プラグマティックトライアル(Pragmatic Trial, Pragmatic Clinical Trial)は、これからのヘルスケア業界の新たな柱となり得るので、要注目です。
誤解を恐れず要点だけ掻い摘むと「治験よりも組み入れ基準・除外基準を緩くして、出来るだけ一般化可能性を高めた介入研究」となります。
科学的再現性を可能な限り担保しながらも、実臨床との乖離を極力減らす、というコンセプトです。
プラグマティックトライアルは、観察研究と治験の中間に位置するものとして、これから成長していくでしょう。
Table of Contents
PRECIS(Pragmatic-Explanatory Continuum Indicator Summary)ツール
どの程度のプラグマティズム (Pragmatism) かを評価するためのツールがあります。
PRECIS-2というものが紹介されているので、見て行きましょう。
被験者および研究者の募集
適格性 (Eligibility)
いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちは、通常診療でおなじ介入を受ける場合に比べて、どの程度似通っているか?
あるいは、どんな違いが生じる可能性があるか?
募集 (Recruitment)
いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちを集めるために、どの程度の努力あるいは労力が割かれることになるのか?
そして、通常の診療で患者さんとの間にエンゲージメント(約束)を築く際に比べて、どの程度多くの努力あるいは労力が割かれることになるのか?
設定 (Setting)
いま考えている Pragmatic Trial は、通常の診療と比べて、どの程度異なった状況設定になっているのか?
介入
Organization
いま考えている Pragmatic Trial において、介入群において割かれるリソースや、関わる研究者や医療者の専門知識、および介入を実施する医療機関は、通常の診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるのか?
Flexibility in delivery
いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入が実施されるかどうかの柔軟性は、通常の診療にくらべてどの程度の違いがあるか?
![](https://real-world-evidence.org/wp-content/uploads/2020/07/9.png)
Flexibility in adherence
いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入に対するアドヒアランス向上のために、どの程度、順守状況を監視(モニタリング)したり、あるいは順守するように促しているか?
また、その監視であったり、順守を促すようなことは、通常の診療における監視や促しに比べて、どの程度の違いがあるか?
追跡
Follow-up
測定や検査の強度であったり、Pragmatic Trial の参加者の追跡あるいはフォローアップは、通常診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるか?
![](https://real-world-evidence.org/wp-content/uploads/2020/07/9.png)
解析と結果
Primary Outcome
主要評価項目(Primary Outcome)は、どの程度、研究参加者に直接的に関わっているか?
![](https://real-world-evidence.org/wp-content/uploads/2020/07/9.png)
Primary Analysis
主要評価項目(Primary Outcome)の解析に、どの程度まで収集されたデータが用いられているか?
![](https://real-world-evidence.org/wp-content/uploads/2020/07/9.png)
関連情報
NEJM (New England Journal of Medicine) でも、Pragmatic Trialについての概要記事があるので、より学問的な知識を得たい方はそちらもご覧ください。
Pragmatic Trials
Ian Ford, Ph.D., and John Norrie, M.Sc.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1510059