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1.なぜ大学ファンドが必要か
(1)世界と伍する研究大学への支援
- 我が国の財政が経済成長に伴い右肩上がりだった時代は、大学における挑戦的研究に対して新たな追加財政投資を行うことで研究力を高め、我が国の研究大学も世界における確固たる地位を築いてきた。その後、国の財政が厳しくなり、より効果的な資源配分が求められる中で、競争的資金と基盤的経費とのデュアルサポートシステムによる質の高い教育研究に向けた適正な競争的環境の醸成が目指された。また、国立大学については、国の機関から独立させ、柔軟な財務会計システムの下、学内資源の再配分を可能とするため、2004年に国立大学が法人化された。
- しかしながら、国の制度環境整備が不十分であったことと相俟って、大学が国の機関であったときの発想を大きく変えることにつながらなかった。国は知識基盤社会における大学の価値創造力に期待しているにもかかわらず、縦割りのファンディングなどを通して大学における全学的視点に立った構想力を制約し、かえって優秀な研究者の時間の劣化を招く結果となった。大学は常に研究や大学院教育の質を国際的な切磋琢磨の中で向上させなければ存在意義を問われるとの緊張感を持ち、分野横断的なカリキュラム・デザインに基づいた博士課程の確立や、次代を担う自立した若手研究者を獲得・活躍させるための大胆な資源配分、研究時間を確保するための研究者の負担軽減、先行投資財源の機動的な確保や活用等につき、一層の加速が必要な状況である。
- 他方、世界のトップレベルの大学は、独自に将来ビジョンを策定し、それを実現するための外部資金を自ら獲得し、大学独自基金を造成・運用することで財政的自律を進め、挑戦的な研究や若手への投資を行うことで飛躍的に研究力を拡大させ、新たな価値創造・イノベーション中核拠点としての地位を確固たるものにしてきている。
e.g.)ハーバード大学は2005年時点では東京大学の2倍程度の事業規模であったが、今や3.5倍程度に拡大 - このような世界のトップレベルの大学の取組も参考に、大学自らが、時代に即し、未来を生み出すイニシアチブをダイナミックかつ迅速にとるため、社会変革を駆動する大学の成長モデルを新たに開発し、大幅に機能を拡張していく必要がある。既存の組織やルールを前提とした縦割り構造から「価値創造思考の多様性の醸成」を行うプラットホームとしての大学を目指し、第6期基本計画に基づき、政府はファンディングの大くくり化などを進めるとともに、新規性の高い挑戦的な研究や若手研究者育成を目指す大学の財政的自律と構造改革を後押しするため、府省連携で10兆円規模の大学ファンドを創設し、世界と伍する研究大学の事業規模の拡大と大学固有の基金の成長を図ることとした。
(2)博士課程人材への支援
- また、世界と我が国との研究力の差を縮めていくためには、我が国全体として、価値創造の源泉となり次代の研究力の源泉となる博士課程学生、若手研究者の厚みを拡大していくことが必須である。我が国においては、博士課程へ進学することがリスクと受け止められており、このような傾向が続くと、たとえトップレベルの研究大学が実現されたとしても、研究者の頭脳循環が止まり、国全体としての研究力や国際競争力が低下していくことが懸念される。
- これまで若手研究者育成の重要性は認識しながらも、各大学においてこのような人への投資が低迷してきたのは、継続的な財政支援が見込めない中、将来負担が発生する人的投資に踏み切ることができなかったことが背景にあり、大学が安心してこのような人への投資を行えるようにするには、世界と伍する研究大学への支援と併せて、優秀な博士課程学生に対し支援を行う必要がある。
(3)我が国全体の大学への支援
- 様々な機能を担う多様な大学すべてが我が国の知の基盤として重要な役割を担っており、この多様性は今後も我が国にとって重要な強みである。このため、大学ファンドによるトップレベルの研究大学への支援策のみならず、地域の中核大学や特定分野の強みを持つ大学の機能を強化し、成長の駆動力へと転換することで日本の産業力強化やグローバル課題解決にも貢献するような大学の機能を強化する支援策などを総合振興パッケージとして同時に講じ、我が国の高等教育システムや研究開発法人、大学共同利用機関法人を含めた我が国の研究力を向上させる全体像を描くことが必要である。
