医療経済 規制

審査支払制度―請求から精算まで―

2021年2月14日

医療サービスが提供されたのちに、医療機関から各地域の国保連または支払基金支部に対して請求が行われます。

その請求書は片仮名でレセプトと呼ばれます。これこれの医療行為を行ったので、所定の金額を請求します、というものですね。

医療サービスに対する対価が支払われるまで、どのような審査が行われているのかはあまり知られていないでしょうから、要点をかいつまんで紹介します。

請求から審査、精算までの流れ

審査支払機関への請求(医療機関→審査支払機関)

各保険医療機関は、自分の属する都道府県を管轄する審査支払機関への医療費請求を行います。

医療サービスが提供された患者さんが、どの保険者の対象なのかを確認して、国保連と支払基金支部のどちらに請求するのかが決まります。

第二次世界大戦直後に誕生―審査支払制度と審査支払機関

数百万円規模の高額請求の場合、都道府県レベルではなく、国保中央会や支払基金本部という中央レベルでの審議対象になりますが、基本的には都道府県単位です。

審査支払機関に提出されたレセプトは、まずは審査支払機関による原審査へと進みます。

原審査は、審査支払機関の事務局による一次審査(事務的なチェック)と、審査支払機関の審査委員会による二次審査(医学的なチェック)の二段階から成ります。

事務的なチェック「事務共助」(審査支払機関の一次審査)

事務共助で確認されることは、主に次の2つです。

  • 所定点数の誤り、計算ミスがないか
  • 薬剤の適応外使用がないか

不適切だと判断される部分を明示し、審査委員会へと進みます。

医学的なチェック「審査委員会」(審査支払機関の二次審査)

審査委員会および審査記録は非公開です。

そのため、審査委員会の当事者でない限り、どのような議論が行われたか、外部からははわかりません。

ただし、審査委員会の結論は非常に重いものであることから、中立公正を担保するために、「診療担当者代表」「保険者代表」「学識経験者」の3者で構成されることとなっています。

審査委員会の中には、「審査運営委員会」「審査専門部会」「再審査部会」「調剤審査部会」「審査研究会」などが設置されており、ガバナンスおよび知識拡充の仕組みが整えられています。

保険者への請求(審査支払機関→保険者)

保険者に請求がわたると、保険者によるレセプトのチェック(レセプト点検、確認事務とも)が行われます。

異議のあるレセプトに関しては、再審査請求を行うことができます。

再審査請求(保険者→審査支払機関)※事務共助へ戻る

保険者から異議を申し立てられたレセプトは、再度、審査支払機関による確認へと戻ります。

もし医療機関側に確認しないとわからない、という内容だとするとさらに時間がかかります。

審査支払機関への医療費収納(保険者→審査支払機関)

晴れて保険者からの了承が得られると、保険者から審査支払機関に対して医療費が納められます。

原則として、保険者から審査支払機関への医療費収納は、診療翌々月の10日までに終えることとなっています。

医療機関への支払い(審査支払機関→医療機関)

保険者から審査支払機関への医療費収納が完了次第、審査支払機関から各医療機関へ医療費が支払われます。

原則として、審査支払機関から医療機関への医療費支払は、診療翌々月の20日までに終えることとなっています。

レセプトの確認ポイント4つ

レセプトの確認は多岐にわたりますが、大きく分類すると4つになります。

資格審査

請求対象となる診療が行われた時点で、その患者さんが被保険者(あるいは被扶養者)の資格を持っていたかどうか、の確認です。

当たり前かと思われますが、保険者が多岐にわたっていることと、就職や結婚等によって扶養から外れたりすると保険者が変わるという複雑さがあるために簡単ではありません。

マイナンバーカードによるオンライン資格確認は、この被保険者(被扶養者)の資格有無の確認に使われるということです。

健康情報を効率活用!マイナンバーカードの保険証利用は2021年3月開始予定

縦覧点検

保険請求が行われた患者さんについて、過去のレセプトを時系列に沿って縦断的に閲覧して確認する、というものです。

時系列順に並べて確認することで、「過去の治療状況と比べて、今回の請求が異常なものではないか」を考えるわけですね。

3か月に一回の頻度で治療を受けている場合などは、その月だけ極端に医療費が高くなったりしますから、過去1年間ほどの情報を見なければわからないということもあります。

検算

計算間違いがないか、誤った点数が計上されていないか、などの確認です。

保険請求のルールは、AとBは同時に請求できない、というルールがあったりしますから、そうした事務的なミスがないかの確認も非常に重要です。

解釈確認

事務的な判断では対応できない部分ですね。

どういうことかというと、文章を読んだだけではわからない、解釈確認が必要な部分です。

診療報酬の請求については、かなり細かく定義されているものの、今回の請求に適した点数はどこに該当するのか迷う場面はゼロにはならないので、そうした際に解釈確認が行われます。

終わりに

審査支払機関が現状、どのような役割を担っているのかの概観をつかんでいただけたでしょうか。

診療報酬にまつわるルールを理解することで、より具体的な内容へと入っていくことができます。

診療報酬点数票には、しろぼんねっとという素晴らしい情報サイトがありますから、覗いてみてください。難易度高めなので心が折れないようにご注意を。

しろぼんねっと http://shirobon.net/

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