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学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップ策定方針について(案)

2022年12月7日
学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会

1.趣旨

本作業部会は、これまで、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想(以下、「ロードマップ」という。)の策定に当たり、日本学術会議が策定する「学術の大型研究計画に関するマスタープラン(以下、「マスタープラン」という。)を参考に策定してきた。

日本学術会議において、従来の「マスタープラン」を策定しないこととされた状況を踏まえ、本作業部会では、ロードマップの策定について、独自の方針に基づき選定作業を進めるため、次期 ロードマップ(以下、「ロードマップ2023」という。)の策定に当たっての基本方針を策定するものである。

2.ロードマップ 202 3 策定 の基本的な方針

2-1.ロードマップの基本的性格について

  • ロードマップは、 幅広く 学術研究の大型プロジェクトを推進するに当たり、広範な研究分野コミュニティの意向を踏まえながら、透明性や公平性・公正性を確保しつつ、各計画の優先度を明らかにするために策定するものである 。
  • ロードマップは、学術研究の大型プロジェクトを推進する上で一定の優先度を評価するものであり、直ちに予算措置を保証するものではない。
    従って、ロードマップに掲載された 計画に対する 国の支援 については、大規模学術フロンティア促進 事業 (以下、「フロンティア事業」という。)による支援について一定の優先度を認めるものの 、それのみに限定するものではない。同時に、財政上の制約を踏まえつつ、国際的な費用の分担等の他の支援の可能性も視野に入れる必要がある。

2-2.実施方法 、対象計画等 について

  • ロードマップ2023の対象計画については、公募を行い、書面審査、ヒアリング審査を経て選定する。対象計画及び提案者は、以下のとおりとする。
    • 学術研究の大型プロジェクトのうち、実施期間5年から10 年程度、予算総額(国際共同事業については国内負担分)は大型の科学研究費助成事業科研費を 超える概ね数十億円から2000億円程度を上限とする計画を対象とする。
    • 大型施設・設備等の整備を要する計画は、設置場所等が調整済み(または見込み)であること。
    • 提案者は、大学等(国公私立大学、大学共同利用機関法人等)の長または部局長等(学部・研究科長、附置研究所長、共同利用・共同研究拠点長、大学共同利用機関長等)とする。

2-3.ロードマップ掲載計画の選定に係る評価方法について

  • ロードマップ2023の審査においては、ロードマップ2020の策定の際に用いた評価の観点を一部見直した以下の内容とする。

<ロードマップ2023 の評価の観点>

①科学目標

  • 科学目標が明確であり、目指す達成水準が示されているか。
  • 達成に至るまでのマイルストーンとして、計画の中間点や進捗状況に応じた目標・達成水準が適切に設定されているか。

②計画の学術的意義

  • 研究者の知を基盤にして独創的な探求力により新たな知を開拓できるか。(挑戦性)・学術研究の多様性を重視し、細分化された知を俯瞰し総合的な観点から捉えているか。(総合性)
  • 異分野の研究者や国内外の様々な関係者との連携・協働により新たな学問領域を生み出すことができるか。(融合性)
  • 世界の学術コミュニティにおける議論や検証を通じて研究が持つ優位性や位置付けを明確にすることにより、世界に通用する卓越性を獲得するなど世界に貢献することができるか。(国際性)

③研究者コミュニティの合意・サポート体制

  • 研究者コミュニティの合意形成の状況は明確か。
  • 研究者コミュニティからの計画の実施に必要な人材等が確保されているか。

④若手研究者等の人材育成

  • 若手研究者等(技術職員、研究支援者等含む)が多様な経験を積み、活躍することができる場が積極的に与えられるなど、各研究者等の将来を見据えたキャリア形成支援等が適切に行われているか。
  • 当該計画を将来的に支える人材を育成する観点から、若手研究者等を責任ある立場に積極的に登用するなど、持続的な計画推進のための取組が行われているか。

