医薬品医療機器等

ツイミーグ錠 [イメグリミン塩酸塩](審議結果報告書2021年6月1日)

審議結果報告書

令 和 3 年 6 月 1 日
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

[販売名]

ツイミーグ錠500 mg

[一般名]

イメグリミン塩酸塩

[申請者名]

大日本住友製薬株式会社

[申請年月日]

令和2年7月 30 日

[審議結果]

令和3年5月 26 日に開催された医薬品第一部会において、本品目を承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告することとされた。

本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとされた。

[承認条件]

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

審査報告書

令和 3 年 4 月 28 日
独立行政法人医薬品医療機器総合機構

承認申請のあった下記の医薬品にかかる医薬品医療機器総合機構での審査結果は、以下のとおりである。

[販売名]

ツイミーグ錠 500 mg

[一般名]

イメグリミン塩酸塩

[申請者]

大日本住友製薬株式会社

[申請年月日]

令和 2 年 7 月 30 日

[剤形・含量]

1 錠中にイメグリミン塩酸塩 500 mg を含有するフィルムコーティング錠

[申請区分]

医療用医薬品(1)新有効成分含有医薬品

[審査担当部]

新薬審査第一部

[審査結果]

別紙のとおり、提出された資料から、本品目の 2 型糖尿病に対する有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断する。

以上、医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目については、下記の承認条件を付した上で、以下の効能又は効果並びに用法及び用量で承認して差し支えないと判断した。

[効能又は効果]

2 型糖尿病

[用法及び用量]

通常、成人にはイメグリミン塩酸塩として 1 回 1000 mg を 1 日 2 回朝、夕に経口投与する。

[承認条件]

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

別紙

審査報告(1)
令和 3 年 3 月 30 日

起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等

本剤は、Merck Serono社(スイス)により創製されたイメグリミン塩酸塩を有効成分とする錠剤である。

2型糖尿病の主な成因は、膵β細胞からのインスリン分泌低下及び肝臓、筋肉等でのインスリン抵抗性充進であり、ミトコンドリア機能異常がインスリン分泌低下及びインスリン抵抗性充進を引き起こす要因の一つと考えられている。本剤は、インスリン分泌臓器である膵臓及びインスリン標的組織である肝臓、筋肉等でミトコンドリア機能を改善することにより、インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用を示すことで、血糖降下作用を示すと考えられる。今般、申請者は、2型糖尿病に対する本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認申請を行った。

2021年3月現在、本剤は海外のいずれの国・地域においても承認されていない。

機構における審査の概略:本薬の作用機序について

申請者は、以下のように説明している。本薬はグルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用の両者を有すると考える。インスリン分泌促進作用については、膵島において、NAD 生合成経路の一つであるsalvage 経路の律速酵素であるNAMPT 遺伝子発現を上昇させ、当該経路を介して細胞内NAD+濃度を増加させ(CTD4.2.1.1.07 及び08)、それに伴い、ミトコンドリアでの電子伝達系の機能改善によるATP 量が増加する。また、ATP 量の増加によってKATP チャネル活性が抑制され、細胞外からのカルシウム流入増加によりインスリン分泌促進作用を示す可能性も考えられる(CTD4.2.1.1.09 及び10)。さらに、ラットから摘出した膵島でのCD38 をノックダウンすると、本薬によるインスリン分泌促進作用が減少した(CTD4.2.1.1.11)。CD38 により生成されるNAD+代謝産物であるcADPR が、膵島での細胞内カルシウム量を増加させ、グルコースによるインスリン分泌を上昇させることが報告されている(J Biochem, 1995; 270: 30045-50)ことから、NAD+代謝産物による細胞内カルシウム量増量もインスリン分泌促進作用に寄与する可能性も考えられる。インスリン抵抗性改善作用については、本薬は、肝臓でのミトコンドリアのComplex I 活性の抑制及びComplex III の活性回復によりROS 産生を低下させることで肝臓のミトコンドリアの機能を回復させる(CTD4.2.1.1.14、Diabetes, 2015;64: 2254-64)。また、雄性Wistar ラットの肝臓から単離した肝細胞にcAMP 存在下で本薬を添加し、上清中のグルコース濃度を測定した結果、濃度依存的な糖新生抑制作用を示した(J Diabetes Metab, 2011; 2:DOI: 10.4172/2155-6156.1000126)。筋肉においても、ミトコンドリアの生合成に関わる転写共役因子であるPgC1α の発現を増加させることで、筋肉のミトコンドリア機能を回復させることにより、インスリン抵抗性改善作用を示す(CTD4.2.1.14)。さらに、STZ 誘発糖尿病ラットでのヒラメ筋又は腓腹筋、H-2Kb筋肉細胞株において、本薬を投与又は添加することにより糖取込み能が改善することが報告されている(J Diabetes Metab, 2011; 2: DOI: 10.4172/2155-6156.1000126)。

in vivo の検討において、非肥満糖尿病モデル動物であるGK ラット、STZ 誘発糖尿病モデルラット等に本薬を経口投与した検討では、血糖値の低下やインスリン分泌の増加傾向が認められた(CTD4.2.1.1.01~03)。また、STZ 誘発糖尿病モデルラットにインスリンを持続投与した条件で、溶媒群と比べて本薬群では、定常状態のグルコース注入率が高値を示した(CTD4.2.1.1.02)。さらに、Wistar ラットやN0-STZ 誘発糖尿病モデルラットを用いたグルコースクランプ試験では、グルコース濃度依存的なインスリン分泌促進作用が認められた(CTD4.2.1.1.04~05)。

