ビジネス全般

ワクチンの安全性に関する評価について(令和3年11月19日)

令和3年11 月19 日
令和3年度第2回
医薬品等安全対策部会
資料1-2

ワクチンの安全性に関する評価について

令和3年7月7日、同7月21 日、同7月30 日、同8月4日、同8月25 日、同9月10日、同10 月1日、同10 月15 日、同10 月22 日及び同11 月12 日に開催された安全対策調査会(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と合同開催。以下「合同部会」という。)において、ワクチンの安全性に関し、副反応が疑われる症例の報告状況等について以下のとおり報告し、評価された。

Table of Contents

1 新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等について

(令和3年7月7日、同7月21 日、同8月4日、同8月25 日、同9月10 日、同10 月1 日、同10 月22 日及び同11 月12 日開催合同部会)

注)令和3 年7月30 日開催の合同部会の審議内容については3、同10 月15 日開催の合同部会の審議内容については5に記載。

(1) 副反応疑い報告の状況

コミナティ筋注の令和3年2月17 日から令和3年10 月24 日までの報告状況、COVID-19 ワクチンモデルナ筋注の令和3年5月22 日から令和3年10 月24 日までの報告状況及びバキスゼブリア筋注の令和3年8月3日から令和3年10 月24 日までの報告状況は表1 のとおり。ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと評価された。

表1 新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況

  • コミナティ筋注:R3.2.17~R3.10.24
  • COVID-19 ワクチンモデルナ筋注:R3.5.22~R3.10.24
  • バキスゼブリア筋注:R3.8.3~R3.10.24
製造販売業者からの報告
【下段は報告頻度】
医療機関からの報告
【下段は報告頻度】
推定接種者数 報告数 うち死亡 報告数 うち重篤 うち死亡
コミナティ筋注 155,454.673 15,232 件 1,202 件 24,766 件 5,063 件 977 件
0.01% 0.00% 0.02% 0.00% 0.00%
COVID-19 ワクチンモデルナ筋注 30,632,541 1,992 件 45 件 3,737 件 554 件 40 件
0.01% 0.00% 0.01% 0.00% 0.00%
バキスゼブリア筋注 64,713 6件 0件 8件 4件 0件
0.01% 0.00% 0.01% 0.01% 0.00%

注)製造販売業者からの報告と医療機関からの報告は重複している可能性がある。

(2)アナフィラキシーの評価について

コミナティ筋注について、令和3年2月17 日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして2,922 件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、555 件がブライトン分類1~3に該当すると評価された。

COVID-19 ワクチンモデルナ筋注について、令和3年5月22 日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして491 件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、50 件がブライトン分類1~3に該当すると評価された。

バキスゼブリア筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月24 日までに医療機関からアナフィラキシー疑いとして3件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、ブライトン分類1~3に該当すると評価されたものはなかった。

(3)血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症(TTS)の評価について

コミナティ筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者からTTS 疑いとして39 件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、12 件がブライトン分類1~3に該当すると評価された。また、ブライトン分類1~3に該当すると評価された事例について、専門家による因果評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

COVID-19 ワクチンモデルナ筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者からTTS 疑いとして3件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、2件がブライトン分類1~3に該当すると評価された。また、ブライトン分類1~3に該当すると評価された事例について、専門家による因果評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

バキスゼブリア筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月31 日までに医療機関からTTS 疑いとして1件の報告があった。専門家によるブライトン分類に基づく評価により、1件がブライトン分類1~3に該当し、因果評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」と評価された。

(4)心筋炎関連事象の評価について

コミナティ筋注について、令和3年2月17 日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者から心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)疑いとして210 件の報告があった。また、専門家による評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

COVID-19 ワクチンモデルナ筋注について、令和3年5月22 日から令和3年10 月24 日までに製造販売業者から心筋炎関連事象疑いとして152 件の報告があった。専門家による評価により「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

また、バキスゼブリア筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月3日までに心筋炎関連事象疑いとしての報告はなかった。

(5)死亡症例の評価について

コミナティ筋注について、令和3年2月17 日から令和3年10 月24 日までにワクチン接種後の死亡事例として1,279 件の報告があった。専門家による評価により「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

