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血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準案(概要)

血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準案(概要)

令和3年7月21日
厚生労働省労働基準局
補償課職業病認定対策室

第1 背景

業務による過重負荷を原因とする脳血管疾患及び虚血性心疾患等については、労働者災害補償保険制度の下、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成 13 年 12 月 12 日付け基発1063 号)(令和2年8月 21 日改正)に基づき労災認定を行っているところであるが、認定基準の改正から約 20 年が経過する中で、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、令和2年6月から「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、最新の医学的知見に基づき、医学、疫学、予防医学、労働衛生学及び法律学等の専門的見地から認定基準について検討を行った。

今般、同検討会が取りまとめた「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」(以下「報告書」という。)の内容に基づき、認定基準を改正する。

なお、平成 22 年に改正された労働基準法施行規則別表第1の2第8号を踏まえ、認定基準の標題について「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」(仮称)に改める。

第2 内容

1 対象疾病

対象疾病として「重篤な心不全」を追加し、解離性大動脈瘤については「大動脈解離」に表記を修正する。

2 過重負荷に係る認定要件

(1) 「長期間の過重業務」について

ア 労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できることを示す。

イ 労働時間以外の負荷要因として、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」及び「身体的負荷を伴う業務」を示し、他の負荷要因も整理する。

(2) 「異常な出来事」及び「短期間の過重業務」について

ア 「異常な出来事」について

(ア) 異常な出来事とは、当該出来事によって急激な血圧変動や血管収縮等を引き起こすことが医学的にみて妥当と認められる出来事であり、具体的出来事として以下を示す。

①極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態
②急激で著しい身体的負荷を強いられる事態
③急激で著しい作業環境の変化

(イ) 業務と発症との関連性が強いと評価できる場合について、報告書に沿って例示する。

(ウ) その他報告書に沿って検討の視点を修正する。

イ 「短期間の過重業務」について

(ア) 労働時間

業務と発症との関連性が強いと評価できる場合について、報告書に沿って例示する。

(イ) 労働時間以外の負荷要因

労働時間以外の負荷要因及びその検討の視点については、原則として長期間の過重業務における労働時間以外の負荷要因と同様に考える。

ただし、作業環境については、短期間の過重業務の判断において重視し、長期間の過重業務においては付加的に考慮する。

(ウ) その他報告書に沿って検討の視点を修正する。

ウ 評価の基準となる労働者

評価の基準となる同種労働者について、「当該労働者と職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をいい、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できるものを含む」とする。

3 その他所要の改正を行う。

第3 スケジュール

今後、改正した認定基準は、令和3年9月上旬を目途に厚生労働省労働基準局長通達を発出し、実施する。

実施日以降において決定を行う事案について適用する

参照

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