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プラグマティックトライアル:ヘルスケアの未来を拓く新たな研究アプローチ
プラグマティックトライアル(Pragmatic Clinical Trial, PCT)は、現代のヘルスケアが直面する課題に応え、より実用的で質の高いエビデンスを創出するための新たな柱として、今、大きな注目を集めています。これは単なる研究手法の一つではなく、医療の質の向上と効率化を目指す上で不可欠な要素となり得るものです。
従来の臨床試験(治験、Explanatory Trialとも呼ばれます)が、理想的な条件下で特定の治療法や介入の「効果の有無」を厳密に検証することに主眼を置くのに対し、プラグマティックトライアルは、日常診療に近い、より現実的な環境下で、その介入が実際に「機能するかどうか」を評価することを目指します。
プラグマティックトライアルの核心:実臨床への橋渡し
プラグマティックトライアルの核心を捉えるならば、「治験に比べて参加者の組み入れ基準や除外基準を緩和し、できる限り多様な患者背景を反映することで、研究結果の一般化可能性(実臨床への適用しやすさ)を最大限に高めることを目指した介入研究」と言えるでしょう。
これは、科学的な厳密性(再現性)を可能な限り担保しつつも、研究で得られた知見が実際の医療現場とかけ離れてしまう「エビデンス・プラクティス・ギャップ」を極力小さくしようというコンセプトに基づいています。特定の条件下で有効性が示された治療法も、実臨床の多様な患者さんや複雑な状況下では、期待通りの効果を発揮しないことがあるため、このギャップを埋めることは喫緊の課題です。
プラグマティックトライアルは、観察研究(日常診療のデータを観察・分析する研究)が持つリアルワールドに近いという利点と、治験が持つ介入効果の因果関係を検証できるという利点を融合させた、両者の中間に位置づけられるアプローチであり、今後ますますその重要性を増していくと考えられます。
PRECIS(Pragmatic-Explanatory Continuum Indicator Summary)ツール
ある臨床試験がどの程度プラグマティック(実用的)であるか、あるいはどの程度エクスプラナトリー(説明的・理想的条件重視)であるかを評価するためのツールとして、「PRECIS-2 (Pragmatic-Explanatory Continuum Indicator Summary)」があります。このツールは、研究デザインの9つのドメイン(側面)について、それぞれ「非常にエクスプラナトリー」から「非常にプラグマティック」までの連続体(スペクトラム)上で評価します。
以下に、PRECIS-2の各ドメインについて、その評価軸とプラグマティックな研究における考え方を解説します。
被験者および研究者の募集
適格性 (Eligibility)
- 問い: 研究に参加するであろう被験者は、通常の診療で同じ介入を受ける患者層と、どの程度似通っているか? どのような違いが生じる可能性があるか?
- プラグマティックな視点: 組み入れ基準を広く、除外基準を最小限にすることで、実臨床でその介入の対象となるであろう多様な患者集団を代表することを目指します。年齢、併存疾患、治療歴などで厳しく制限するほど、エクスプラナトリー寄りになります。
募集 (Recruitment)
- 問い: 研究参加者を集めるために、どの程度の特別な努力や労力が割かれるか? 通常診療で患者との関係性を築く際と比較してどうか?
- プラグマティックな視点: 通常の診療の流れの中で、特別な勧誘活動や追加的なインセンティブを最小限にして参加者を集めることを目指します。大々的な広告や積極的なリクルート活動はエクスプラナトリー寄りです。
設定 (Setting)
- 問い: 研究が実施される場所や状況は、通常の診療が行われる環境と比べて、どの程度異なっているか?
- プラグマティックな視点: 大学病院のような高度専門医療機関だけでなく、地域のクリニックや一般病院など、実際に多くの患者が治療を受ける多様な医療環境で実施することを目指します。研究専用の特別な施設や体制はエクスプラナトリー寄りです。
介入
Organization
- 問い: 介入群において必要とされるリソース(人的、物的)、医療従事者の専門知識、介入を実施する医療機関の体制は、通常の診療における場合とどの程度の違いがあるか?
- プラグマティックな視点: 特別な訓練を受けた専門家や高度な設備を必要とせず、既存の医療資源や通常のスキルを持つ医療従事者によって介入が提供できることを目指します。これにより、介入の普及可能性が高まります。
Flexibility in delivery
- 問い: 研究で評価される介入の実施方法は、通常の診療における介入の提供方法と比較して、どの程度の柔軟性が許容されるか?