COVID-19 ワクチンモデルナ筋注について、令和3年5月22 日から令和3年10 月24 日までにワクチン接種後の死亡事例として46 件の報告があった。専門家による評価により「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

バキスゼブリア筋注について、令和3年8月3日から令和3年10 月24 日までにワクチン接種後の死亡事例としての報告はなかった。

2 バキスゼブリア筋注の添付文書改訂について

(令和3年7月21 日開催合同部会)

バキスゼブリア筋注について、海外の添付文書の記載及び副反応疑いの事例の報告状況を踏まえ、添付文書を改訂し、血小板減少、毛細血管漏出症候群及びギラン・バレー症候群について注意喚起を行うこととされた。(別添1参考)

3 新型コロナワクチンの副反応への対応について

(令和3年7月30 日開催合同部会)

新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準について、新たに血栓症(血栓塞栓症を含む。)(血小板減少症を伴うものに限る。)を加えることが、副反応検討部会委員によって議決された。(別添2参考)

4 モデルナ筋注の異物混入・回収ロットについて

(令和3年9月10 日及び同10 月1日開催合同部会)

異物の混入に関連して、使用の見合わせ・自主回収の対応がとられた、モデルナ筋注の3つのロットのうち、異物混入の報告がない1ロットから報告された3例の死亡事例について、これまでに得られた情報からは、異物が死亡に影響を与えた可能性やワクチンと死亡の因果関係は現時点では評価できないとされた。

5 新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象への対応について

(令和3年10 月15 日開催合同部会)

新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象について、国内外における副反応疑い報告の状況やその解析結果等を踏まえ、コミナティ筋注及びCOVID-19 ワクチンモデルナ筋注の添付文書を改訂し、若年男性に係るワクチン接種後の心筋炎関連事象の報告頻度が高いことについて注意喚起を行うこととされた。(別添3、4参考)

また、引き続き、国内の接種状況を踏まえつつ、国内の心筋炎関連事象疑い報告の状況や海外における報告状況を注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくこととされた。

6 各ワクチンの報告状況

(令和3年8月4日開催合同部会及び同10 月22 日開催合同部会)

(1) 麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、23 価肺炎球菌、HPV、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(7価、13 価)、ヒブ、BCG、日本脳炎、B 型肝炎、ロタウイルス各ワクチンの報告状況

令和3年1月1日から令和3年3月31 日までの報告状況は表2、令和3年4月1日から令和3年6月30 日までの報告状況は表3のとおり。これまでに報告されている各ワクチンの報告状況と比べて大きな変化はなく、新たな措置をとる必要はないとされた。

表2 各ワクチンの副反応疑い報告状況(R3.1.1~R3.3.31)

( )内は死亡

接種可能のべ人数 製造販売業者からの報告
【下段は報告頻度】
医療機関からの報告
【下段は報告頻度】
報告数 うち重篤
乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン 464,342 3 件(0) 22 件 11 件(0)
0.0006% 0.0047% 0.0024%
乾燥弱毒生麻しんワクチン 10,047 0 件 0 件 0 件
0% 0% 0%
乾燥弱毒生風しんワクチン 16,808 0 件 1 件 0 件
0% 0.0059% 0%
乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン 311,859 4 件(0) 18 件 10 件(0)
0.0013% 0.0058% 0.0032%

注)製造販売業者からの報告と医療機関からの報告は重複している可能性があり、重複症例は、医療機関からの報告として計上している。

表3 各ワクチンの副反応疑い報告状況(R3.4.1~R3.6.30)

