デジタルヘルス

プログラム医療機器ってなーに?

2021年2月26日

プログラム医療機器ってなーに?

プログラム医療機器とは、簡単に言うなら「ソフトウェア単体で医療機器とみなされるもの」です。

プログラムのような物理的実体のないものは、そもそも「機器」ではないんじゃないか?

という指摘もあるでしょう。

そのような中、2013年に公布された薬機法では、ソフトウェア単体でも医療機器とみなされることになりました。

ちょうどスマートフォンが普及しきって、健康管理アプリが続々と出てきた時期に重なりますね。

ですが、新しく取り入れられたばかりで、技術革新も凄まじいスピードである分野なので「これはプログラム医療機器に該当するのか?該当しないのか?」という部分で躓くことも珍しくありませんでした。

今でも戸惑う部分はたくさんあるでしょう。

その戸惑いを軽減するべく、薬機法施行日(2014年11月25日)の直前に「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」という通知がでました。2014年11月14日のことです。

そしてその4年後である2018年12月28日に、「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」の一部改正について という通知が新たに出ました。

本記事ではその内容を掲載します。

出典

出典:医療機器プログラムについて(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html(2021年2月26日に利用)

1.該当性の判断に当たっての基本的な考え方について

プログラム医療機器は、有体物の医療機器と同様に、改正法による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和 35 年法律第 145 号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第4項の医療機器の定義に基づき、汎用コンピュータや携帯情報端末等にインストールされた有体物の状態で人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされているものである。

ただし、「薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令」(平成 26 年政令 269 号)による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」(昭和 36年政令第 11 号。以下「新施行令」という。)別表第 1 により、プログラム医療機器については、機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものは、医療機器の範囲から除外されているため、該当性の判断に当たっては、この影響を勘案することが必要である。

無体物である特性等を踏まえ、人の生命及び健康や機能に与える影響等を考慮し、プログラム医療機器の該当性の判断を行うに当たり、次の2点について考慮すべきものであると考えられる。

(1)プログラム医療機器により得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか。

(2)プログラム医療機器の機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれ(不具合があった場合のリスク)を含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか。

以上を踏まえ、汎用コンピュータ等に組み込まれて使用されるプログラムのうち、(1)医療機器に該当すると考えられるプログラム及び(2)医療機器に該当しないと考えられるプログラムの代表的なものについて、別添のとおり例示する。

2.臨床研究等における取扱いについて

医師又は歯科医師が主体的に実施する妥当な臨床研究において用いられる医療機器の提供については、医薬品医療機器等法が適用されない場合があるので、その取扱いについては「臨床研究において用いられる未承認医療機器の提供等に係る薬事法の適用について」(平成 22 年3月 31 日付け薬食発 0331 第 7 号厚生労働省医薬食品局長通知)及び「臨床研究において用いられる未承認医療機器の提供等に係る薬事法の適用について」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成 23 年3月 31 日付け薬食監麻発 0331 第 7 号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)を参照されたい。

なお、個々の具体的な事例における医薬品医療機器等法の適用につき判然としない場合には、監視指導・麻薬対策課において相談・助言等を行っていることから、これを活用すること。

別添

(1) 医薬品医療機器等法において医療機器に該当するプログラム

1) 医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム

① 診断に用いるため、画像診断機器で撮影した画像を汎用コンピュータ等に表示するプログラム(診療記録としての保管・表示用を除く)

② 画像診断機器で撮影した画像や検査機器で得られた検査データを加工・処理し、病巣の存在する候補位置の表示や、病変又は異常値の検出の支援を行うプログラム (CADe(Computer-Aided Detection))

③ CADe 機能に加え、病変の良悪性鑑別や疾病の進行度等の定量的なデータ、診断結果の候補やリスク評価に関する情報等を提供して診断支援を行うプログラム(CADx(Computer-Aided Diagnosis))

④ 放射性医薬品等を用いて核医学診断装置等で撮影した画像上の放射性医薬品等の濃度の経時的変化データを処理して生理学的なパラメータ(組織血流量、負荷応答性、基質代謝量、受容体結合能等)を計算し、健常人群等との統計的な比較を行うプログラム