- プラグマティックな視点: 実臨床では、患者の状態や意向、医療現場の状況に応じて、治療のタイミングや用法・用量、併用療法などが調整されることが一般的です。プラグマティックトライアルでは、このような実臨床での運用に近い形での介入提供を許容します。例えば、保険診療のルールや患者の負担感を考慮した治療選択は、実臨床では日常的に行われます。治験のように厳格にプロトコルを固定するほどエクスプラナトリー寄りになりますが、あまりに自由度が高すぎると介入内容の標準性が失われ、結果の解釈が困難になるというバランスも考慮が必要です。

Flexibility in adherence
- 問い: 介入に対する患者のアドヒアランス(服薬や指示の遵守状況)を向上させるために、どの程度積極的に監視(モニタリング)したり、遵守を促したりするか? その程度は、通常の診療における取り組みと比較してどうか?
- プラグマティックな視点: 通常診療の範囲内でのアドヒアランス支援を目指します。特別なリマインダーや頻繁なチェック、インセンティブによる遵守奨励などを手厚く行うほど、エクスプラナトリー寄りとなり、実臨床での再現性が低下する可能性があります。
追跡
Follow-up
- 問い: 研究参加者の追跡調査(検査の頻度や種類、期間など)は、通常の診療におけるフォローアップと比較してどの程度の違いがあるか?
- プラグマティックな視点: 通常診療の範囲内で得られる情報や、患者にとって負担の少ない方法でのデータ収集を目指します。研究目的のために追加的で侵襲的な検査や頻繁な来院を求めるほど、エクスプラナトリー寄りになります。ただし、綿密なフォローアップが通常診療では見過ごされがちな重要なシグナルを捉える可能性もありますが、過剰なデータ収集はノイズを増やし、必ずしも真実の追求に寄与するとは限らないというバランス感覚も必要です。

解析と結果
Primary Outcome
- 問い: 主要評価項目は、どの程度、研究参加者の生活や健康状態に直接的に関連しているか?
- プラグマティックな視点: 患者にとって意味のある、実生活の質(QOL)、症状の改善、死亡や入院といったハードエンドポイントなど、患者中心のアウトカム(Patient-Reported Outcome, PROを含む)を重視します。代替マーカー(例:特定のバイオマーカーの値)よりも、患者が直接的に体感できる変化を評価する傾向があります。治験では特定の生理学的指標が主要評価項目となることも多いですが、プラグマティックトライアルではQOL指標がより多く採用される傾向にあります。

Primary Analysis
- 問い: 主要評価項目の解析に、収集された全データのうちどの程度が用いられるか?(ITT解析の考え方を含む)
- プラグマティックな視点: 「Intention-to-Treat (ITT) 解析」、つまり、最初に割り付けられた群に基づいて全参加者を解析に含める原則を重視します。これにより、実際の治療状況(アドヒアランス不良や治療中止なども含む)を反映した、より現実的な効果推定が可能になります。また、プラグマティックトライアルでは、費用対効果を検証するために費用データを収集することも少なくありません。収集された全てのデータが主要評価項目の解析に用いられるわけではありませんが、できるだけ多くの実臨床データを活用し、現実的な結論を導き出すことが目指されます。疾患レジストリを活用する場合、レジストリ内のデータが全て研究目的に合致するわけではない点も考慮が必要です。

プラグマティックトライアルの利点と考慮すべき点
プラグマティックトライアル(Pragmatic Clinical Trial, PCT)は、その実用的なアプローチから多くの利点をもたらす一方で、デザインや実施、結果の解釈において慎重な配慮が求められる側面も持ち合わせています。
プラグマティックトライアル(Pragmatic Clinical Trial, PCT)は、その実用的なアプローチから多くの利点をもたらす一方で、デザインや実施、結果の解釈において慎重な配慮が求められる側面も持ち合わせています。以下に、その利点と考慮すべき点をより詳細に解説します。
プラグマティックトライアルの利点:実臨床への架け橋となる強み
リアルワールドエビデンス(RWE)の創出と活用:
- より深い解説: プラグマティックトライアルは、日常診療という「リアルワールド」の環境下でデータ(リアルワールドデータ、RWD)を収集し、エビデンス(RWE)を創出します。これは、厳格に管理された環境で行われる伝統的な説明的研究(Explanatory Trial、いわゆる治験)とは異なり、実際に患者さんが治療を受ける状況を色濃く反映します。そのため、得られるエビデンスは、特定の条件下での「効果の有無」だけでなく、実臨床における「治療の価値」や「有効性」を示すものとなります。
- 一般化可能性の高さ: 参加者の組み入れ基準が広く、多様な背景を持つ患者(高齢者、複数の併存疾患を持つ患者、様々な薬剤を併用している患者など、従来の治験では除外されがちな人々)が含まれるため、研究結果をより多くの患者集団に適用しやすくなります(高い一般化可能性)。