⑤計画の実施主体

  • 実施主体における計画の推進体制は明確になっているか。
  • 多数の機関が参画する場合、責任体制と役割分担は明確になっているか。

⑥共同利用 ・共同研究 体制

  • 共同利用・共同研究の実施体制が確立されているか。
  • 幅広い大学 等 の研究者 、若手を含む多様な研究者 が参画できるか。

⑦計画の妥当性

  • 計画の準備スケジュール・実施スケジュールが明確になっているか。実施可能なスケジュールとなっているか。
  • 建設費及び運用費は妥当か。十分検討されているか。
  • 予算計画、人員計画(研究者コミュニティからの人材も含む)は妥当か。十分検討されているか。
  • 計画の準備状況(予備研究・技術開発・体制整備)は着実になされているか。
  • 建設終了後の運用計画が十分に検討されているか。
  • 計画終了後のコミュニティへの波及効果、将来展望はどうか。

⑧戦略性

  • 当該分野での世界トップレベルの成果をあげ、我が国の強みをさらに伸ばすこととなるか。
  • 他分野への波及効果等はどうか。
  • 国際貢献や国際的な頭脳循環につながるか。
  • 将来的な我が国の成長・発展につながるか。
  • 計画を実施しないことによる日本に対する研究者コミュニティからの信頼喪失や学術における国際的プレゼンスの低下等の影響はどうか。
  • 産業界への波及効果等はどうか。

⑨緊急性

  • 早期に実施することの重要性と国際的競争・協力において、我が国が得られるメリットや優位性は何か。
  • 実施の遅れにより危惧される我が国への影響はどのようなものか。

⑩社会や国民からの支持

  • 社会や国民に計画の意義・必要性について説得力をもって説明することができるか。
  • 長期間にわたり巨額の国費を投入することについて、社会や国民に支持していただけるか。
  • 地域社会の行政及び住民との信頼関係が構築されているか。
  • さらに、「 書面審査フォーマット 」 に基づいた徹底した確認・評価の重みづけ(学術的意義、共同利用体制、社会や国民の支持、国としての戦略性、緊急性、計画の妥当性等)や 、 定量的な成果指標の設定、審査体制の工夫等について検討・整理する。
  • 書面審査で用いる書類は、予算・人員・施設の詳細な計画等、計画期間終了後の方針等を含む上述の「書面審査フォーマット」を用いることとし、参考として、国内外の研究者コミュニティ(関連学会等)からのサポートレター等の提出を計画提案者に求めることとする。

2-4.ロードマップ2020掲載プロジェクトの取扱い

  • ロードマップ2020掲載プロジェクトのうち、現在フロンティア事業による支援を受けておらずかつ継続掲載を希望するプロジェクトは、以下の取扱いとする。
    • 書面審査フォーマット及びヒアリングにより実施状況を確認する。
    • 当該プロジェクトの準備状況等について進展が見られる場合は、ロードマップ2023に継続掲載する。
      ※現在フロンティア事業により、年次計画に基づき支援中のプロジェクトについては、進捗評価等により実施状況を確認する。

2-5 フロンティア事業 による支援 について

  • 支援対象とする事業は、国立大学法人運営費交付金等を主要な財源とし、国立大学法人や大学共同利用機関法人を実施主体の中核とするものを原則とする 。
  • 支援期間等 については、実施機関の ガバナンスとの関係に留意しつつ設定 する 。
  • ロードマップ2023に初めて掲載された「新規計画」については、中長期的な財政見通しのもと、現行事業や後継計画とのバランスも踏まえ、支援の方向性を示す。

3.検討のスケジュール

  • 2022年11月9日:ロードマップ策定方針について審議 ①
  • 2022年12月7日:ロードマップ策定方針について審議 ② ・ 取りまとめ、意見募集
  • 2023 年1月以降:ロードマップ2023策定に向けた議論・策定

4.今後 検討 が必要な 事項

  • ロードマップ掲載計画の選定に係る評価方法について
    • 計画の重みづけや審査体制の工夫 等
  • フロンティア事業による支援について
    • フロンティア事業の支援期間の考え方
    • 新規計画の支援の在り方等

参照

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