以上の結果より、本薬は、ミトコンドリアの機能を改善し、グルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用を示す新規作用機序を有する薬剤と考えられることから、2 型糖尿病に対して有効性を示すことが期待される。なお、後述のとおり、本薬は肝臓でのミトコンドリアのComplex I を競合的に阻害していると考えられることに加え、Complex III の活性の回復によるインスリン抵抗性改善作用及びグルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用を有することが、メトホルミンの作用機序とは異なる主な点と考えられる。

また、安全性薬理試験において、心血管系に対する影響として、心拍数減少が認められているが、血圧及び心電図パラメータに対して影響を及ぼさなかったことから、本薬が心血管系に対して重大な影響を及ぼす可能性は低いと考える(CTD4.2.1.3.04)。乳酸アシドーシスに対する影響については、ラットにおいてはメトホルミンの投与により血中乳酸濃度の上昇及び乳酸アシドーシスを伴うと考えられる死亡例が認められたが、本薬の投与では死亡例や血中乳酸濃度への明らかな影響は認められなかった(CTD4.2.1.3.06)。メトホルミンの乳酸アシドーシスのリスクについて、解糖系で生成されたピルビン酸はミトコンドリアの電子伝達系を介してエネルギーとして利用されるが、メトホルミンにより電子伝達系のComplex I が抑制されるとピルビン酸は乳酸に代謝される。また、メトホルミンは、細胞質に局在する乳酸からピルビン酸が産生される際に生成されるNADH のミトコンドリアへの移動を担うmGPDH を阻害する。したがって、メトホルミンは、解糖系からピルビン酸を介して生成した乳酸を、ミトコンドリアの機能抑制及びmGPDH の阻害により蓄積させると考えられる。本薬とメトホルミンの差異について、メトホルミン及び本薬のComplex I に対する影響を評価した検討において、酸素消費量についてメトホルミンはVmax を低下させた一方、本薬はVmax を低下させなかった(Endocrinol Diab Metab, 2021; 00: e00211)ことから、本薬はComplex I を競合的に阻害すると考えられるのに対し、メトホルミンではComplex I の非競合的な阻害の可能性も考えられる。また、ラット肝細胞を用いて本薬又はメトホルミン存在下での酸素消費量を検討した試験では、メトホルミンは全体の酸素消費量及びロテノン応答性の酸素消費量を低下させたのに対し、本薬はいずれの酸素消費量も低下させなかった(Endocrinol Diab Metab, 2021; 00: e00211)ことから、本薬のComplex I に対する阻害作用は酸素消費量に影響を及ぼさないと考えられる。また、mGPDH 活性への影響について、メトホルミンではmGPDH 活性を抑制するのに対し、本薬ではmGPDH 活性を抑制しなかった(CTD4.2.1.3.07)。以上を踏まえると、本薬は、ヒトで乳酸アシドーシスを惹起する可能性は低いと考える。

機構は、以下のように考える。申請者は、本薬はグルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用を有している旨を主張している。インスリン分泌促進作用について、実施されたin vitro の検討においては、GK ラットから摘出された膵島を用いた検討がなされ、本薬添加時のインスリン分泌量の増加に加え、NAD+濃度増加、ATP 量増加、細胞内カルシウム濃度上昇等が示されているが、GK ラットについては、インスリン分泌に影響を及ぼすと考えられるcAMP が増大している可能性(Diabetes, 1998; 47: 498-504)等が知られていることから、実施されたin vitro の検討の結果の解釈には留意が必要であり、GK ラットを用いて検討された機序がヒトにおいても期待できるかを判断することは困難である。一方で、in vivo の検討においては、GK ラットに加え、正常動物等を用いたグルコースクランプ試験の結果、本剤投与によるインスリン分泌が増加する傾向が認められていることや、本薬存在下において膵β 細胞量の増加が認められること等を考慮すると、本薬がインスリン分泌に影響を及ぼす可能性はあると考える。インスリン抵抗性改善作用については、HFHS 飼料負荷マウスを用いた検討において、肝臓においてはComplex I 活性の抑制及びComplex III の活性回復に伴うと考えられる肝臓のミトコンドリアの機能の回復や糖新生作用の抑制が、骨格筋においてはPgC1α の発現の増加を介すると考えられる糖の取込み能の改善が示されている。STZ 誘発糖尿病モデルラットにおいては、本薬の投与により、インスリンを持続投与した条件下で定常状態のグルコース注入率が高値を示した。以上を踏まえると、本薬はインスリン抵抗性改善作用を示す可能性はあるものと考える。以上の検討に加え、in vivo の検討において、GK ラット、STZ 誘発糖尿病モデルラット等に本薬を投与した結果、血糖値の低下が認められることを踏まえると、本薬の2 型糖尿病に対する有効性は期待できるものと考える。

本薬とメトホルミンとの差異について、本薬はミトコンドリアにおけるComplex I 活性の抑制に加えてComplex III の活性の回復が認められている。また、インスリン分泌に影響を及ぼす可能性があることも踏まえると、メトホルミンと一部の作用機序が異なる可能性はある。また、非臨床試験の結果からは、Complex I 活性の抑制及び糖新生の抑制が認められていることには留意する必要があるが、本薬がComplex III の活性回復作用も有し、メトホルミンでは認められた酸素消費量に対する影響が認められないこと及びmGPDH 活性に影響を及ぼさないこと、及び安全性薬理試験の結果、メトホルミン投与時には血中乳酸濃度の上昇が認められたものの同用量の本薬投与時には当該事象は認められなかったことを考慮すると、メトホルミンと本薬で乳酸アシドーシスに対するリスクが異なる可能性も考えられる。メトホルミンとの比較については、臨床試験成績も踏まえ、「7.R.3 臨床的位置付けについて」及び「7.R.2安全性について」の項で引き続き議論する。

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