医薬品医療機器等

アジョビ皮下注 [フレマネズマブ](審議結果報告書2021年6月1日)

審議結果報告書

令 和 3 年 6 月 1 日
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

[販売名]

アジョビ皮下注225 mgシリンジ

[一般名]

フレマネズマブ(遺伝子組換え)

[申請者名]

大塚製薬株式会社

[申請年月日]

令和2年7月 29 日

[審議結果]

令和3年5月 26 日に開催された医薬品第一部会において、本品目を承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告することとされた。

本品目は生物由来製品に該当し、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとされた。

[承認条件]

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

審査報告書

令和 3 年 5 月 10 日
独立行政法人医薬品医療機器総合機構

承認申請のあった下記の医薬品にかかる医薬品医療機器総合機構での審査結果は、以下のとおりである。

[販売名]

アジョビ皮下注 225 mg シリンジ

[一般名]

フレマネズマブ(遺伝子組換え)

[申請者]

大塚製薬株式会社

[申請年月日]

令和 2 年 7 月 29 日

[剤形・含量]

1 シリンジ(1.5 mL)中にフレマネズマブ(遺伝子組換え)225 mg を含有する注射剤

[申請区分]

医療用医薬品(1)新有効成分含有医薬品

[特記事項]

なし

[審査担当部]

新薬審査第二部

[審査結果]

別紙のとおり、提出された資料から、本品目の片頭痛発作の発症抑制に関する有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断する。

以上、医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目については、下記の承認条件を付した上で、以下の効能又は効果並びに用法及び用量で承認して差し支えないと判断した。なお、重篤な過敏症反応及び心血管系事象の発現状況、妊婦における安全性、長期投与における安全性等について、さらに検討が必要と考える。

[効能又は効果]

片頭痛発作の発症抑制

[用法及び用量]

通常、成人にはフレマネズマブ(遺伝子組換え)として 4 週間に 1 回 225 mg を皮下投与する、又は
12 週間に 1 回 675 mg を皮下投与する。

[承認条件]

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

別 紙

審査報告(1)
令和 3 年 3 月 12 日

起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等本薬は、米国 Rinat Neuroscience 社により創製された、CGRP に対する遺伝子組換えヒト化 IgG2Δa/kappaモノクローナル抗体である。CGRP は片頭痛発作時に三叉神経節ニューロン及び硬膜を含む三叉神経の末梢で高度に発現する神経ペプチドであり、血中 CGRP 濃度の増加に伴って、片頭痛及び群発頭痛といった疼痛症候群が生じる(Cephalalgia 1994; 14:320-7)。本薬は、CGRP に結合し、その生理活性を阻害することにより、片頭痛発作の発症を抑制することが期待される。

本薬の臨床開発は、Rinat Neuroscience 社により 20 年より開始され、20 年に米国 Pfizer 社、2014年にイスラエル Teva Pharmaceutical Industries 社に開発が引き継がれ、片頭痛の予防に係る効能・効果で2018 年 9 月に米国で承認されて以降、2021 年 2 月現在、欧米を含む 40 以上の国又は地域で承認されている。

本邦においては、2016 年からテバファーマスーティカル株式会社により本薬の臨床開発が開始され、今般、申請者により、国際共同試験成績等に基づき、「片頭痛発作の発症抑制」を申請効能・効果として、医薬品製造販売承認申請がなされた。

機構における審査の概略

臨床的位置付けについて

申請者は、片頭痛治療における本剤の臨床的位置付けについて、以下のように説明した。片頭痛の有病率は、働き盛りの年齢層で高く(Cephalalgia 1997; 17: 15-22)、日常生活に大きな支障をきたす疾患として広く認知されている(J Headache Pain 2018; 19: 17)。国内の片頭痛の診断は、ICHD に準拠して行うことが推奨されている。片頭痛は頭痛発作を繰り返す反復性の疾患であり、反復性の片頭痛の発作頻度が増加すると、CM に進展する。ICHD において、CM は頭痛が月に 15 日以上の頻度で 3 カ月を超えて起こり、少なくとも月に 8 日の頭痛は片頭痛の特徴を持っている状態と定義される。

片頭痛の薬物治療は急性期治療(対症療法)と予防療法に大別され、予防療法は、急性期治療のみでは片頭痛による生活上の支障を十分に治療できない場合に、発作頻度の軽減、急性期治療薬の過剰な使用の軽減、生活機能の向上等を目的として行われる。国内で、片頭痛の予防療法に使用できる薬剤には、経口剤ではプロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム及びロメリジン塩酸塩等が、注射剤ではガルカネズマブ(遺伝子組換え)がある。片頭痛患者の多くは 20~40 歳代の女性であるにもかかわらず、安全性プロファイルの観点から、バルプロ酸ナトリウム及びロメリジン塩酸塩は妊産婦には使うことができず、プロプラノロール塩酸塩は喘息等の合併症を有する患者には使うことができない等の制限があり、これらの片頭痛患者に使用可能な経口剤の選択肢は限られている。また、既存の経口剤は 1 日 2~3回の服用が必要なものもあり、長期的な治療では服薬アドヒアランスの不良が懸念される。ガルカネズマブ(遺伝子組換え)と本薬を直接比較した臨床試験は実施されていないが、ガルカネズマブ(遺伝子組換え)の用法・用量は 1 カ月に 1 回投与のみであるのに対して、本剤は 4 週間に 1 回投与に加え 12 週間に 1 回投与の 2 種類の用法・用量があり、4 週間に 1 回の通院が困難又は容易でない患者等が 12 週間に 1 回投与の用法・用量を選択できることは有益であると考える。