- 意思決定への貢献: この一般化可能性の高さは、医師が個々の患者に最適な治療法を選択する際の臨床判断や、診療ガイドラインの策定、さらには医療政策立案者や規制当局(例:新薬承認後の実臨床での効果検証、適応拡大の判断材料)による医療資源の最適配分や医薬品・医療技術の評価における意思決定に、より直接的かつ強力な根拠を提供します。
多様な患者への適用可能性の検証:
- ヘルスエクイティへの貢献: 従来の治験では、安全性を重視し均質な集団を対象とするため、特定の年齢層、性別、人種、あるいは特定の併存疾患を持たない患者などが中心となりがちでした。プラグマティックトライアルは、より幅広い患者層を意図的に含めることで、これまでエビデンスが不足していたサブグループ(例:小児、妊婦、特定の遺伝的背景を持つ集団)における介入の効果や安全性を評価する機会を提供し、医療の公平性(ヘルスエクイティ)向上に貢献する可能性があります。
- 個別化医療への示唆: 多様な患者データが集まることで、特定の患者特性(バイオマーカー、生活習慣、社会的背景など)と治療効果との関連性を探索的に分析し、将来的な個別化医療や層別化医療への手がかりを得られることも期待されます。
費用対効果および医療経済評価の促進:
- 現実的なコスト評価: 通常の診療体制の中で実施されるため、特別な研究用リソースや追加的な検査・処置が少ない場合が多く、介入にかかる実際の費用や医療資源の消費量を現実的に把握しやすいという特徴があります。これにより、医療経済評価(Health Technology Assessment, HTA)において重要な指標となる費用対効果分析や費用効用分析(例:QALYs - 質調整生存年を用いた評価)を効率的かつ正確に行うことが可能になります。
- 持続可能な医療への貢献: 新しい治療法や医療技術が臨床的に有効であるだけでなく、経済的にも持続可能であるかを示すことは、医療費が増大し続ける現代において極めて重要です。プラグマティックトライアルは、この経済的側面からの評価を促進し、医療資源の賢明な配分や、保険償還価格の設定などに関する意思決定を支援します。
新たな知見や予期せぬ発見の機会:
- 患者報告アウトカム(PROs)の重視: 死亡率や検査値といった客観的指標だけでなく、患者さんの自覚症状、QOL(生活の質)、満足度、治療の受け入れやすさといった患者報告アウトカム(PROs)を主要な評価項目とすることが多いため、日常診療では見過ごされがちな患者視点での効果や影響を捉えることができます。
- 長期的・複合的影響の把握: 実臨床に近い環境での長期追跡や、多様な併用療法・併存疾患との相互作用など、より複雑な状況下での介入の純粋な効果だけでなく、予期せぬ副作用や、これまで認識されていなかった有益な効果(副次的効果)、あるいは特定の集団における特異的な反応などが明らかになる可能性があります。これは、医薬品の安全性監視(ファーマコビジランス)や、新たな治療仮説の生成にも繋がります。
プラグマティックトライアルで考慮すべき点:現実世界の複雑性への対応
バイアスのリスク管理と統計的対処:
- 多様なバイアスの可能性: 組み入れ基準の緩和や、介入・評価の標準化の度合いが低いことは、様々なバイアス(選択バイアス:研究参加者の偏り、情報バイアス:測定や評価の偏り、交絡バイアス:介入効果以外の要因が結果に影響する)が混入しやすくなることを意味します。例えば、医師が特定の患者に意図的に介入を割り当ててしまう、あるいは患者のアドヒアランス(治療の遵守状況)が群間で大きく異なる、といった状況が考えられます。
- 対処法と限界: これらのバイアスを完全に排除することは困難ですが、ランダム化比較試験(RCT)の原則を維持しつつ、クラスターランダム化(個人ではなく施設や地域単位でランダム化)、ステップドウェッジデザイン(介入導入時期をクラスターごとにずらす)、あるいは傾向スコアマッチングや操作変数法といった高度な統計解析手法を用いることで、影響を最小限に抑える努力がなされます。また、研究デザインの透明性を高め、CONSORT声明(ランダム化比較試験報告のためのガイドライン)のプラグマティックトライアル拡張版などを参考に詳細な報告を行うことが不可欠です。
効果の希薄化(Effect Dilution)と結果の解釈:
- 要因と影響: プラグマティックトライアルでは、参加者の多様性、介入実施の柔軟性(例:投薬量や頻度の調整許容)、実臨床におけるアドヒアランスのばらつきなどにより、介入の本来の効果が平均化され、説明的研究で示されるよりも小さく見える(効果が希薄化する)傾向があります。これは、研究が無効であると誤って結論づけられるリスク(第二種の過誤)を高める可能性があります。
- トレードオフと分析戦略: 効果の希薄化は、一般化可能性を高めるための代償とも言えます。Intention-to-Treat(ITT)解析(最初に割り付けられた群に基づいて全参加者を解析する)が基本となりますが、Per-Protocol解析(研究計画書通りに治療を完遂した集団のみを対象とする解析)やAs-Treated解析(実際に受けた治療に基づいて解析)の結果と合わせて慎重に解釈する必要があります。