2.大学ファンドを前提とした世界と伍する研究大学の目指すべき姿
(1)世界と伍する研究大学の目指すべき姿
- 大学ファンドの支援対象となる世界と伍する研究大学は、知の蓄積と社会的な価値創造やイノベーションの中核拠点として、世界トップクラスの研究者が集まり活躍できる環境を作るための研究大学としての機能を強化し、分野横断的なカリキュラム・デザインに基づく博士課程において優秀な博士人材を育成するとともに、若手研究者が独立した環境で存分に研究できる環境を通して、新しい学問領域を創出・育成し続けることで、世界から目に見える(フラッグが立っている)大学となることが必要である。
- そのためには、国内外の若手研究者が「ここで自立して研究したい」と強く思う多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルージョン)が担保された魅力的な研究環境を持ち、彼らがやる気に満ち溢れ活躍出来る場を提供することで、優秀な人材が世界中から集まり続ける世界の知の拠点としての大学となることが必要である。
- そして、当該大学における研究成果の社会実装が社会的価値の創出に繋がることを念頭において、起業家の輩出や産業界で幅広く活躍する博士人材の育成、エマージングテクノロジーの源泉となる知の創出を通じた新たな成長分野の形成、さらには人間や社会の望ましい未来像の実現に向けた高次の視点からの俯瞰的把握や、カーボンニュートラル、DXといったグローバル課題解決への貢献など、次代の社会構造への転換に向けて大胆なビジョンを描き、社会の多様な主体と常に対話しながら、活動を展開することが求められる。
- そのためには、大学が示すビジョンや戦略の中で以下のような研究上の土壌(ポテンシャル)をいかに向上し続けていくかが示されていることが重要である。
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(2)知の価値づけと研究基盤への投資の好循環サイクル
- 研究上の土壌を豊かにし、大学の持続的成長を図りながら目指すべき大学像を実現するためには、大学固有の知的アセット(有形・無形の知的資産)を磨き上げ、社会との対話の中で知的アセットを適切に価値化していくことで、産学協創、大学発ベンチャー創出とエクイティ獲得、卒業生を含む関係者からの寄附、さらには大学独自基金の拡充などを通して、新しい資金の流れを生み出し続けていくことが重要である。また、その資金を新たな学問分野や若手研究者など、長期的視野に立って、直ちに社会的価値につながらない次代の知の創出をもたらす研究基盤へ再投資するといった好循環を生み出すことが不可欠である。
- それらを実現するため、大学ファンドの支援対象となる世界と伍する研究大学には年3%の事業規模の成長を達成し、大学独自の基金の拡充を確実に行うことで、自律的財政基盤を強化し、新たな分野や若手への支援など次代を見据えたビジョンの具現化に向け、資金循環の形成と学内の資源配分を行うことができるガバナンスを持ち、進化し続けるダイナミズムを有することが求められる。
- 次代の社会構造への転換に向けて大胆なビジョンを世界と伍する研究大学が描いていくためには、内外の叡知を結集してビジョンを明確化、可視化するとともに、そのビジョンによって社会からの支持・支援の好循環を形成し、大学の自律的な機能拡張につなげていくことが必要である。このような長期の成長戦略にコミットし、取組を加速するためには、安定的・継続的な経営方針を維持することが可能な合議体(ガバニングボード)としての意思決定機関を持つことが適当である。このガバニングボードは3%成長の最終責任者でもあり、経営戦略の安定性だけでなく長期視点に立った研究や人材育成の観点や大学の自律性を重視した相互牽制機能にも資する。
- 世界と伍する研究大学として知の価値づけと研究基盤への投資の好循環サイクルをまわすためには、上記の合議体とあわせて、以下のような機能を持つ者を配置し、その役割分担を明確にする必要がある。
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3.世界と伍する研究大学を実現するために必要な施策