⑤ 簡易血糖測定器等の医療機器から得られたデータを加工・処理して糖尿病の重症度等の新たな指標の提示を行うプログラム

⑥ 一つ又は複数の検査機器から得られた検査データや画像を加工・処理し、診断のための情報を提示するプログラム(例えば、眼底カメラ、眼撮影装置、その他眼科向検査機器から得られた画像や検査データを加工・処理し、眼球の組織・細胞や層構造について、形状・面積・厚さ・体積・濃度・色等を表示、形態情報との相関比較を行うプログラム)

2) 治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)

① CT 等の画像診断機器から得られる画像データを加工・処理し、歯やインプラントの位置のイメージ画像の表示、歯科の矯正又はインプラント治療の術式シミュレーションにより、治療法の候補の提示及び評価・診断を行い、治療計画の作成、及び期待される治療結果の予測を行うプログラム

② 放射線治療における患者への放射線の照射をシミュレーションし、人体組織における吸収線量分布の推定値を計算するためのプログラム(RTPS(放射線治療計画システム))

③ 画像を用いて脳神経外科手術、形成外科、耳鼻咽喉科、脊椎外科等の手術をナビゲーションするためのプログラム

④ CT 等の画像診断機器で撮影した画像を加工・処理して、整形外科手術の術前計画を作成するためのプログラム

⑤ 画像診断機器や検査機器で得られたデータを加工・処理し、手術結果のシミュレーションを行い、術者による術式・アプローチの選択の支援や、手術時に手術機器で使用するパラメータの計算を行うプログラム(例えば、角膜トポグラフィ機能をもつレフラクト・ケラトメータで取得した角膜形状データを基に、屈折矯正手術における角膜不正成分を考慮した手術結果のシミュレーションを行い、レーザの照射データを作成するプログラム(屈折矯正手術レーザ照射データ作成プログラム))

⑥ 患者の体重等のデータから麻酔薬の投与量を容易な検証ができない方法により算出し、投与を支援するプログラム

(2) 医薬品医療機器等法において医療機器に該当しないプログラム

1) 医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプログラム

① 医療機器で取得したデータを、可逆圧縮以外のデータの加工を行わずに、他のプログラム等に転送するプログラム(データ表示機能を有しないデータ転送プログラム)

② 診療記録として患者情報及び検査情報の表示、編集を行うために、医療機器で取得したデータのデータフォーマットの変換、ファイルの結合等を行うプログラム

③ CT 等の画像診断機器で撮影した画像を診療記録のために転送、保管、表示するプログラム

④ 検査項目の入力、表示、出力を行い、患者ごとの複数の検査結果を継時的に保管・管理するプログラム

⑤ 事前に入力した患者 ID や氏名等のパラメータを複数の医療機器に転送し、設定するプログラム(パラメータそのものは加工せず転送するものに限る)

2) データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)

① 医療機器で得られたデータを加工・処理して、汎用コンピュータ等で表示するプログラム(例えば、睡眠時無呼吸症候群の在宅治療で使用する CPAP(持続式陽圧呼吸療法)装置のデータ(無呼吸・低呼吸指数、供給圧力、使用時間等)を、SD カード等から汎用コンピュータ等で読み込み一覧表等を作成・表示するプログラム)

② 腹膜透析装置等の医療機器を稼働させるための設定値パラメータ又は動作履歴データを用いて、汎用コンピュータ等でグラフの作成、データの表示、保管を行うプログラム

③ 検査データの有意差検定等の統計処理を行うプログラム

④ 糖尿病のような多因子疾患の一部の因子について、入力された検査結果データと特定の集団の当該因子のデータを比較し、入力された検査結果に基づき、当該集団において当該因子について類似した検査結果を有する者の集団における当該疾患の発症確率を提示するプログラム、又は特定の集団のデータに基づき一般的な統計処理等により構築したモデルから、入力された検査結果データに基づく糖尿病のような多因子疾患の発症確率を提示するプログラム