倫理的配慮の複雑性:
- インフォームド・コンセントの課題: 通常診療に近い形で行われるため、どこまでが研究でどこからが日常診療かの境界が曖昧になりやすく、参加者への説明と同意取得(インフォームド・コンセント)のプロセスが複雑になることがあります。特に、介入内容が標準治療と大きく異なる場合や、比較対照群にプラセボではなく実薬(標準治療)を用いる場合など、患者が不利益を被らないよう、また研究参加の任意性が担保されるよう、倫理審査委員会(IRB/REC)による厳格な審査と継続的な監視が不可欠です。クラスターランダム化の場合、個々の患者から同意を得るか、クラスターの代表者から同意を得るか、あるいは通知とオプトアウト(拒否権の行使)方式で足りるかなど、同意のあり方も慎重に検討されます。
- プライバシー保護: リアルワールドデータ(電子カルテ情報など)を利用する場合、個人情報保護とデータセキュリティの確保は最重要課題です。匿名化・仮名化の徹底、アクセス権限の管理など、厳格なデータガバナンス体制が求められます。
- 介入の公平性: 研究期間中に有望な結果が出た場合、対照群の参加者にも早期に介入の機会を提供すべきか(データモニタリング委員会による判断)、といった倫理的ジレンマが生じる可能性も考慮する必要があります。
結果の解釈と文脈依存性:
- 多様な交絡因子の影響: プラグマティックトライアルの結果は、介入そのものの効果だけでなく、実施された医療機関の特性(設備、スタッフの習熟度)、地域性(医療アクセス、患者の社会経済的背景)、併用されることの多い他の治療法、さらには研究期間中の医療政策の変更など、様々な「文脈的要因」の影響を受けます。
- 一般化と個別化のバランス: そのため、「平均的な効果」を捉えることはできても、なぜ特定の状況や集団で効果が高かったのか/低かったのかを特定するのは困難な場合があります。サブグループ解析は有用な手がかりを与えますが、多重比較による偽陽性のリスクや、検出力不足の問題も伴います。結果を他の異なる環境へ一般化する際には、その文脈の違いを十分に考慮する必要があります。
- 定性的研究の併用: 数値データだけでなく、医療従事者や患者へのインタビューといった定性的研究手法を組み合わせることで、介入がどのように受け入れられ、どのような要因が結果に影響したのかを多角的に理解し、解釈の深みを増すことが推奨されます。
プラグマティックトライアルの今後の展望
プラグマティックトライアルは、電子カルテデータやレセプトデータといったリアルワールドデータ(RWD)の活用、ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリなどデジタル技術との連携により、今後ますます効率的かつ大規模に実施されるようになるでしょう。これにより、これまで検証が難しかった長期的なアウトカムや希少疾患に対する介入効果など、新たな領域でのエビデンス創出が期待されます。
また、その結果は診療ガイドラインの策定や医療政策の決定においても、より現実的で患者中心の視点を提供する重要な根拠となり得ます。医療従事者、研究者、政策立案者がプラグマティックトライアルの意義と限界を正しく理解し、適切に活用していくことが、ヘルスケア全体の質の向上と持続可能性に繋がるでしょう。
さらに学ぶために
プラグマティックトライアルに関するより学術的な知識を深めたい方は、New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載されている以下の総説論文も参考にしてください。
- Pragmatic Trials Ian Ford, Ph.D., and John Norrie, M.Sc. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1510059
プラグマティックトライアルは、エビデンスに基づいた医療を、より実臨床に根差した形で発展させるための鍵となるアプローチです。その動向に引き続き注目していくことが、これからのヘルスケアを考える上で非常に重要です。
まとめ
プラグマティックトライアル(PCT)は、日常診療に近い現実的な環境で、医療介入が「本当に役立つか」を検証する実践的な研究手法です。従来の治験よりも参加基準を広げ、多様な患者さんにおける結果の一般化可能性(実臨床への応用しやすさ)を重視することで、科学的知見と医療現場との間のギャップを埋めることを目指します。
このアプローチは、実社会における介入の有効性や費用対効果を明確に示せるという大きな利点がある一方で、バイアスの混入リスク管理など、慎重な研究計画と実施が求められます。今後、リアルワールドデータやデジタル技術との連携により、PCTはさらに発展し、より患者さんに寄り添った質の高い医療の実現に不可欠な役割を果たすでしょう。
このプラグマティックトライアルという新しい研究の潮流は、これからのヘルスケアを大きく変える可能性を秘めています。本稿が、その理解の一助となり、皆様がより良い医療の未来を共に考え、築いていくための一歩となれば幸いです。