(1)政府に求められること
①国際卓越研究大学制度(仮称)の創設と規制緩和等の推進
- 2.で記載した世界と伍する研究大学を実現していくに当たっては、政府に期待される役割が大きい。政府はこれまでの反省を踏まえ、確実に我が国に世界と伍する研究大学を実現していくとの覚悟の下、対象大学が自律的かつ創造的に自らの実践をデザインし、これを実行していけるよう、大学の機能拡張の取組を進めることを可能にするとともに、大学ファンドからの支援を有機的に組み合わせることで、世界にフラッグが見える大学へと成長させていくため、新たに国公私立共通の仕組みとして「国際卓越研究大学制度(仮称)」を構築していくことが必要である。
- 本来的には、大学自らが収入を上げ、大学独自基金の造成などを通じて自律的な大学へと成長していくことが求められるが、そのための時間を大幅に短縮する観点から大学ファンドによる支援が行われるとの趣旨を踏まえ、国際卓越研究大学には着実に成長をしていく方向性を有するとともに、そのことが長期にわたって大学として継承されていく体制を整えることが求められる。そのため、2.(2)に記載した好循環サイクルの構築を可能とする責任あるガバナンスを有するとともに、2.(1)に記載した研究上の土壌(ポテンシャル)や、これらを如何に向上させていくかという実効性高く意欲的な事業・財務戦略を有することを認定の要件とすることが求められる。また、科学技術・イノベーション政策における大学ファンドの重要性に鑑みれば、その認定等に当たっては、大学政策を所管する文部科学省のみではなく、科学技術・イノベーション政策の司令塔であるCSTIが適切に関与する仕組みとすることも求められる。
- 国際卓越研究大学制度の基本的枠組みについては、このような方向性に基づき、その概念、認定や評価の仕組みなどの基本的枠組みを、文部科学省において既存の大学制度との関係も含めて専門的見地から検討を行い、次頁のとおり取りまとめており(文部科学省における検討の詳細は別添参照)、この実現を図っていくことが政府には求められる。
- 国際卓越研究大学の自律化を進めていくためには、高度な自律性や自主裁量を拡大するという観点から、その評価の仕組みも、事業成長のアウトカムへのコミットなど厳選したアウトカム指標を基調としたものとするとともに、例えば教育組織の新設改廃や定員管理についての国の関与や既存の評価の仕組みなどについても規制緩和を進めることが必要である。
- これらとともに、単年度予算の繰越や教員による大学発スタートアップの創出など既存制度上でも可能な事項が大学に十分に浸透していないと指摘されており、制度上、大学の判断で実行可能な事項を示すホワイトリストの作成と共有も政府には求められる。
- さらに、大学の自己資金を充実させる取組を促進する観点から、寄附金獲得増に向けた寄附控除の繰越などの税制上のインセンティブを高める仕組みの導入、産学連携を推進する観点からの知的財産権取得の促進に向けた施策を講じることが必要である。
- なお、国立大学法人については現状、2.(2)で求められる合議体によるガバナンスを前提とした法制度となっておらず、「国際卓越研究大学」となることが見込まれる国立大学法人について、次々頁のとおり、合議体等を導入するための法改正があわせて必要となる。
<国際卓越研究大学制度(仮称)の基本的な枠組み>国際卓越研究大学制度(仮称)の構築 世界最高水準の研究大学を形成するため、世界と伍する研究大学となるためのポテンシャルを有する大学を、変革への意志(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき、「国際卓越研究大学(仮称)」として国が認定。国公私立大学を対象とする新たな枠組みを構築し、認定された大学に対して、大学ファンドからの助成を含め、総合的な支援を実施。 1. 基本方針の策定国際卓越研究大学制度の意義や目標、認定、科学技術振興機構(JST)の助成の実施方針、科学技術・イノベーション政策との連携に関する基本的な事項など制度運用を行う上で指針となる事項を定めた基本方針を、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)や関係行政機関と協力した上で、文部科学大臣が策定。 