3) 教育用プログラム

① 医学教育の一環として、医療関係者がメディカルトレーニング用教材として使用する、又は以前受けたトレーニングを補強するために使用することを目的としたプログラム

② 教育の一環として、手術手技の実施状況を撮影し、手術室外の医局等のディスプレイ等にビデオ表示することでライブ情報を共有させるためにデジタル画像を転送・表示させるためのプログラム

4) 患者説明用プログラム

① 患者へ治療方法等を説明するため、アニメーションや画像により構成される術式等の説明用プログラム

5) メンテナンス用プログラム

① 医療機器の消耗品の交換時期、保守点検の実施時期等の情報を転送、記録、表示するプログラム(医療機関内の複数の医療機器の使用状況等をネットワーク経由で記録・表示させるプログラムを含む)

② 輸液ポンプ等の医療機器の動作履歴や稼働状況の自己点検プログラム

③ 内視鏡洗浄消毒器等の医療機器の運転履歴、機器 ID、担当者 ID 等を記録・表示するプログラム

6) 院内業務支援プログラム

① インターネットを利用して診療予約を行うためのプログラム

② 総合コンピュータシステム(レセコン・カルテコン)において、入力されたカルテ情報から情報提供用文書の出力、受付、会計業務、レセプト総括発行等の集計作業を行うプログラム

③ 医療機器の販売管理、在庫管理、入出庫管理、設置場所の管理のためのプログラム④ 医療機器の添付文書の集中管理を行うため、複数の医療機器の添付文書を保管・表示するプログラム

7) 健康管理用プログラム

① 日常的な健康管理のため、個人の健康状態を示す計測値(体重、血圧、心拍数、血糖値等)を表示、転送、保管するプログラム

② 電子血圧計等の医療機器から得られたデータを転送し、個人の記録管理用として表示、保管、グラフ化するプログラム

③ 個人の服薬履歴管理や母子の健康履歴管理のために、既存のお薬手帳や母子手帳の情報の一部又は全部を表示、記録するプログラム

④ 個人の健康履歴データを単なる記録のために健康管理サービス提供者と共有するプログラム(診断に使用しないものに限る)

⑤ 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報(体動等)を検知し、生活環境の改善を目的として家電機器などを制御するプログラム

⑥ 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報(歩数等)を検知し、健康増進や体力向上を目的として生活改善メニューの提示や実施状況に応じたアドバイスを行うプログラム

⑦ 健康診断のため、氏名等の受診者情報、受付情報、検査項目、検査機器の使用状況や問診する医師のスケジュール等健康診断の実施に関する情報及び健康診断の検査・診断データを管理し、健康診断の結果の通知表を作成するプログラム

⑧ 健康診断の結果を入力、保管、管理し、受診者への報告用データや結果を表形式等に作成するプログラム

⑨ 保健指導の指導状況を入力、保管、管理し、実績報告のためのデータを作成するプログラム

⑩ 健康診断の問診結果、受診者の生活習慣関連情報、生活習慣改善の指導状況、改善状況に関する情報を入力、保管、管理し、生活習慣の改善のために学会等により予め設定された保健指導の助言候補から該当候補を提示するプログラム

8) 一般医療機器(機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム(新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)

① 汎用コンピュータや携帯情報端末等を使用して視力検査及び色覚検査を行うためのプログラム(一般医療機器の「視力表」や「色覚検査表」と同等の機能を発揮するプログラム)

② 携帯情報端末内蔵のセンサ等を用いて、体動を検出するプログラム(一般医療機器の「体動センサ」と同等の機能を発揮するプログラム)

③ 「ディスクリート方式臨床化学自動分析装置」等の一般医療機器である分析装置から得られた測定値を転送、保管、表示(グラフ化)するプログラム

④ 添付文書の用法用量・使用上の注意や、治療指針、ガイドラインなど公知の投与量の増減に対応する薬剤の投与量を提示するプログラム(薬物投与支援用プログラム)

⑤ CT 撮像装置や歯科用の 3D スキャナ等から得られた患者の歯列形状のデータを用いてコンピュータ上で仮想的な歯列模型を表示し、有体物の歯科模型から得られる情報と同等の情報(歯列の現在の形状や歯の位置関係や角度、距離等)のみを提示するプログラム(歯列模型表示プログラム)

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