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著作権法63条第5項に規定する文化庁長官が定める情報及び方法(文化庁告示)(案)の概要
1.改正法の内容
放送番組の中で著作物等を利用する場合、権利者から許諾を得る必要があり、放送に加え同時配信等(同時配信のほか、追っかけ配信、一定期間の見逃し配信を含む。以下同じ。)を行おうとする場合には、明確に同時配信等の許諾も必要となる。他方、放送番組には多様かつ大量の著作物等が利用されているところ、放送及び同時配信等までの限られた時間内に、全ての権利者に対して、詳細な利用条件等を説明し明確に同時配信等の許諾を得るのは相当の困難が伴うことが想定される。
著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号)では、このような場合における権利処理の円滑化を図るため、著作物の放送及び同時配信等を許諾することができる者が、放送事業者のうち、同時配信等を業として行い、又はその者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者(密接な関係を有する放送事業者から放送番組の供給を受けて同時配信等を業として行っている事業者)が業として行う同時配信等のために放送番組を供給しており、かつ、その事実を周知するための措置として、文化庁長官が定める方法によって、同時配信等の実施状況に関する情報として文化庁長官が定める情報を公表しているものに対し、放送番組での著作物の利用の許諾を行った場合には、当該許諾に際して別段の意思表示をした場合を除き、当該許諾には同時配信等の許諾を含むものと推定する旨の規定(許諾推定規定)を設けることとした。
(参照条文)
著作権法(抄)
※著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号)による改正後
第63条 (略)
2~4 (略)
5 著作物の放送又は有線放送及び放送同時配信等について許諾(第一項の許諾をいう。以下この項において同じ。)を行うことができる者が、特定放送事業者等(放送事業者又は有線放送事業者のうち、放送同時配信等を業として行い、又はその者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が業として行う放送同時配信等のために放送番組若しくは有線放送番組を供給しており、かつ、その事実を周知するための措置として、文化庁長官が定める方法により、放送同時配信等が行われている放送番組又は有線放送番組の名称、その放送又は有線放送の時間帯その他の放送同時配信等の実施状況に関する情報として文化庁長官が定める情報を公表しているものをいう。以下この項において同じ。)に対し、当該特定放送事業者等の放送番組又は有線放送番組における著作物の利用の許諾を行つた場合には、当該許諾に際して別段の意思表示をした場合を除き、当該許諾には当該著作物の放送同時配信等(当該特定放送事業者等と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が当該放送番組又は有線放送番組の供給を受けて行うものを含む。)の許諾を含むものと推定する。
6 (略)
2.文化庁告示の内容について
新法第63条第5項においては、推定を基礎づける事実として、権利者において、放送事業者が同時配信等を業として行っていることを知ることができるよう、放送事業者においてその事実を周知するための措置として一定の情報を公表することを求めることとしており、当該情報及び公表方法の具体的な内容については、実際のサービスの状況等に照らして柔軟に対応することができるよう、告示に委任している。
この度、文化庁長官が定める情報及び方法を以下の通り定めることとする。
(「文化庁長官が定める情報」について)
権利者が、同時配信等の具体的な実施状況を把握することができるよう、「文化庁長官が定める情報」として、①同時配信等が行われている放送番組の名称、②放送番組の放送及び同時配信等の時間帯・期間、③視聴者が同時配信等を視聴することができる配信プラットフォーム(ウェブサイトやアプリケーション)を定めることとする。
(「文化庁長官が定める方法」による公表について)
放送事業者が、「文化庁長官が定める情報」を権利者が把握し得る方法により公表することが可能となるよう、「文化庁長官が定める方法」として、①各放送事業者のウェブサイトにおいて公表する方法、②各放送事業者のウェブサイトにおいて、各放送同時配信等事業者において公表した情報に関するリンクやURLを、当該情報に関するものであることを明示しながら掲載する方法を定めることとする。
(施行期日)
令和4年1月1日