2. 国際卓越研究大学の認定世界と伍する研究大学となるためのポテンシャルを有する大学を、変革への意志(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき、「国際卓越研究大学」として、文部科学大臣がCSTIの意見を聴いた上で認定。 (認定要件) ①自律と責任あるガバナンス体制(①合議体、②大学の長(法人の長)、③教学担当役員(プロボスト)、④事業財務担当役員(CFO)、⑤監事) 3. 国際卓越研究大学への支援・規制緩和認定された大学が実施する体制強化の取組に対して、大学ファンドからの助成を含め、総合的な支援を実施。
4. 国際卓越研究大学のモニタリング等国際卓越研究大学への国の関与の仕組み(例えばCSTIや科学技術・学術審議会が共同で実施)を構築するとともに、モニタリング等を実施。
5. 自律と責任あるガバナンス体制国際卓越研究大学となる国立大学法人については、以下のガバナンス改革が可能となるような制度改革を実施。
※公私立大学については、各制度の趣旨や特性を踏まえ、対応。 【公立大学の場合】
【私立大学の場合】
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②大学ファンドによる支援の基本的考え方
- 政府においては、2.で示した世界と伍する研究大学の目指すべき姿の実現に向け、これを導いていく観点から、大学ファンドの支援について、以下の基本的考え方に基づき制度設計を行うことが必要。また、大学における3%程度の事業規模成長の達成に向け、その考えられる手法等を具体的に提示していくことも必要。
- 大学ファンドによる支援は以下の基本的考え方に沿って政府において具体的な制度設計を行い、国際卓越研究大学制度における基本方針で明確化し、大学が成長し、次代を担う教育研究を行い、世界と伍する研究大学を実現していくという方針をぶれずに進めることが必要。
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(2)大学に求められること
世界と伍する研究大学を目指す大学については、2.で記載した目指すべき姿の実現に向けて、知的アセットを創出する環境及び、それらを価値化していく仕組みの構築に向けて、既存の制度に縛られず、学内外の叡知を結集して取組を進めていくことが必要であり、具体には以下のような事項に取り組むことが期待される。
①知的アセットを創出する環境の構築
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②知的アセットを価値化していく仕組みの構築
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4.地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ
- 「世界と伍する研究大学」の実現に向け、従来の延長線上ではない発想で創設された大学ファンドは、高い研究水準を有するトップレベルの研究大学の支援という目的だけに留まらず、我が国全体の研究力を底上げする端緒としての役割をも担っていることを忘れてはいけない。
- まず1.で述べたように、大学ファンドは、世界と伍する研究大学への支援と併せて、価値創造の源泉となり次代の研究力を生み出す、すべての大学に所属する優秀な博士課程人材の活躍促進を促すことで、我が国全体の研究力を飛躍的に発展させていくことが期待されている。
- 加えて我が国には、トップレベルの研究大学のみならず、地域の中核大学や特定分野の強みを持つ大学の機能を強化し、成長の駆動力へと転換することで日本の産業力強化やグローバル課題解決にも貢献するような大学など、様々な機能を担う多様な大学が全国に存在している。したがって、こうした多様な大学のポテンシャルの引き出しを牽引すべく、大学ファンドにより支援を受けるトップレベルの研究大学がハブとなりながら、人材の流動性向上や、共同研究の促進などを通じ、日本全体の研究力を引き上げていくことが求められる。
