支援しつつ、円滑な労働移動支援に軸足を移していくべき。

(3)民間資金を動かす税制

  • 民間企業の保有する 300 兆円以上の現預金についても各業種・業態の状況を踏まえて活用しつつ、税制を積極的に活用して、デジタル化・グリーン化・イノベーション等への民間投資の拡大や企業再編、賃金引上げの喚起、住宅投資の促進を図るべき。
  • その際、民間資金が有効に動員されれば、現時点での減税は将来の成長によって十分に埋め合わされ得ることも想定し、PAY AS YOU GO ルール(減収に対する代替財源の確保)を外して改正することも検討すべき。

(4)金融機能の強化

  • 合併・統合など抜本的な事業の見直しを行う地銀の経営基盤強化を支援するとともに、銀行による出資範囲を拡大することで、地域におけるベンチャー企業の育成や事業再生・事業継承など企業の構造改革を後押しし、コロナ後の地域経済の回復・再生を図るべき。あわせて、都会から地方へ、地域の企業から企業への円滑な人材移動を支援すべき。

令和3年度予算における経済・財政一体改革の重点課題~社会保障、文教~

令和3年度予算は、新型感染症で明らかになった構造的な課題にしっかり対処する予算とする必要がある。

社会保障については、経済が厳しい状況にある中でできる限り効率化を図り、国民負担を軽減すべきである。同時に、医療・介護の持続可能性を高める改革や様々な格差の是正に着実に取り組み、国民の安心を確保していく必要がある。

文教については、世界をリードする研究力を確保するための環境づくり、高等教育を中心とした教育のあり方の見直しが必要である。

また、新型感染症下での経験も踏まえ、学校教育において必要なオンライン教育を可能にする体制を実現していくべきである。

社会保障

1.基本的考え方

  • 今回の新型感染症に伴う緊急事態を柔軟な医療体制とデジタル化を通じて克服すると同時に、2022 年度から団塊世代が後期高齢者となり始めることを見据えた取組や少子化対策、格差是正対策などについて、期限を定めて着実に進める必要がある。この両輪で改革を推進すべき。
  • 前者については、15 か月予算との位置付けで、今回の対策・補正予算も活用しつつ、令和3年度予算については、引き続き、高齢化による増加分に相当する伸びの範囲に抑えるべき。同時に、今年度及び来年度の社会保障関係予算や社会保障給付費について、新型感染症による一時的な増減と、構造的なものとに分けて評価し、諮問会議に報告すべき。また、後者については、改革工程表にその改善の方向性を明確に位置付けていくべきである。

2.重点課題

(1)国民負担の軽減

経済が厳しい状況にある中、約 10 兆円に達する薬剤費の引下げにつながる改革を実現し、国民負担を軽減していくべきである。

  • 初回となる令和3年度の毎年薬価改定は、国民負担の軽減、イノベーション促進の観点を踏まえ、着実に実施すべき。
  • 後発医薬品の新たな目標を年度内に設定するとともにするともに、使用促進のための強力な追加措置を講じるべき。
(2)医療・介護面での国民の安心確保

令和3年度予算においても医療・介護の持続可能性を高める改革を着実に実現し、医療・介護面での国民の安心を確保していく必要がある。

  • 地域の医療提供体制や国保の財政運営等を担う都道府県のガバナンスを強化するとともに、感染拡大時には十分な受入ができる体制を整備しつつ、病床機能の再編にしっかりとつながる新たな支援策を講じるべき。
  • 人材不足と賃金引上げを見据え、介護人材の処遇改善を着実に推進するとともに、介護事業所の大規模化をはじめ生産性向上を強力に促す介護報酬改定とすべき。
(3)様々な格差の是正

健康、キャリアアップの機会、所得など様々な格差の是正に取り組むとともに、支援が必要な者に必要な支援を適切に提供し、活き活きとした生活を実現していく必要がある。

  • キャリアアップやリカレント教育に取り組む労働者等への支援強化は国家的課題。雇用保険に関する一般会計を含めた財源のあり方を検討し、個人が直接支援を受けやすくなるように支援策を強化すべき。
  • 職場環境や就労の有無による健康格差は是正すべき。また、予防・健康づくりサービスの産業化に向けた取組を強化すべき。
  • 新型感染症の再拡大にも万全を期すため、雇用保険の保険料徴収から給付までの全手続きをオンライン化すべき。
  • マイナンバーシステムを活用し、公的給付口座の設定等を通じて、生活困窮者、ひとり親家庭等必要な者にその事情に応じた必要な支援を迅速に提供すべき。さらに、中長期的には個別制度で救うという発想から、総合的、一元的にセーフティネットを提供する発想に転換する。また、それを実現するため、所得だけでなく資産の保有状況を適切に評価し、負担能力に応じた公平な負担への見直しを推進すべき。

文教

1.基本的考え方

世界をリードする研究力の確保、リカレント教育を含めた高等教育の抜本的な改善が必要である。

そして初等中等教育も含めた教育の質の向上と学習環境の格差防止を実現させる鍵は、オンラインの活用にある。

コロナ後も見据えて、必要なオンライン教育を可能にするための基盤整備、規制改革を速やかに実行する必要がある。

また、特に進捗が遅れている改革について、取組を加速すべきである。

2.重点課題

(1)デジタル時代の大学改革等

  • 国際的な研究力を確保する観点から、その実効力のある国立大学についての定員管理の大胆な緩和を含めた、大学経営のあり方について年内に結論を得て、改革を推進すべき。
  • 地方国公立大学については、地方人材育成、リカレント教育充実の観点から、地域の活性化に資するプログラムの策定・STEAM人材育成のための取組等を強化すべき。
  • 本当に必要としている人にしっかりとした支援をする観点からも、感染症拡大による失業等により奨学金の返還負担が重くなっている社会人に対し、返還の部分免除や返済期限の猶予を行うなど、負担軽減策を拡充すべき。

(2)対面とオンラインの最適な組み合わせの実現

小中学校、高校、大学、それぞれの教育段階において、対面とオンラインの最適な組み合わせの実現に向けて、規制等の見直し、ハード・ソフト・人的体制の整備、文教施設の老朽化対策等を進めるべきである。

  • オンラインの活用に向けて、人材育成・活用や教員組織・施設等に関する規制・手続き等を抜本的に見直すべき。
  • 2020 年度末までに整備する小中学校の1人1台端末を活用し、自宅等での活用を含め個別最適な学習(アダプティブラーニング)を実現すべき。高速通信環境が整っていない家庭に対する機器貸与等について、自治体への補助金交付を通じた普及状況をデータで把握し、PDCA を回して着実に支援すべき。
  • 地域間でソフト・人的体制整備にバラツキがでないよう、国主導の事業により、デジタルの利点を十分に生かして個別最適な学習を可能にするデジタル教科書等の普及促進や、ICT 人材の確保、教員の指導力向上の支援等を進めるべき。
  • 文教関連施設の長寿命化・統廃合のための計画の策定・見える化が遅れており、自治体に取組を促すインセンティブ措置を講じるべき。

(3)EBPMのためのデータ整備

  • EBPM促進のためには、匿名化された学力等に関するパネルデータの整備・活用が重要であり、デジタル化はそれを可能にする。文部科学省が中心となって、一人一台端末を活用して、学習履歴や学力テスト等の体系的な蓄積、データの標準化・共通化、先進的な取組 11の横展開、家庭環境・生活習慣・保健等のデータとの関連付け等を進めるべき。

EBPM: Evidence-based Policy Making、エビデンスに基づく政策立案

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