エビデンス全般 臨床試験

プラグマティックトライアルってなーに?

2020年7月8日

プラグマティックトライアル(Pragmatic Trial, Pragmatic Clinical Trial)は、これからのヘルスケア業界の新たな柱となり得るので、要注目です。

誤解を恐れず要点だけ掻い摘むと「治験よりも組み入れ基準・除外基準を緩くして、出来るだけ一般化可能性を高めた介入研究」となります。

科学的再現性を可能な限り担保しながらも、実臨床との乖離を極力減らす、というコンセプトです。

プラグマティックトライアルは、観察研究と治験の中間に位置するものとして、これから成長していくでしょう。

PRECIS(Pragmatic-Explanatory Continuum Indicator Summary)ツール

どの程度のプラグマティズム (Pragmatism) かを評価するためのツールがあります。

PRECIS-2というものが紹介されているので、見て行きましょう。

被験者および研究者の募集

適格性 (Eligibility)

いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちは、通常診療でおなじ介入を受ける場合に比べて、どの程度似通っているか?

あるいは、どんな違いが生じる可能性があるか?

募集 (Recruitment)

いま考えている Pragmatic Trial に参加するであろう被験者たちを集めるために、どの程度の努力あるいは労力が割かれることになるのか?

そして、通常の診療で患者さんとの間にエンゲージメント(約束)を築く際に比べて、どの程度多くの努力あるいは労力が割かれることになるのか?

設定 (Setting)

いま考えている Pragmatic Trial は、通常の診療と比べて、どの程度異なった状況設定になっているのか?

介入

Organization

いま考えている Pragmatic Trial において、介入群において割かれるリソースや、関わる研究者や医療者の専門知識、および介入を実施する医療機関は、通常の診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるのか?

Flexibility in delivery

いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入が実施されるかどうかの柔軟性は、通常の診療にくらべてどの程度の違いがあるか?

江藤先生
少し分かりにくいので補足すると、通常の診療ではやりたくても簡単にはやれないような介入があったりします。保険診療下で実施するためには、保険診療のルールにのっとって順々に治療ステップを上げていかなければ保険が切られる(返戻を受ける)ということもあり得ます。また、医薬品や医療機器を選ぶ際には、患者さん自身の手間や負担も考慮する必要がありますから、医療提供者側が実施したいと思っても、患者さん自身の希望や要望も聴いて治療が決定されることになります。治験の場合、参加者は研究計画書に厳密に従う必要があり、同意できない場合や同意を撤回する場合はそこで研究から降りることになります。あまり厳しすぎる研究計画だと実臨床から外れてしまいますが、あまり自由度が高すぎると何をやっているのか分からなくなってしまうという悩みが出てきますね。
Flexibility in adherence

いま考えている Pragmatic Trial において、着目している介入に対するアドヒアランス向上のために、どの程度、順守状況を監視(モニタリング)したり、あるいは順守するように促しているか?

また、その監視であったり、順守を促すようなことは、通常の診療における監視や促しに比べて、どの程度の違いがあるか?

追跡

Follow-up

測定や検査の強度であったり、Pragmatic Trial の参加者の追跡あるいはフォローアップは、通常診療における場合にくらべてどの程度の違いがあるか?

江藤先生
結構重要なポイントで、フォローアップを綿密に実施することによって、通常診療では見落とされていたり、重要視されていないシグナルを見つけることもあり得ます。もちろんシグナルを見つけることは大切なのですが、感度が高すぎる検査機器を使うようなもので、必ずしも正しい結論に辿り着くために良い面ばかりではない、という視点が必要です。

解析と結果

Primary Outcome

主要評価項目(Primary Outcome)は、どの程度、研究参加者に直接的に関わっているか?

江藤先生
少し補足すると、Pragmatic Trialでは、質問票を用いたQOL調査を主要評価項目に置くことが多く見受けられます。もちろん、死亡であったり、緊急の入院のようないわゆるハードエンドポイントもあり得ますが、治験と比較するとQOL指標を主要評価項目に設定する機会は多めでしょう。
Primary Analysis

主要評価項目(Primary Outcome)の解析に、どの程度まで収集されたデータが用いられているか?

江藤先生
これもそのままではいまいちよく分からないので補足すると、Pragmatic Trialでは、その副次的目的から費用対効果を検証するために費用データを収集することが少なくありません。収集されたデータはもちろん全て何らかの目的をもって収集され解析されることになりますが、全データが主要評価項目の解析に用いられるというわけではありません。また、疾患レジストリを活用した Pragmatic Trial の場合、必ずしも疾患レジストリ内のデータが全て Pragmatic Trial 用に利用できるわけではない場合もあります。

関連情報

NEJM (New England Journal of Medicine) でも、Pragmatic Trialについての概要記事があるので、より学問的な知識を得たい方はそちらもご覧ください。

Pragmatic Trials
Ian Ford, Ph.D., and John Norrie, M.Sc.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1510059

 

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