CM 及び EM 患者を対象とした日韓共同第Ⅱ/Ⅲ相試験及び国際共同第Ⅲ相試験の成績から本剤を予防療法として用いることの有効性が示され、安全性及び忍容性にも問題はなかった。本剤は、CGRP を標的とする片頭痛予防薬であり、欧米の診療ガイドライン(Headache 2019; 59: 1-18、J. Headache Pain 2019; 20: 1-52)でも高い服薬アドヒアランスが期待でき、安全に使用できる有効な片頭痛予防薬として推奨されており、片頭痛の予防療法に使用できる薬剤の新たな選択肢の 1 つとなると考える。

機構は、以下のように考える。片頭痛患者の多くを 20~40 歳代の女性を始めとする働き盛りの世代が占め、片頭痛発作による頭痛や悪心・嘔吐等により日常生活及び社会的活動に支障をきたす場合もあることから、片頭痛発作の発症を抑制する治療の意義は大きい。提出された複数の国際共同試験の成績いずれにおいても本剤の臨床的意義のある有効性と許容可能な安全性は示されており、EM 及び CM のいずれにおいてもベネフィットが期待できることから(「7.R.3 有効性について」及び「7.R.4 安全性について」の項参照)、本剤を片頭痛発作の予防療法における新たな選択肢として臨床現場に提供する意義はあるものと判断する。ただし、本剤は 4 週間に 1 回又は 12 週間に 1 回皮下投与する抗体製剤であり、アナフィラキシーを含む過敏症や注射部位に生じる副作用のリスクもあることについて医療従事者及び患者に十分な注意喚起を行うとともに、本剤を含めた複数の治療選択肢の中から患者に適した薬剤を選択できるよう本剤の特徴を情報提供する必要がある(「7.R.4.1 過敏症関連の有害事象について」及び「7.R.4.2 注射部位関連の有害事象について」の項参照)。

臨床データパッケージの適切性について

① 国内外の内因性及び外因性民族的要因の差異について

申請者は、内因性及び外因性民族的要因について、以下のように説明した。内因性民族的要因について、片頭痛の有病率は、日本では 8.4%(男性:3.6%、女性:12.9%)、韓国では片頭痛の有病率は 6.5%(男性:3.2%、女性:9.7%)と報告されており、20~40 歳代の女性に多い傾向も同様であり、海外における報告と大きな差は認められていない(Cephalalgia 1997; 17: 15-22、Korean J Headache 2000; 1: 57-66)。

また、本薬の PK について、日本人と外国人の間に大きな差は認められなかった(「6.R.1 本薬の PK の国内外差並びに EM 及び CM 患者における PK の異同について」の項参照)。外因性民族的要因について、国内外ともに片頭痛の診断には ICHD が用いられており、国内外の診療ガイドラインに示されている急性期治療と予防療法の推奨及び使用可能な医薬品についても大きく異ならないことから、国内外で大きな違いはないと考えた。

② CM 及び EM 患者を対象に、日韓共同第Ⅱ/Ⅲ相試験及び国際共同第Ⅲ相試験を実施した経緯と適切性について

申請者は、CM 及び EM 患者を対象に、日韓国共同第Ⅱ/Ⅲ相試験及び国際共同第Ⅲ相試験を実施した経緯と適切性について、以下のように説明した。上記①の検討結果に加え、CM 及び EM 患者を対象とした海外第Ⅱ相試験において本薬投与時の忍容性、並びに日本人及び白人を対象とした第Ⅰ相試験において日本人と白人の PK の類似性を確認できたこと等から、国際共同第Ⅲ相試験として、CM 患者を対象とした TV48125-CNS-30049 試験と EM 患者を対象とした TV48125-CNS-30050 試験を計画した。加えて、日本人患者での用量反応関係を検討し、かつ有効性の再現性を示すため、日韓共同第Ⅱ/Ⅲ相試験として、CM 患者を対象とした 406-102-00001 試験と EM 患者を対象とした 406-102-00002 試験を計画した。

機構は、内因性及び外因性民族的要因の比較結果から国際共同治験を実施するにあたり問題となるような地域間差は示されておらず、第Ⅱ/Ⅲ相試験を日韓共同試験として実施したこと、及び第Ⅲ相試験を国際共同試験として実施したことはいずれも妥当と考える。

参照

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