病気の発生原因を考えるとき、主な3分類に当てはめて考えると「あれ、この視点が抜けていないか?」という視点を洗い出せるので便利です。
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リスク因子の3分類
病気は、とある集団の中で何の脈絡もなく、完全に偶然に発生するものではなく、何らかのリスク因子が原因で起こるものとして考えられています。
その「何らかのリスク因子」には多種多様なものがありますが、リスク因子を考えるときには、大きく次の3つの観点から分析されます。
- Agent
- Host
- Environment
Agent
Agentは、その名の通り「原因(または要因)」です。根本的な原因、とも言っていいかもしれません。
もともとはウイルスや細菌、寄生虫やそのほかの微生物を指していました。現在では、病気やケガの科学的、身体学的な原因まで広く含めて捉えられています。
そもそも「〇〇というウイルスに感染したから」全てが始まった、というような文章で語られる「そもそも」の部分です。
Host
Hostは、病気にかかる可能性がある人のことです。「人」そのものがリスク因子なの?というと若干誤解があるかもしれませんが、リスク因子を分類する際には、AgentでもEnvironmentでもなく、その人そのものに由来または帰属するものと考えた方が整理しやすいものがあります。例えば次のようなものです。
- 遺伝的組成
- 解剖学的構造
- 栄養状態
- 薬剤の使用状況
- 併存疾患
- 免疫状態
- 心理状態
- 行動様式
- 性的嗜好
Environment
AgentでもHostでもない、その周辺環境も病気の発生を助長するものとして重要な要素です。主に下記のようなものがあります。
- 物理的要素(地学的なもの、気候学的なもの)
- 生物学的要素(要因を運ぶ動植物。そのもの自体には害がなく、ただ運ぶだけのもの。)
- 社会経済学的要素(そのエリアの混雑状況や衛星環境、教育水準、ヘルスケアサービスの水準)
BEGINS
病気の原因の中で、予防可能性のあるものの頭文字を集めると「BEINGS」となります。
- B: Biologic and Behavioral factor
- E: Environmental factor
- I: Immunologic factor
- N: Nutritional factor
- G: Genomic factor
- S: Social factors
まとめ
病気の根本原因は1つかもしれませんが、その原因を持っていても病気を発症しない人もいます(感染しても発症しない、等)。
また、病気の根本原因が分かっておらず、症状だけで疾患として捉えられているものも数多く存在しています(症状だけで判断されているものの方が大半かもしれませんね)。