- こうした背景の下、国は、大学ファンドの創設と同時に、我が国の大学の多様性を広げ、そこに集う優秀な研究者、それらの有機的な連携を最大限引き出しながら、それぞれの大学のミッションと機能を十分に発揮できるよう、多様な大学の支援の在り方の全体像について、「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ(総合振興パッケージ)」として、とりまとめを行っている。
- 総合振興パッケージでは、多様な大学がそれぞれの持つ強みや特色を伸ばす方策として、大学がミッションに基づきそれぞれのビジョンの実現に向けて戦略的な経営が展開出来るよう、基盤的経費と競争的資金による事業間の効果的な連携を図りつつ、ポテンシャルの高い特定分野の研究力強化や大学改革と連動させた研究環境改善の推進、さらには、地域ニーズを踏まえた質の高い人材育成モデルへの転換支援、社会変革を牽引する産学官連携拠点の形成支援やスタートアップ創出支援等の強化を図っていくこととしている。
- また、同パッケージでは、地域の産学官連携を促進するため、関係者を繋ぐ仕組みの活性化や、地域社会における大学の活躍の加速化を図るべく、自治体や社会実装を担う官庁などが一丸となり大学の価値の社会変革への転換を伴走支援するなど、資金面のみならず、現場の大学がいち早く自らの研究成果を社会還元できるような制度面の改革も含めている。
- 我が国全体の研究力底上げのためには、全体を俯瞰した上で、この場で検討がなされた「世界と伍する研究大学」の在り方についての最終まとめと同時にいち早く総合振興パッケージをとりまとめることで、我が国の意欲のある大学の多様性を維持発展させていくことが重要である。今後、大学ファンドによる運用益からの支援が開始されるタイミングも見据えつつ、大学ファンドの対象大学とそれ以外の大学との間の有機的な連携や効果的な資金配分の在り方については、パッケージの内容をさらに進化させることを前提として、より具体的な内容とするべく、引き続きさらなる検討が肝要であることを強く付言する。
5.終わりに
- 昨年3月から12回に渡る議論を重ね、我が国に世界と伍する研究大学を実現するための考え方や大学ファンドを中心とした政策の在り方について最終とりまとめを行ったところであるが、この最終とりまとめは大きな方向性を示したものであり、政府においてはこれを踏まえ、詳細な制度設計を進めていくことが必要である。
- 特に、国際卓越研究大学の対象となる国立大学法人に関する制度改革については、3%成長を果たしながら、新たな学問分野や若手研究者支援を実現していくという観点から、合議体がどのような役割を果たし、学内における役割分担と連携の中でいかなる主導性を発揮するのか、どのような構成員が適しており、どのように選考することが適切か立法化や制度化に向けたさらなる精緻な検討が求められる。また、経営協議会など既存のマネジメント組織との関係や連携の在り方などについても制度化に当たって留意することが必要である。
- この制度改革と合わせ、中期目標・中期計画の評価の仕組みの簡素化・効率化、大学独自基金への積み立てを可能とする仕組みの創設、授業料設定の柔軟化、長期借入や債券発行要件の緩和などの規制緩和事項について、国際卓越研究大学の対象となる国立大学法人の経営的・財政的自律性を高める観点から早期に結論を得て、実行していくことが期待される。
- また、国際卓越研究大学制度の成功の可否は、いかに法人運営の要となる合議体に有用な人材を確保できるかにあるが、一方で我が国にはこのような人材が諸外国と比して十分に育っていないとの指摘がある。そのため、このような人材の国内外からの発掘や育成を喫緊の課題として、国際卓越研究大学制度の制度化と同時並行で進めていく必要がある。あわせて、ファンド対象大学に求められる3%程度の事業規模成長の達成に向け、その考えられる手法等を具体的に提示することも重要な課題である。
- 政府は、この大学ファンドは従来の政策とは異なる異次元の政策であるということを肝に銘じ、我が国の大学政策にゲームチェンジを引き起こし、真に世界と伍する研究大学を創出していくという確固たる意思と目的を、府省の縦割りを超え、ぶれることなく堅持し続けることが責務である。
参照
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