( )内は死亡

接種可能のべ人数 製造販売業者からの報告
【下段は報告頻度】
医療機関からの報告
【下段は報告頻度】
報告数 うち重篤
乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン 757,052 8 件(0) 22 件 8 件(0)
0.0011% 0.0029% 0.0011%
乾燥弱毒生麻しんワクチン 15,123 2 件(0) 1 件 1 件(0)
0.0132% 0.0066% 0.0066%
乾燥弱毒生風しんワクチン 22,269 1 件(0) 1 件 1 件(0)
0.014% 0.0045% 0.0045%
乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン 429,662 3 件(0) 7 件 5 件(0)
0.0007% 0.0016% 0.0012%
乾燥弱毒生水痘ワクチン 440,831 3 件(0) 7 件 7 件(0)
0.00020% 0.0016% 0.0016%
乾燥組換え帯状疱疹ワクチン 7,473 3 件(0) 0 件 0 件
0.04% 0% 0%
23 価肺炎球菌ワクチン 267,138 7 件(0) 11 件 2 件(0)
0.0026% 0.0041% 0.0007%
2価HPV ワクチン 745 2件(0) 0 件 0 件
0.27% 0% 0%
4価HPV ワクチン 108,360 23 件(1) 26 件 8 件(0)
0.021% 0.024% 0.0074%
9価HPV ワクチン 12,846 8 件(0) 0 件 0 件
0.062% 0% 0%
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT) 19,757 0 件 2 件 0 件
0% 0.01% 0%
沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド(DT) 224,510 0 件 7 件 1 件(0)
0% 0.0031% 0.00045%
ジフテリアトキソイド 4 0 件 0 件 0 件
0% 0% 0%
沈降破傷風トキソイド 178,916 1 件(0) 0 件 0 件
0.00056% 0% 0%
不活化ポリオワクチン 10,658 0 件 1 件 0 件
0% 0.01% 0%
沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン 792,868 5 件(0) 14 件 4 件(0)
0.00063% 0.0018% 0.0005%
沈降13 価肺炎球菌結合型ワクチン 781,472 13 件(0) 17 件 14 件(1)
0.0017% 0.0022% 0.0018%
ヒブワクチン 776,428 12 件(0) 16 件 13 件(1)
0.0015% 0.0021% 0.0017%
乾燥BCG ワクチン 198,514 4 件(0) 25 件 5 件(0)
0.0020% 0.013% 0.0025%
日本脳炎ワクチン 584,213 4 件(0) 9 件 5 件(1)
0.00068% 0.0015% 0.00086%
組換え沈降B 型肝炎ワクチン(酵母由来) 1,123,964 14 件(1) 14 件 11 件(0)
0.00125% 0.0012% 0.0010%
経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン 231,398 14 件(0) 6 件 5 件(0)
0.0061% 0.0026% 0.0022%
5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン 178,255 2 件(0) 6 件 5 件(0)
0.0011% 0.0034% 0.0028%

注1)製造販売業者からの報告と医療機関からの報告は重複している可能性があり、重複症例は、医療機関からの報告として計上している。

注2)令和3年4月1日から令和3年6月30 日までの対象期間に沈降7価肺炎球菌結合型ワクチンの報告がなく合同部会で審議対象外であった。

(2)死亡症例の評価について

死亡症例は令和3年1月1日から令和3年3月31 日までの対象期間に2例、令和3年4月1日から令和3年6月30 日までの対象期間に4例報告された。専門家による評価により、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった。

7 インフルエンザワクチンの報告状況(令和3年8月4日開催合同部会)

(1)報告状況

推定接種可能回数は6,547 万回で、令和2年10 月1日から令和3年3月31 日までの報告状況は表4のとおり。2019/2020 シーズンの報告と比べて大きな変化はなく、新たな措置をとる必要はないとされた。

表4 インフルエンザワクチンの報告状況(対象期間:R2.10.1~R3.3.31)

2020/2021 報告
(R2.10.1~R3.3.31)
2019/2020 報告
(R1.10.1~R2.9.30))
推定接種者数 65,473,916 人 56,496,152 人
製販報告 重篤 62 件 0.000095% 67 件 0.00012%
うち死亡 0 件 0% 2 件 0.0000035%
医療機関報告 全体 323 件 0.00049% 283 件 0.00050%
うち重篤 107 件 0.00016% 96 件 0.00017%
うち死亡 3 件 0.0000046% 5 件 0.0000089%

注)表2の注)に同じ

(2)死亡症例の評価について

死亡症例は、対象期間中に3例報告された。専門家による評価により、「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた症例はなかった

参照

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